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赤のまま

2024.10.07 07:37

https://kigosai.sub.jp/001/archives/2724 【赤のまんま(あかのまんま)初秋】より

【子季語】  犬蓼の花、赤のまま、赤まんま、花蓼

【解説】

タデ科の一年草。山野や路傍に自生する。初秋、小粒の穂状の紫紅色の花を咲かせる。この粒状の花をしごき取り、赤飯にみたてて、ままごとに使って遊んだことから、「赤の飯(まんま)」とよばれる。

【科学的見解】

赤のまんまに活用される植物は、タデ科の複数種が含まれているが、人里付近に自生している最も一般的な種は、犬蓼(イヌタデ)である。イヌタデは、在来の一年草であり、全国において普通に見られる植物である。和名は、タデ酢に活用するものとは異なり、葉に辛味がなく役に立たないということから、イヌタデとなった。犬(イヌ)は、否(イナ)から生した言葉である。(藤吉正明記)

【例句】

犬蓼の花に水落ち石出たり    村上鬼城「定本鬼城句集」

赤のまま摘めるうまごに随へり   臼田亜浪「定本亜浪句集」

舟あがるときつかみたる赤のまま  高田正子「花実」


https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12533824507.html 【祝い事少なくなりぬ赤まんま】より

祝い事少なくなりぬ赤まんま( いわいごと すくなくなくなりぬ あかまんま )

丁度今頃は、だんだんと花も少なくなる時期だが、川辺や道端の草地で、穂状に小さなピンク色の花を咲かせている野草を時々見かける。

名前は「犬蓼(いぬたで)」というが、「赤まんま」もしくは「赤のまま」と言った方が馴染みがあるかもしれない。

「まんま」とは、幼児語で「ご飯」のこと。「犬蓼」の赤い花を赤飯に見立て「赤まんま」と呼び、それがそのまま草の名前になった。

赤飯は何かのお祝い事があった時に食べるが、そういえば、最近はお祝い事が少なくなったなと感慨を込めて詠んだのが掲句。「犬蓼」は「赤まんま」「赤のまま」と共に秋の季語。

ところで、「蓼」と言えば、「蓼食う虫も好き好き」という諺を思い出す。これは、「辛くて苦い蓼を好んで食べる虫がいるように、人の好みは様々で、自分の好みから推し計って一概に人を批判することはできない」という意味で使われている。

ただ、ここでいう蓼とは、刺身のつまなどに使われる「柳蓼(やなぎたで)」のこと。「犬蓼」は、葉に辛味がなくて役に立たないため、名に「犬」が付けられた。

*植物名の「犬、イヌ」は、役に立つ植物の何かに形態上は似ているが、人間生活に直接有用ではないものであることを表すことが多い。

話は戻って、「赤まんま」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】

① 赤まんま白まんまとて原一杯

② 揺るるもの多き川辺や赤まんま

①は、鴨川の川辺で大型の「犬蓼」=「大犬蓼(おおいぬたで)」が群生しているのを見て詠んだ句。ここでは白い花のものを「白まんま」と呼び、「原一杯」を「腹一杯」にかけた。

②は、同じ川辺で、風に煽られ花穂を揺らしている咲いている「大犬蓼」を見て詠んだ句。

犬蓼は、タデ科イヌタデ属の一年草。原産地は日本、中国など。花期は7月~10月。茎の先端から穂を出し、花を密につける。花弁のように見えるものは萼(がく)で花弁そのものはない。     

川辺などでは、長い茎の先に大きな花穂を付ける「大犬蓼」がよく見られる。また、園芸品種に、それを更に大きくした「大毛蓼」がある。(上写真参照)

「犬蓼」「赤まんま」「赤のまま」で詠んだ句は結構ある。以下には、その中から特に「赤まんま」で詠んだ句をいくつか選定し掲載した。(過去に掲載したものを除く。)

【赤まんまの参考句】

赤まんま空地に捨ててある枕 (秋元不死男)

子をもたず母を送りて赤まんま (関口桂史)

山の田は作らず売らず赤まんま (影島智子)

空壜を吹く子が一人赤まんま (小島健)

赤まんま留守番の子の指しやぶり (島汀子)


https://yuku.blog/hatake/inutade-flower/ 【イヌタデ(犬蓼)の花言葉|赤まんまの由来と俳句・和歌の紹介】より

イヌタデ(犬蓼)の花言葉は、「あなたのお役に立ちたい」です。

「お役に立ちたい」という願望形であるのは、役に立つと認識されていないから。

イヌタデという名前には、「役に立たないタデ」という意味が込められているんです。

でも実際には「赤まんま」という名前で親しまれ、秋に咲くピンクの花はとても綺麗。

普通に食べることもできますし、役に立たないなんてことはまったくありません。

この記事では、イヌタデの名前の由来と花言葉について解説します。

イヌタデ(犬蓼)の名前の由来

イヌタデ(犬蓼)の「イヌ(犬)」には、「役に立たない」という意味合いがあります。

今でこそ大切に飼われる犬ですが、昔は無駄死にすることを「犬死に」と言ったり、非道徳的な人を「犬畜生」と言ったり、犬をかなり下に見ていたんですね。

今でも「負け犬」という言葉がよく使われていますが、私はこの言葉を使う人を好きにはなれません。

「タデ(蓼)」と言えば、古くは「ヤナギタデ(柳蓼)」のことを指すのが一般的だったようです。

ヤナギタデには辛味があり、香辛野菜として古くから利用されてきました。

「蓼食う虫も好き好き」ということわざはヤナギタデのことで、「辛いタデを食べる虫がいるように、人の好みはさまざま」という意味で使われます。

一方で、イヌタデには辛味がなく、食用にもならない、ということから、「役に立たないタデ」を意味する「イヌタデ」という名前が付けられてしまいました。

鎌倉時代中期の歌人、「藤原為家(ふじわらのためいえ)」は、このような和歌を残しています。

からきかなかりもはやさぬいぬ蓼の穂になる程に引く人のなき

「かりもはやさぬ」は、「刈って生やさないように」という意味。

「イヌタデが穂になるほど伸びたけど、抜いてくれる人もいない」ということで、当時から雑草扱いされていたことがわかります。

イヌタデ(犬蓼)の花言葉

そんな不名誉な名前を付けられてしまったイヌタデ(犬蓼)の花言葉は、「あなたのお役に立ちたい」です。

いつ誰が言い始めた花言葉なのかはわかりませんでしたが、とても的を得た花言葉だと思います。

秋になると道端や草むらでよく見かける身近な草花でありながら、あまり気に留められることもないイヌタデ。

花は誰もが見たことがあると思いますが、それがイヌタデの花だと知っている人はあまりいないのではないでしょうか。

コスモスは誰もが知っているけど、イヌタデは草花好きにしかわからない、そんな植物だと思います。

食用にされることもなく、庭や畑では雑草扱いされてしまうこともありますが、「あなたのお役に立ちたい」と思いながら、謙虚に咲いているのかも知れません。

イヌタデ(犬蓼)は役に立つ!

イヌタデ(犬蓼)には、「赤まんま」という別称もあります。

赤い蕾と花が赤飯を連想させることから、「赤まんま」という名が付けられました。

子どもがままごと遊びで、赤飯に見立てて使う花としても親しまれてきたそうです。

また、「赤まま」、「赤のまま」、「犬蓼の花」は秋の季語であり、正岡子規や高浜虚子も俳句を詠んでいます。

犬蓼の花くふ馬や茶の煙 (正岡子規)

此辺の道はよく知り赤のまゝ (高浜虚子)

特に高浜虚子は、昭和10年(1935年)に東京日々新聞社(毎日新聞の前身)が企画した「新・秋の七草」で、アカマンマを選んでいます。

このように、食用にはならずとも、イヌタデは人々を楽しませてきた草花です。

道端でピンクの綺麗な花を咲かせているだけでも、十分役に立っていますよね。

イヌタデ(犬蓼)は食べられます!

「食べられないから役に立たない」とされてきたイヌタデ(犬蓼)ですが、実は食べられます。

辛味がないので香辛野菜にはなりませんが、その分クセがないので、普通に美味しく食べられるんです!

イヌタデの花はプチプチとした食感が美味しくて、ピンクの花は料理の見た目もよくしてくれます。

イヌタデを美味しく食べる方法を集めていますので、ぜひ食べてみてくださいね♪