秋バテ②
夏場の偏った食生活がだるさや抑うつ感の要因に!!
秋バテの2つ目の原因である「栄養の偏り」は、主に夏場の食生活によって引き起こされます。夏は暑くて食欲が湧かないために、そうめんのような喉越しの良い食事に偏りがちです。そうした食事を続けていると、どうしても糖質の摂取量が多くなります。また、甘いジュースやアイスクリーム、アルコールなどを多く摂る傾向にある人も要注意です。
糖質の摂取量が過剰になると、腸内に存在する日和見菌ひよりみきんの一種「カンジダ菌」が増殖しやすくなります。「カンジタ菌」が増殖すると、本来は酸性であるべき腸内がアルカリ性に傾き、悪玉菌が増える要因になると考えられています。腸内環境が乱れることによって、さまざまな不調が生じることになりかねません。
その一方で、ビタミンB群やミネラル、たんぱく質などは不足する傾向にあります。ビタミンB群やミネラルは「細胞の中の電池」と呼ばれており、細胞内でエネルギー(ATP※)生成のために働くミトコンドリアの代謝を促進するうえで大切な栄養素です。
これらの栄養素が夏の間から不足した状態が続くと、秋になる頃に“電池切れ”を起こすことになります。その結果、疲労倦怠感といった症状が現れやすくなるのです。
※ATP:アデノシン三リン酸の略。筋肉の収縮など生命活動で利用されるエネルギーの貯蔵や利用にかかわり、「生体のエネルギー通貨」と呼ばれている。
また、たんぱく質の不足は、秋バテの精神的症状と関係があります。注目したいのは、脳の神経伝達物質の一つである「セロトニン」と「ドーパミン」です。セロトニンには精神を安定させる働きがあり、ドーパミンにはやる気や集中力を高める働きがあります。もう一つ大切なのが、生体リズムの調節機能をもつ「メラトニン」です。自然な睡眠を促す作用があることから「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。
セロトニン、ドーパミン、メラトニンの分泌を促進するためには、その原料となるたんぱく質が必要です。さらに、合成するためには触媒となる酵素の原料となるビタミンやミネラルが不可欠です。そうした栄養素の不足が続くと、セロトニン、ドーパミン、メラトニンの分泌が滞りやすくなり、抑うつ感やイライラ、やる気や集中力の低下、不眠などに繋がりやすくなると考えられます。
秋バテの3つ目の原因である「消化機能の低下」は、栄養不足も招きやすいので要注意です。暑いからといって冷たいものを摂り過ぎると胃腸が冷え、消化器系の働きが悪くなりやすくなります。この結果、食欲がなくなり、栄養を十分に摂ることができなくなって、疲労倦怠感が起こりやすくなるという悪循環に陥るのです。