10年先、いや100年先にも
昨年、「葉っぱのパズル」を制作した時に思ったこと。
このパズルは、流行りものとしてではなく、将来においても廃れることなく使えるパズルではないかと。
木製パズルは以前から制作していましたが、ジグソーパズル形式だとピースの形がいびつになってしまうため、表現に欠けてしまうと常々思っていました。そこで、葉っぱの形そのままでどうにか使えることが出来ないかと考えてみた。
発想の原点は収納。一昨年に木育カフェで行った「松ぼっくり・木の実標本箱」がヒントになり、箱に収めるのではなく、枠に中に嵌めるというパズルの要素を踏まえ考えてみた。
計算高くない自分だから制作も短時間でかなりいい加減なので、最初に描いた図面どおりに切り出し嵌めてみるとスペースだらけ。スペースに合わせながら新たな葉っぱのピースを作る始末に。
とりあえず、このくらいがベターかなと10枚の葉っぱと2つのドングリの計12ピースで完成させた。あまりピースが多いと面倒そうだし、少なすぎると物足りなさが残るので。
そして、このピースの裏には葉っぱの名前を入れてみた。
このパズルは葉っぱから木に親しんでもらうことが目的の一つである。
公園や街路樹として使われている木も葉っぱの形を知らない人は多い。パズルを嵌めながら葉っぱの形と木の名前を憶えてもらい、より親しみを持ってもらえるようにすることが一つの狙いである。
そして、このパズルの嵌め方は一通りではないというのが大きな特徴である。柔軟な考えでスペースを上手く考えながら嵌めてゆくパズル。このパズルをフレキシブルパズルという名前を付けたのはそんな所以である。
柔軟な考えというのは今の社会には不可欠ではないかと。より依存型の社会が構築され、さらに流れだけに乗りながら生活し、自分の考えを示す人間が減りつつあるご時勢。長いものばかりに巻かれていてはこれから先の社会は不安だらけになってしまう。
このパズルが出来る=柔軟性が高い
とまではいかないだろうが、考える力を養ってもらえる人づくりは自分が考える木育の姿。
木や森への親しみ以外にも木育の目指す姿はある。
これらのことは以前にも書いたが、このパズルは代々にわたって使えるものだと自分は思っている。
「お母さん、このパズル上手だったんだよ!」
「おじいちゃんが子どもの頃は苦手で大変だった」
とか、数年間流行るのでなく、3代にも4代にもわたって使えるパズルではないかと。
木や森は100年先でも大きな変化はないだろうし、考える力もこれから先も身に付けてゆく必要があるのだからこそ、木育のアイテムとして残していきたい気持ちでいっぱいです。