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札幌の一級ピアノ調律事務所ebony and ivory

音の硬い柔らかいについて

2024.10.11 09:55

羊毛のフェルトを木に巻き付けたハンマーという部品が打弦して音が発せられます。

新品の音色感から比べて、弾き続けると必ず音は硬質な方向へ変化していきます。

理由としては鋼鉄の硬い弦を、ハンマーフェルトで打ち続けることで羊毛に溝ができその部分が硬くなっていくからです。

またそれと同時にフェルトの形状も潰れて変形してくると美しい音が出にくくなります。

適度な弾力を失ったハンマーで長年打弦し続けると、断線リスクも増え、強弱もつけにくく表面的にカンカンした薄っぺらい音色になってしまいます。

このことからも調律を行うと共に、ハンマーフェルトの硬さ(弾力)を整える作業(整音)が極めて重要になってきます。勿論基本的なアクション調整が整っていることが前提ではありますので隣り合った鍵盤で大きく調整が異なる状態で、仮にハンマーの硬さを調整して音色が揃ったとしても、根本的な調整を揃えていくと結果的に音色はバラバラになってしまいます。


調整(整調)がある程度整った前提で、音色が硬すぎる、セクションで大きくバラつきがある場合はハンマーフェルトに針を刺して、うるさい部分を抑えたり、力を出したり、状況をみなからバランスを取っていく必要があります。針を刺す整音作業は、音色をガラリと変えるほどの効果がありますが、本体の鳴り方、調律との兼ね合いをみて刺しすぎは禁物です。経験による技術の差、感性の違いが大きく仕上がりに差が現れるので注意深くお客さまがどんな音色を求めているのかを相談して作業を進めます。

定期調律でハンマーの弾力を整えていくと極端に硬くなったりする事を防ぎ、常に快適に演奏することが可能となります。

調律、整調、整音の関連性は極めて密接であり、整音作業は音色を保つ上で特に大切な作業です。


↑摩耗したハンマー