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子ども『いま・みらい』ラボ

新しく出版された「放射線副読本」ってどうなの?~平成26年版との比較~

2019.01.12 07:06

前回、おかしな点を紹介した平成30年9月出版の「放射線副読本」。今回は左側の「平成26年版」と比較してみたいと思います。尚、平成26年版は下記のURLにあります。


平成26年版

http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1344729.htm



まず、平成26年版の「はじめに」では、下記のように書かれていました。

平成23年に起きてしまった福島原発事故について真摯に受け止めた上で書き出されている印象を受けました。


一方、平成30年版の「はじめに」は下記の通りです。

小学生、しかも1年生のうちから「放射線の性質」について勉強し、放射線に向き合うことが要求されることが書かれています。


その割には、放射線に関して、きちんと記述していないことは前回のブログで書いた通りです。


「はじめに」から矛盾を感じてしまうのは気のせいでしょうか?


(前回のブログ)

https://forthechildreninjapan.localinfo.jp/posts/5427670


また、写真はいかがでしょうか?平成26年と比べると非常に明るい印象です。文章の中には「復興に向けた取組みは着実に進んでいます」とか「災害を乗り越えて未来に向かうには・・・」と書かれています。


復興に向けた取組みは進んでいないし、災害と称している「福島の原発事故」は少しも乗り越えていません。


本当に、こんな書き出して良いのでしょうか?






続いて、平成30年版と平成26年版を比較するため、各内容別にページ数を調べました。その結果が下記の表です。

主だった変更は下記の通りです。



・放射線の知識に関する記述が2倍に増えました。


・原発事故に関する記述が4分の1に減りました。


・復興・現状に関しては増えましたが、内容に変化がありました。平成26年版は事実を踏まえた内容でしたが、平成30年版は非常に楽観的な印象の内容でした。また、平成30年版は除染について触れられていませんでした


・体への影響は記述が4倍に増えました。ただし、平成26年版は事実を踏まえた内容でしたが、平成30年はページ数が増えた分、ミスリードを誘うような記述が見られました。



なぜ、小学生がこれだけの放射線の知識を身に付けさせようとするのか、理由が問われます。






さらに、こんなのも平成30年版から見られるように、、、

痛々しいほどの必死さを感じてしまいます (^^;)






最後に、放射線が体に与える影響について書かれている説明を、両年版ともにご紹介します。


まず、こちらが平成26年版に書かれたもの。


こちらが平成30年版です。

主だった変更点は以下の通りです。


(平成26年版)たくさんの放射線を受けると、やけどをしたり、がんなどの病気になったりすることが確かめられています。

   ↓↓↓

(平成30年版)削除


(平成26年版)一度に100 ミリシーベルト以下の低い放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因として、がんなどの病気になるかどうかについては、様々な意見があり、はっきりとした結論は出ていません。

   ↓↓↓

(平成30年版)100ミリシーベルト以下の話は削除。かわりに、100~200ミリシーベルトの話に変更。その内容の問題点は前回のブログでご紹介した通りです。


(平成26年版)今後、低い放射線の人体への影響についても、安全のために研究を進め、できるだけ早く、科学的に解き明かすことが必要です。がんなどの病気は、いろいろな原因

が重なって起こることもあります。ですから、大人はもちろんのこと、これから長く生きる子供たちは、放射線を受ける量をできるだけ少なくすることが大切です。

   ↓↓↓

(平成30年版)放射線を 受ける量をゼロにすることはできませんし、自然の中にもとからあった放射線や、病院のエックス線( レントゲン)撮影などによって受ける放射線で、健康的な暮らしができなくな るようなことを心配する必要はありませんが、これから長く生きる子供たちは、放射線を受ける量をできるだけ少なくすることも大切です。




この平成30年版ができた経緯については細かくヒアリングをしてみたいものです。


最後まで読んでくださって、ありがとうございました。