鬼門突破:歴史的初ゴールでサウジ撃破、W杯へ前進
2024年10月10日、サウジアラビアのジッダにあるキング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアムで行われた2026年ワールドカップ北中米大会アジア最終予選C組第3戦、日本対サウジアラビア戦は、日本が2-0で勝利を収めた。FIFAランク16位の日本代表と56位のサウジアラビア代表の対戦は、完全アウェーの中、日本が貴重な勝ち点3を獲得した歴史的な一戦となった。
試合当日、スタジアムには約6万人のサウジアラビアサポーターが詰めかけ、スタンドは緑一色に染まった。対する日本人サポーターは約100人ほどで、圧倒的なアウェーの雰囲気の中、試合は開始された。日本は、過去3試合でサウジアラビアに全敗しており、特に2022年カタールワールドカップ予選ではサウジアラビアのホームでフィラース・アル=ブライカーン選手が決めたゴールにより、日本は敗北を喫していた。しかし、今回はその雪辱を果たすべく、試合に臨んだ。
試合は序盤、サウジアラビアのハイプレスに苦しむ場面もあったが、日本は徐々にボール支配率を高めていく。そして前半14分、右サイドの堂安律選手からのサイドチェンジのパスを、左サイドの三笘薫選手がダイレクトで折り返し、守田英正選手が頭でつなぎ、最後は鎌田大地選手が冷静にゴールを決めた。サウジアラビアの地で日本がゴールを決めたのは、これが初めてのことであり、サウジアラビアにとっては大きな衝撃となった。サウジアラビアは試合開始前に4バックで来ると思われていたが、蓋を開けてみると4-3-3のシステムで試合に臨んできた。日本は9月の試合に続き3バックシステムを採用したが、枚数の関係上序盤はビルドアップでややもたついたように見えた。それでも、森田選手がカバーする動きを見せ、徐々に日本ペースに持っていけた。
先制を許したサウジアラビアは反撃に出るが、日本の守備陣は集中力を切らさず、容易にゴールを許さない。特に前半26分には、サウジアラビアが立て続けに3本のシュートを放つが、日本の守備陣が体を張ってブロックするなど、堅い守備でサウジアラビアの攻撃をシャットアウトした。また、前半42分には、サウジアラビアの選手がペナルティエリア内でシュートを放つが、GKの鈴木彩艶選手がファインセーブでゴールを防いだ。サウジアラビアはボールを保持し、再三に渡ってチャンスを作りながらも1点が遠かった。前半にイエローカードをもらったのはMF南野拓実選手だけだった。また、これまで日本を苦しめてきた中東の笛が決定的な場面で鳴り響くことはなかった。サウジアラビアの選手がすぐに転んでファウルを主張するのを流したため、変に試合が止まることもなかった。
後半に入ると、日本は南野拓実選手に代えて伊藤純也選手を投入する。伊藤選手は右ウイングバックに入り、堂安選手が1列上がって右シャドーにポジションを変更した。そして後半36分、日本が追加点を奪う。伊藤選手のコーナーキックを小川航基選手がヘディングで合わせ、ゴールネットを揺らした。2点のビハインドとなったサウジアラビアは、その後も反撃を試みるが、日本の堅い守備を崩すことができず、試合はそのまま2-0で終了した。
この試合で注目すべき点は、日本の組織的な守備だ。サウジアラビアはボール支配率では日本を上回っていたが、日本の守備陣は集中力を切らさず、サウジアラビアの攻撃を封じ込めた。特に、3バックの中央に入った板倉滉選手は、的確なポジショニングと対人守備の強さでサウジアラビアの攻撃陣を苦しめた。また、GKの鈴木彩艶選手も安定したセービングで日本のゴールを守り、3試合連続のクリーンシートに貢献した。
一方、サウジアラビアは、巨額の資金を投じて世界中からスター選手を集めているが、代表チームの成績は向上しておらず、国内選手の出場機会が減っている現状が問題視されている。サウジアラビアリーグは、外国人枠が10人と多く、海外の選手が席巻しているため、自国の選手は育ちにくい環境にある。また、国内リーグで高額なサラリーをもらえるため、選手たちは海外移籍へのモチベーションが低く、代表チームの強化に繋がっていない。サウジアラビア代表の主力選手の負傷や出場停止、そしてマンチーニ監督の不可解な選手選びも、チームの不調の要因として挙げられている。
今回の日本戦の敗北を受け、サウジアラビア国内では、ロベルト・マンチーニ監督の解任を求める声が上がっている。マンチーニ監督は、イタリア代表監督を辞任してサウジアラビア代表監督に就任したが、その年俸は40億円相当と巨額だ。しかし、就任以来、思うような結果を残せておらず、今回の日本戦の敗北でその批判はさらに強まった。サウジアラビアのメディアは、マンチーニ監督の采配や選手起用、戦術に疑問を呈しており、特に、国内選手の出場機会が減っていること、スター選手の獲得が代表チームの強化に繋がっていないことなどを指摘している。サウジアラビアのファンからも、マンチーニ監督に対する厳しい声が上がっている。ネット上では、「マンチーニを解任しろ」「マンチーニはただ座っているだけ」といった批判が殺到している。
一方、日本は、今回のサウジアラビア戦の勝利で、ワールドカップ出場へ大きく前進した。日本は3試合連続無失点で開幕3連勝を飾り、勝ち点9でC組首位をキープしている。海外メディアは日本の強さに注目しており、特に組織的な守備を高く評価している。サウジアラビアのメディア「Arriyadhiah」は、日本はアジア屈指の競合であり、素晴らしい成績を残していると評価している。次戦、日本はホームでオーストラリアと対戦する。日本は、この試合に勝利すればワールドカップ出場に大きく近づくことになる。日本代表は、この勢いを維持し、ワールドカップ出場権を獲得することが期待される。
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