「2023年10月7日から1年を迎えるにあたって」
2024年10月7日の声明
「2023年10月7日から1年を迎えるにあたって」
2023年10月7日から1年が経ち、2024年10月7日を迎えました。JIPSCは、「対話」の場を創造し、日本社会への関心を喚起するという2003年の創設以来の活動を継続する意志を再確認するとともに、民主的正統性のない統治、占領、差別、攻撃、暴力がもたらす恐怖と欠乏から、あらゆる人々が直ちにかつ最終的に解放されることを強く希求します。
パレスチナとその地に生きる人々にとって、この日は、長年続く不正義がさらに悪化し、幾万もの命が奪われ、生きる者の尊厳が侵害される分水嶺として「拭えない記憶」となりました。イスラエルとその地に住む人々にとっても、この日は「拭えない記憶」となっています。イスラエル政府は、人質解放を求める市民の声を軽んじ、今も多くの人々が人質となったままです。
1年が経過し、レバノンへの侵攻やイエメン、シリアへの爆撃など、状況はさらに悪化しています。
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先月18日、国連総会は、イスラエルによるパレスチナ占領政策の終結を求める決議を賛成多数で採択しました。これは、国際司法裁判所(ICJ)が、イスラエルの占領政策が国際法に照らして違法であるとする勧告的意見を受けてのものです。日本は法の支配を重視する立場から賛成票を投じました。JIPSCは、日本の賛成票を歓迎し、支持します。
日本国憲法の前文は次のように謳います。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」。しかし、長年の占領下で、特にこの1年間、ガザ地区の人々は「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」を奪われ続けてきました。今回の国連決議は、日本国憲法前文の精神と一致するものであり、パレスチナの人々のために掲げられたものです。一方で、不正義を傍観し、擁護する行動は白日の下にさらされています。
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この8月、昨年10月7日以来初めて、JIPSCは合同学生会議を開催しました。JIPSCの活動は22年目を迎え、合同学生会議は20回目の節目となりました。今年度の第20回合同学生会議は、JIPSCの理念に賛同し、草の根の小さな希望を見出してくださる多くの方々のご支援により実現しました。
一方で、イスラエルとパレスチナの人々を日本に招き、2週間にわたって寝食を共にし対話を重ねる活動に対して、一部の方々から批判の声が上がったことを承知しています。たしかに、イスラエルとパレスチナという主体に着目すれば両者は非対称なのであり、そこに対等な対話は存在しないのでしょう。
しかしながら、JIPSCは、イスラエルとパレスチナに生きる「人」を対話の場に招いています。数字で表される人ではなく、誰かにとってかけがえのない、名前のある、顔のある人々を招いているのです。私たちオーガナイザーや合同学生会議の参加者たちは、いかなる政府あるいはそれに類する主体を代弁しているのではありません。参加者たちは、むしろ、誰からも強制されることなく、自らの固有の信念のもとにあらゆる障壁を越えて、確固たる態度表明として学生会議に参加しているのです。
今年は、現地で活動するNGO「Combatants for Peace」の協力により、例年にも増して、特に(ガザ地区出身者を含む)パレスチナから多くの参加希望の声をいただきました。JIPSCが、20年を越えて歩み続けられたのは、私たちの活動とその理念に共感し、参加を望む声をあげたイスラエルとパレスチナの人々のおかげにほかなりません。イスラエルとパレスチナの人々からの参加を希望する声が続く限り、活動を絶やさないことが一つの責務であると、私たちは考えています。
JIPSCは、民主的正統性のない統治、占領、差別、攻撃、暴力、そしてそれらがもたらす恐怖と欠乏から、すべての人々が直ちにかつ最終的に解放されることを強く望みます。
2024年10月7日
日本・イスラエル・パレスチナ学生会議(JIPSC)