“まかない”でさらにファンになる!?名店の裏側をこっそり公開~済公亭、ヴォロンテ~
お店で働く人だけが味わえる特別な料理、それが「まかない」。忙しいなかで作られる繁盛店のまかないには、そのお店ならではの魅力や秘密が詰まっているはず!ということで今回は、普段見ることのできない名店のまかないに迫ります。裏側を知れば、ますますファンになること間違いなし!合わせておすすめメニューも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください♪
本場の中国料理を支えるおばんざい/「済公亭(さいこうてい)」
グルメかつ破天荒なキャラクターでお馴染みの中国の僧侶・済公。そんな歴史上の人物と日本語の「最高」をかけて「済公亭(さいこうてい)」と命名
長岡京を代表する街中華の一つ「済公亭(さいこうてい)」。中国・山西省生まれの店主・大澤 嶺雄(みねお)さんが再現する本場の味が評判の中国料理店です。
料理を担当する嶺雄さんに代わり出迎えてくれたのは、接客を担当する妻の幸子(さちこ)さん。22歳のときに結婚し、中国料理店の前は、美容院、ブティック、ジャズ喫茶を経営。2人の子どもを育てながら、いつも夫婦二人三脚でお店を切り盛りしてきました。
「本物の中国料理を知ってほしい」という、嶺雄さんのかねてからの思いを叶えるべく、同い年の2人が還暦を過ぎた2002年に「済公亭」をオープン。それから81歳を迎えた今も夫婦仲良くお店に立ち続けています。
店主の大澤 嶺雄さん(右)、妻の幸子さん(左)は、長岡京市とご縁があって50年以上。
長岡京市のたけのこに惚れ込み、いつもお店近くの農家さんから仕入れるのを楽しみにしています
「夫婦円満の秘訣は、ほど良い距離感を保つこと」と照れくさそうに話す嶺雄さんですが、毎日一緒に食べるまかないは、長年働く上で欠かすことのないルーティン。いつも愛情のこもった手料理に、夫としてだけでなく料理人としても妻を尊敬していると話します。
生まれも育ちも京都という幸子さんの得意料理は、上品ながらもしっかりと味が染み込んだ煮物。この日のまかないは、小芋と海鮮の煮物、カレイの煮付け、昆布の佃煮の3品
「どんなに忙しくても手を抜かないことを母から学びました」と幸子さん。給食調理員だったお母さまの味を自然と受け継ぎ、今ではすっかり嶺雄さんを支える大澤家の味になりました。
まかないの仕込みはいつも朝から。昼には海鮮の旨みを吸った小芋が良い味に
「人それぞれ好みがありますが、私にとって一番の味は妻の手料理」と嶺雄さん。バランスの取れた献立が81歳になった今も元気に働く原動力になっています。
おばんざいと中国料理、食のジャンルは違っても、食べる人のことを思う気持ちはどちらも同じ。幸子さんの手料理を食べていると、丁寧な下処理や時間をかけてとった出汁など、手間を惜しまないことの大切さを再認識させられるといいます。お店の料理を食べれば、その意味がよく分かります。
細やかなこだわりで本場の味を再現!「済公亭」のおすすめ料理
「水餃子(8個入り)」1,500円
手間を惜しまないなかでも、仕込みに時間がかかるのが水餃子です。強力粉を使った生地を一晩寝かせて発酵。本場と同じように主食として満足できるよう、食べ応えのあるモッチリとした皮に仕上げています。醤油、酢、ラー油、ごま油を合わせた日本人好みのタレでいただくのも良いですが、黒酢だけで味わえば、より本格的に。本場さながらの特大サイズに大満足の一品です。
「麻婆豆腐」2,000円
日本でお馴染みのあっさりとした麻婆豆腐よりもコクがあり、甘辛いのが特徴。きな粉、豆豉(トウチ)、オイスターソースなどで味に奥行きを出しています。中国に住む友人から取り寄せている「花椒(ホアジャオ)」が味の決め手に。入れる直前にすり潰すことで、香り高くピリピリとした痺れが一層アップします。
Information 済公亭/075-956-3450/長岡京市開田1-21-22/ランチ11時30分~14時、ディナー17時30分~21時/月曜、第1・3日曜定休/阪急「長岡天神」駅から徒歩約5分
歴代スタッフに大好評!異色の組み合わせパスタ/「Volonté de Gaia(ヴォロンテ)」
店名の下に付く「de Gaia」の「ガイア」は「大地・地球」の意味。肉や野菜、ワインになるブドウなど、大地の恵に感謝を込めて名付けられました
2015年のオープンから来年で10周年を迎えるフランス料理店「Volonté de Gaia(ヴォロンテ)」。料理を手がけるのは、京都市内の有名レストランで経験を積んだ店主の岡本新次さんです。フランスだけにこだわらず、スペインやイタリアなど、若い頃に旅をしたヨーロッパの国々で味わった料理をヒントにメニューを考案。フレンチをベースにしながらも、“ヨーロッパの食堂”をイメージして、いろんな食材を多彩に変身させています。
1階(写真左)はテーブル席とカウンター、2階(写真右)はテーブル席。どちらも落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと過ごせます
「味の予想がつかない方がワクワクしませんか?」と岡本さん。食事を楽しんでもらうために、希少な食材にもたくさん挑戦してきました。カエルやウサギは序の口で、エゾ鹿やヒグマ、カンガルーにラクダまで、珍しいほど料理人魂が熱くなるそう!
店主の岡本 新次さん(左)、調理スタッフの内山 颯さん(右)。
内山さんの祖父は向日市のたけのこ農家。岡本さん曰く、おじいさんの作る「京たけのこ」は絶品!毎年、春になるとお店のメニューに登場します
味の想像がつかないメニューは、まかないにも。こちらは異色の組み合わせ「ジェノベーゼキムチ」です。イタリアのジェノベーゼパスタに韓国のキムチ。なんと、歴代スタッフに大人気の定番まかないというから驚きです。
メニューには載っていませんが、キムチのストックさえあれば提供可能とのこと。
「本当に美味しいの?」と思った方は、ぜひ注文を!
「以前、働いていたお店で先輩がまかないに出してくれてから、私もハマってしまって」と岡本さん。「先輩もその先輩が作っていたとのことで誕生は不明なのですが、20年以上愛されているまかないなんですよ」と教えてくれました。
岡本さんが手がける「ジェノベーゼキムチ」は、お店で提供しているジェノベーゼパスタと同じペーストを使用。口当たりを良くするためにバジルの葉だけを使い、軸の部分はオリーブオイルに漬けて香りだけを抽出しています。このひと手間が美味しさの秘訣!
「最初は半信半疑でしたが、今では定期的に食べないと禁断症状が出るほどハマってしまいました」と笑顔で話す内山さん
今は主に前菜を任されている内山さんですが、まかない作りは修行の場にも。実践を重ね岡本さんからの課題に応えています。まかないを食べながらアドバイスをもらう時間は、忙しい日々の大切なひと時。
まかない作りの様子はお店のInstagram(@volonte_de_gaia)にアップされています。ぜひ、のぞいてみてくださいね♪
老若男女に愛される「Volonté de Gaia」の人気料理
お店のメニューは大きく分けて、食材が無くなり次第入れ替わる黒板メニューと長年愛されるグランドメニューの2パターン。珍しい食材が登場する黒板メニューもおすすめですが、今回は定番のグランドメニューから人気の2品をご紹介!
「海老と貝柱とアボカドのタルタル」1,200円
前菜人気ナンバーワンのこちらは、クラッカーにのせたり、バゲッドに合わせたり、みんなでつまむのにぴったり。ついつい手が止まらなくなる一品です。味の決め手になる自家製タルタルのレシピは企業秘密。ぜひ一度お試しあれ。
「牛ランプのステーキ」2,700円
あえてフライパンで焼くことで、しっとりジューシな仕上がりに。旨みたっぷりのフォン・ド・ヴォーに粒マスタードが良いアクセントになっています。添えている野菜は季節によって入れ替わり。赤身なので最後まであっさりといただけます。
Information Volonté de Gaia(ヴォロンテ)/075-323-7183/長岡京市長岡3丁目14-9/11時30分~21時30分/火曜休(不定休あり)/阪急「長岡天神」駅から徒歩約10分/P2台/HP/Instagram @volonte_de_gaia
各店の個性あふれるまかない、いかがでしたか?普段は表に出ることのない存在ですが、お店のメニューにも良い影響を与えていましたね!お店の裏側を知れば、今まで何気なく頼んでいた料理の見方も変わってきます。ぜひ、作り手の料理に対する思いを感じながら、味わってみてくださいね♪