罪についてのイエスの考え
こんにちは。ご質問、ありがとうございます。
質問者の方が仰っておられる通り、原罪思想はイエスの死後に生まれたものです。時代としてはパウロの原始キリスト教ぐらいですかね。
では、イエスの人間観はどうだったのかというと、基本的に「人間は罪深い存在だ」と考えていたようです。その証拠に、イエスが布教を始めた時の第一声が、
「悔い改めよ。天の国は近づいた」
だったそうです。
では、「悔い改めよ」とは何かと言えば、これは罪を悔い改めるということです。罪には二種があって、 人間に対する罪と、神に対する罪である。人間に対する罪は、可能であればその人に詫びて和解すれば解消されますが、 神に対する罪はそういうわけにはいきません。神に対する罪は避けることができない、というのは、当時のユダヤ教には613の律法があり、神の律法を完全に履行することは ほとんど不可能だったからなのです。そこで神に対する悔い改めが必須のこととなります。当時のユダヤ人にとって、このことは日常生活の 挙動まで入り込んで律していた常識であったことで、それぞれの家庭で幼い頃から教えられていたと考えられています。
しかし、イエスは神の与えた律法を内面化し、律法を形式的に出はなく、完全に守ろうとします。例えば、イエスはこう言っています。
「あなたがたも聞いているとおり、『姦淫するな』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。みだらな思いで他人の妻を見るものは誰でも、既に心の中でその女を犯したのである。」
イエスは、女性に対し、みだらな思いで見てはならない。もしみだらな思いで見るならば、それは地獄に落ちるほどの罪を犯すことになるのだと警告しているのです。
そしてイエスは続けました。
「もし、右の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に投げ込まれない方がましである。もし、右の手があなたをつまずかせるなら、切り取って捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に落ちない方がましである。」
とても恐ろしい話ですね。世の男性陣のいったい誰が、地獄に落とされる罪から免れることができると言えるでしょうか。
このイエスの言葉は、十戒の言葉、「姦淫するな」と言う戒めを守るということは、姦淫を実際に行わなければいいわけではないと言っています。たとえ心の中であったとしても、それは同じ罪を犯しているのだと言っています。
当時の律法を守る者たちの中には、イエスが語ったのと同じく、心の中でも罪を侵さないように努めている人は少なくなかったそうです。
ですが、私たちの心の中は誰にも知られる事はありません。律法を守っているかどうか、心のうちで罪を犯しているかどうか、自分以外の誰が判断することが出来るでしょうか。
そして心の内までも問題としたならば、いったい誰が律法を全うすることが出来るでしょうか。誰も律法を全うできないのです。
その現実の前に、いつの間にか人々は、行いとして律法を破らなければいいというように勝手な判断をしていたようです。
ですから人々は、律法が何を語っているかに耳を傾けず、律法を都合よく判断して、自分は律法を全うしているとみなしていたのです。そのように考えて、自分自身は律法を守っている、だから自分は清く、正しいのだということの根拠としていたのでした。
イエスはそのような思いに対し、あなたは本当に律法を守っているのかと警告を発し、悔い改めを求めておられるのです。
もし律法を守っていなければ、目をえぐり出してでも、手を切り落としてでも、律法を破らないように気を付けなければならない、「体の一部がなくなっても、全身が地獄に落ちない方がまし」だと言っているのです。
また、有名な話には、こんなものもあります。
イエスが姦淫の罪で捕らえられた女を差し出された際、
「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい。」と言いました。
すると、彼らは一人一人出ていき、しまいにはイエスしかその場にいなくなりました。
こういったエピソードから、「人間は罪を犯してしまう罪深い存在であり、それを悔い改めなければならない」と考えたいたのではないか、と推察されます。なので、今回ご質問頂いた選択肢の言いまわしが100%正しいかどうかはさておき、それっぽいことは考えていたのかなぁ。。。ということが推察できます。(恐らく、これはあくまでイメージの問題になります。「この本にこう書いてあるから、この選択肢が正しい!」ということには、ならないと思います。)
この問題の他の選択肢を見ていないので何とも言えませんが、この問題は、正攻法(正解をダイレクトで選びに行く方法)ではなく、消去法を交えて解答する問題ではないでしょうか?もし、正攻法しか解き方がないのであれば、なかなかの難問といってよいと思います。
ご質問、ありがとうございました。また、何かわからないことがあれば、ご質問ください。よろしくお願いします。