赤い影
中学2年の頃、友達と下校途中にこんな話題が出た
「うちの山のさ、洞窟の中ってどんな感じなんだろ」
大和は友達(以下A)の裏にある小さめな山。
A「洞窟の中には違う世界に繋がってるらしいぜ!」
とか言い始めて結局その話題で下校中ずっと盛り上がってた。
なんでもAが言うには「こことは違う世界」ってのがあるらしい。(他にも言っていた気がするけど覚えてない)
俺は嘘乙とか思っていたが「もし本当にそんな世界があったら・・・」とか考えるとちょっとワクワクしていた。
そして二日後くらいにAがこんな事を言い始めた。
「洞窟の中、行ってみねえ?」
俺は嫌だと反対したがAがすごい頼みまくってきてしょうがなく行くことにした。
実行日は3日後の日曜日。Aの家に集合で必要な物を持ってAの家に集まることに決定した。
俺はなんどもやめようぜと説得してみたがAは行く気満々だった。
そして洞窟探検翌日、俺はAの家に向かった。
Aは携帯電話、懐中電灯を持ち俺は携帯だけ持って山に入った。
その洞窟に着くまでに何があるんだろうとか色々喋りながら歩き洞窟に到着。
穴自体は小さめ(人がギリギリ入れる)なんだが中がすごい広くどこか違う場所に繋がっているらしい。
Aが懐中電灯を持っていたのでAが先に入ることになり洞窟探検開始。
中はすごい暗くて地面は泥見たいな感じで滑りながらどんどん進んでいった。
少し進むと洞窟の中の壁の周りに「4」って数字が書かれている紙がたくさん貼ってあった
Aが「気味悪いなー」とか言いながらもどんどん奥に進んでいき、出口が見えてきた。
「出口だ!」とAが走って行き、俺も早歩きでAを追うように進んでいった 。
洞窟から出たらAが居なかった。
さっきまで懐中電灯を持ったAが居たのに居ない。
異変はそれだけじゃなかった。
まず空の色が紫だった。葡萄みたいな色では無く、もっと薄い紫。
木には「0」と書いてある紙がたくさん貼られている。
俺は携帯を取り出しすぐAに電話をしようと思ったが電池切れだった。
昨日寝る前に充電していたはずの携帯がなぜか「充電してください」と表示されていた。
もしかしたらAは下に降りているのかもしれないと思い、俺はとりあえず山の下に降りて見た。
山からすぐ下り、道路に出た。
山の洞窟がどこかに繋がっていれば小さい山だしすぐ分かると思い急いで降りた。
だがそこには見覚えのない物ばかりで、本当にここが自分の知っている場所なのかと疑った。
まず槍を持った白い像(エジプトとかの壁画のアヌビス?)がたくさん置いてあった。
大きさは4mくらいで結構大きく、それが何十個も道路に置いてあった。
もう一つは青い鳥の像。
大きさは白い像と同じくらいであちこちに倒れていたり壊れていたりした。
とりあえず歩いてみようと思い道路を歩いていくと、赤い人の影があった。
人の影なんだけど影が立体になって色がついてる感じで、あと部位が欠けていた。(右足の影がなかったり両肩がなかったり)の影がそこらへんをウロウロしていた。
俺は話しかけてみようと思い赤い影に近づき、「あの」と話しかけて見た。
赤い影は振り向き「イ゙ィィッギィアアアアア゙!」と言い始めて影の色が青く変わった。
うわあああああああ!!と叫びすぐその場所を立ち去った。
ずっと走り、俺の知っている公園に着いた。
ここでひとつ俺は分かった点があった。
不気味な置物が置いてあっても、赤い人影が居ても俺の知っている道だ。
だとしたらAの家に行けばもしかしたらAが居るかもしれない、充電器だってあるはず。
公園からAの家は5分もかからず、俺は急いでAの家に向かった。
Aの家に向かうまでは赤い影に当たらず行こうと思い、避けながら進んでいた。
赤い影が向かってきたら遠ざかり、と繰り返してAの家に到着した。
とりあえず玄関に行き、ドアを開けた。
リビングに行き新聞を見ると、2158年16月4日 と書いてあった。
記事は「警察が一般人を射殺」や「●●(思い出せない)が終了、国に未来は?」など色々書いてあった。
そして記事を見ていくと一つ俺が見てきた物と関係した記事があった。
「謎の赤い影、目撃数2000突破」とそこには書いてあった。
詳しく見ると、日本全国で俺が見た赤い影を見た人たちが2000人を越した、と書いてあった。
話しかけても反応が無くすぐ消えてしまうらしい。
だがここで俺が見た赤い影と違う点があった。
俺は話しかけたら奇声をあげられた、という事。
そして赤色の影が青色に変色するという事。
とりあえずAの部屋に行き充電器を見つけて充電しようと思ったが、コンセントに入れて携帯に差しても反応が無い。
俺は冷や汗が出てきて、なぜか急いでAの家から出て自宅に向かった。
自宅に向かう途中、色々な赤い影が居た。
鳥や蛙、生きていない車の影も居た。
また、黒い猿の像や、地面には変な落書きがされていて何かの絵が描かれている。
電柱みたいに細長く、緑色の棒もたくさん建っていた。
そして家に到着し、リビングを見渡したが親や兄は当然居ない。
自分の部屋に行ってみると黄色い影が居た。
今まで見てきたのは赤い影、なのにどうして黄色いのだろうと思った。
俺と同じ身長で、右手には黒い四角形の布(ハンカチ?)を持っていた。
30秒くらい見てると黄色い影が話しかけてきた。
「君は、違うね ●●(違う国の言葉?)じゃない」
俺は外見が少し違うが初めてまともな奴が居たと思い涙が出てきた。
とりあえずここはどこだか知りたいのでここはどこですか?と聞いてみた。
黄色い影は「僕だってわからないよ」と予想外の返答が来た。
あの赤い影とは違うんですか?と聞くと「僕は僕だ」と言い黄色い影は黙ってしまった。
沈黙が続くと黄色い影から話しかけてきた。
「君こそ誰だ?」と急に聞かれて俺は名前と好きな食べ物を答えた。
「なら早く立ち去った方がいい 君はここ居てもいい●●じゃない」
どうしてかと聞くと黄色い影は黙り込み、また沈黙が続いた。
もう一人俺みたいな奴を見なかった?と聞くと「見てない」とだけ答えまた黙り込んだ。
俺は帰る方法を教えてほしい、と聞くと黄色い影は「目を瞑って10数えて」と言った。
言われた通りに眼を瞑り10数えると「もういいよ」と言われ、目を開けた。
病院の天井が俺の目には映っていた。
隣にはAが居て「よかった」と言いボロボロ泣いていた。
すぐに医者を呼ばれ、体を見て貰うと特に異常は無かったらしい。
そのあと親に怒られたりしながら詳しく聞くと洞窟から出た後急に俺が倒れ、
Aがおんぶして山を降り道路で救急車を呼んだ。
そして4日間意識が無く今日目覚めたらしい。
俺が見てきたことを話すとICUで見てもらうか?と笑われて相手にしてくれなかった。
俺はあの小さな山について親に聞いてみても特に事件や言い伝えは無いらしい。
だけどあの小さな山には絶対に近づかないとAと約束した。
俺が見てきた紫の空、木に貼られた「0」、赤い影や銅像はいまだにわからない。
もしかしたら俺の夢かもしれないしな。