提案『聞かない・聞けない・聞こえてない・聞いても記憶に残らない』
子供が話を『聞いていない』問題は大人が考えている以上に子供自身がどのような状況に置かれてそのようになっているのかを判断する必要があります。つまり『聞いていない』は4つのタイプがあり、その違いは歴然でタイプ別に精査して働きかけを行う必要があるのです。
すでに母親の学びとして内容を学んだお母様方は復習記事として読んでいただけると新たな学びを受け取ることができるかもしれません。内容については掘り下げたものにはあえて致しませんのでご質問等はレッスン時にお願いいたします。では早速各タイプについて話を簡単に進めます。
1、聞かない子供
親御さんが一番悩ましく手を焼くのがこの『聞かないタイプ』だといえます。こうした方がいいよ、ああしたらどうだろうと様々な教えや提案をしても子供自身が自分の考えや意志を貫こうと拒んだり、自分の想い通りにしたいという強い意志を持って他者の意見や教えに耳を貸さないという状態のタイプの子供です。しかし別の見方をすれば自らの考え方、意見、意志を強く持てているということは素敵なことだとは思うのですが、時にその思いが的外れなこともあるのであまりにも強硬な態度を示す場合には指導が難しくなることがあります。その結果本来持っている能力を引き伸ばすことができないことも珍しくはありません。
ですからこのような子供の場合には、子供の言い分をしっかり聞いてあげることから始めます。その先の細かな指導方法については個々によって異なり違いがあるため個別相談とします。
2、言葉の意味が理解できず聞けない
言語を正確に聞き取り意味を理解することが難しい状況にあるタイプです。先ず親が認識しなければならないことは、このタイプのお子さんは比較的言葉の理解力が弱いので聞いているようでその言葉の意図することが理解できず聞き漏らしがかなり多い傾向にあります。また人の話が最後まで傾聴できないことも特徴としてあり正確な把握が困難です。話を聞いているように見えるわけですが、言葉の理解ができていないので言葉の意味を理解しているであろうという前提で話を進めてはならないのです。
つまり子供自身に起きている状況というのは、耳にした話や言葉が脳内に入ってこず内容がわからない状態にあり、意味がわからないためどのように対処すれば良いかわからない、よって行動が起こせないという困っている状況のループを起こしやすいのです。
先ず親が理解してあげなければならないことは、言葉の意味を子供自身が理解できるように伝えることが必要であり、言葉を多く理解できるように子供の言語力を上げることが必要だと言えます。子供に伝えることや教えるためのスキルが大人に求められます。
3、聞こえていない
相手が話す言葉が全く入ってこない状態を指し、意識が話し相手に向かないことが聞こえていない大きな要因です。このタイプには2通りあります。一つは視覚認知に長けている子供です。視覚認知に長けている子供は対象物に夢中になり過ぎて人の話が全く聞こえてこない状況にあり、そのような子供は比較的集中力が高いという特徴があります。よって視覚と聴覚のバランスを考えた働きかけを行う必要があります。
そしてもう一つは見ているようで見ていない、聞いているようで聞いていないという空想的な様子を持つパターンもあります。人が話している時や授業中などにぼーっとしていることが多く、聞き漏らしがかなり多くなります。
この2タイプは人の話が耳に入ってこないという状況は似ていますが、その要因となる理由には大きな差があります。1つのことに集中しているともう1つのことに意識を向けることができない前者と何かを想像していたり物事を整理している後者とは大きな差があるのでどのタイプなのかを見極めること、そしてそれぞれのタイプに合った働きかけを行う必要があります。その中でも共通していることが同時に2つのことを成立させることが難しいということですが、先々のことを考えて視覚と聴覚のバランスを考えた働きかけが必要になり努力を要することになります。
4、聞こえていても記憶に残らない
ちゃんと話を聞いていても耳に入った言葉や知識が記憶に残らない場合があります。これは明らかに学習においても脳の活性化においても残念だと言わざる得ません。
見聞きした情報を思考に繋げることが難しい場合に情報を記憶として定着させることが難しく覚えが悪いという事に成りかねないタイプです。聞こえていても得た情報を思考に結び付けられていない思考不足からくることから起きる状態ですが、この場合には同じことを何度も聞いてくることや似たような問題であっても共通項が見出せず解き方を覚えられないということが繰り返されます。このタイプの特徴である口癖が「忘れた、覚えていない、そうだっけ」などの言葉を頻繁に発言します。言葉のインプット量の少なさも関係し、得た情報をじっくりと思考し発語させる経験の不足、何より覚えようという思考のスイッチが形成されていないことからこのタイプは、一にも二にも何かを思考させる練習や覚えるということがが必要になります。
一言で『聞いていない』ということでも大きく分けて4つに分けることができますが、中には複合的にいつくかを特徴を組み合わせたタイプも考えられ、その場合にはしっかりとした個別の対応が必要になります。