【相談役通信】夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡
もうすぐ彼岸入りというのに35℃を超える猛暑が続いている。
「地球沸騰化」という言葉は、昨年7月、グテーレス国連事務総長が地球温暖化が深刻な状況にあることを伝えるために使われた。日本列島も今や亜熱帯の気候で連日沸騰化にある。山口は7月22日に梅雨が明けたと宣言されたが、それ以降雨らしい雨は8月末に台風10号による2日間の豪雨のみ、その後は夏の日差しが戻り連日熱中症への警報が発表されている。
このような炎天下での業務に、みなさんがそれぞれの現場、持ち場で自分の身は自分で守る、を最優先に取り組む姿はまさに自己(事故)との戦いです。プロとしての自覚と誇りをもっての行動には強い意志が感じられ、頼もしく思うと同時に、心より感謝申し上げます。
さて、今年は1月元旦にM7.6の能登半島地震が発生した。そして、先日(8月8日)の日向灘を震源とするM7.1の地震は南海トラフ地震の想定震源域での発生で、30年以内に発生するといわれている南海トラフ大地震がいよいよ現実味を帯びてきた。つまりその直後から、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表するようになったのです。
それを受けて、中国地方の自治体や企業も対策に動き出した。山口県は8日に特別警戒態勢に入り連絡会議を開催したという。「通常の生活を送りながらも災害の備えについて確認し、今後1週間程度は十分な警戒をお願いする」とのメッセージを出した。各企業においても安否確認体制や避難場所、備蓄品の再確認などが求められている。
社会の安心、安全を守ることが使命の警備会社としてのわが社にとっても、このような事態が発生した時、何をすべきか、何ができるのかなどをしっかりと確認しておかなくてはならない。一般社会、ユーザー等外部に対してと、社員、社員家族に対しての対策等協議、確認しておくことが求められる、今はそんな時代にきていると実感する。
一方、人間社会も沸騰化し、熱い戦いが繰り広げられている。思想、信条、価値観等は人それぞれで多様である。その人の立ち位置で異なるのは当然である。その違いを受け入れてお互いが議論し、妥協点を見出し、より良い方向を目指していくのが人間社会の在り方である。ところが自己の正義を押しつけるのみで、それを受け入れない相手を敵視する。つまり、世の中を敵・味方で分断する。
この権力を求めての妥協のない闘争が戦争に繋がり、悲惨な状況が現実に起こっている。ロシアとウクライナ、イスラエルとイスラム組織ハマスである。それを支援する民主主義国家と権威主義国家との戦いでもある。ガザ地区の惨状は見るに堪えない。簡単に奪われる命、この現実を阻止できない人類は果たして持続可能か、グローバルに展開されている地球温暖化により不足する食料や資源エネルギーを求めての争奪戦も戦争の遠因として危惧される。
アメリカの大統領選挙は今後の世界の在り様を大きく変える。人類が生き延びるための知恵が問われている。一方、Japanでも長期政権のおごりによる政治の劣化、国力の衰退が著しい。政権党の9人による総裁選が行われているが、果たして党の活力は取り戻せるのか、単なる表紙替えに終わるのか、次なる衆院選を見据えて注視している。一方の野党だが、第1党の立民は4人による代表選だが、政権を担える党へと脱皮できるか。じっくりと見守ることにする。
*表題は松尾芭蕉が奥州平泉の高館を訪れた時に詠んだ句。
取締役相談役 加藤慶昭(2024年9月18日記す)