スナップ『物の見え方を楽しむんだ』
1、2歳の子供達にとって椅子にじっと座っていられないのには訳があります。今回は子供の集中力と物の見え方捉え方について生徒さんの様子で解説をしてまいります。
子供の集中力を育てたい時に親御さんはじっとして事にあたってほしいと考えるものです。しかし実はこの考え方は1、2歳の子供の身体発達の理には適っていません。
乳児から身体発達を行っている1、2歳はまだまだ視覚を発達させなくてはなりません。その発達を促すためには一方向からのものを見ることよりも多角的にものを見ることが自然なのです。つまり本能的に見え方を楽しむという捉え方をしてください。
しかしそれにも性差が関係します。女の子は乳児の頃から比較的安定した動きを好みます。それはなぜなのか私なりに考えていると女の子は将来母になるために人の表情をじっと見ていることをしなければならないので比較的動作が物静かなのだと考えます。
一方男の子は小さい頃から比較的動き回ります。狩猟時代からの本能が残っているのか対象物を様々な方向や角度から多角的に対象物を捉えようとします。その時によく見受けられる行動に対象物を裏返しにしてみたり分解したり、椅子から立ち上がり見え方を楽しんだり、時にはテーブルに上って高さを変えて対象物を見たりと様々な方向から見え方のアプローチを変えていきます。
男女の性差という点で見え方や捉え方の育み方の違いで男の子たちが図形力に長け、女の子が図形がやや苦手ということに着地してしまいがちなんだろうと考えています。
しかし物の見方を楽しんでいるからずっと離着席を繰り返して良いという訳ではありません。腰を据えて集中力に磨きをかけねならないタイミング時にはしっかりと座る促しも必要です。
写真の生徒さんはこの発達期の真っ只中にいます。椅子に座って蜂のおもちゃを摘んでいたかと思えば、すぐに立ち上がって容器の中に入っている蜂を真上から覗き、すかさず席を離れて見る方向を変えるという動きをおこなっています。
我が子がその発達期にあるんだと理由がわかれば今は離着席を繰り返して当たり前なんだとお分かりになるでしょう。時にテーブルに上がろうとすれば抱き抱えて見え方を親子で楽しんで、躾上好ましくないテーブルに上がるということを回避する方法もあります。
やがてある程度物の見え方捉え方を学んだ段階で着席しての取り組みを促すことになります。その着席を促す時にはこれまで行なったことで満足感も出てきますから飽きてしまうかもしれません。その時には親子で交互に入れる遊びをしたり、親が間違えて子供に訂正してもらうなどの取り組みを一緒にして見る方法もあります。集中力という育みをしたいと親が固執するあまり子供が嫌がってしまうので、親も柔軟に見え方を楽しんだんだそれだけでも十分だと考え方を切り替えた方が良いと考えます。最後まで一人で集中する時間は短くなりがちですが、多くのおもちゃや教具を扱うことで集中力を上げることにしようと考え方を切り替えてみましょう。
このような発達を理解し受け止め、お子さんを観察する楽しみを見つけ出せることを願っています。引き続きお子さんの成長のプロセスと可愛らしさの発見に目を凝らしてみてください。