コスプレ師の神髄を見ろ!【1:2:2】
【あらすじ】
世には「コスプレ師」という資格が存在し、コスプレ師はその名に恥じぬよう行動するのが掟である。
さて、このお話はそんなコスプレ師のイベントでの出来事……
出演人数:男1 女2 性別不問2
時間:10分(推定)
配役
◆アキラ🚹:ツッコミ役 コスプレのことはちょっとしか知らない初心者
◆マミ🚺:説明&ボケ役、コスプレに詳しく、色々なレイヤーのファン
◆吸血鬼レイヤー(性別不問):特級コスプレ師(吸血鬼部門)
※本文セリフ箇所では「吸血鬼」と表記統一
◆聖職者レイヤー(性別不問):特級コスプレ師(聖職者部門)
※本文セリフ箇所では「聖職者」と表記統一
◆小悪魔レイヤー🚺:コスプレ初任者過程終了
※本文セリフ箇所では「小悪魔」と表記統一
* * *
マミ:ついたー!!アキラ!ちゃんとついてきてる?
アキラ:お前なぁ...カメラ何台も持たせといて走るとか人の所業じゃねぇ......
マミ:だってハロスタだよ!?興奮しないわけないよね!?
アキラ:あーその、ハロスタ?俺よくわかってないんだけど。何それ
マミ:嘘知らないの!?ハロウィンコスプレスタジオイベント!略してハロスタ!
ハロスタにはコスプレ師の方々が一堂に会すから!この日を逃しちゃいけないから!
アキラ:声でっか...。なんだっけか、レイヤーとカメラマンと一般とで参加費が違うんだっけか?
マミ:そう!私はカメラマン、アキラは一般で入場するからよろしく!
アキラ:へいへい...。てかなんで俺いるんだよ...、一ミリも知らんぞ。その、ハロスタ?ってやつもコスプレ師ってやつも
マミ:嘘!?ハロスタは仕方なくてもコスプレ師も知らないの!?
アキラ:いや、俺そっち界隈は無知だから
マミ:しょうがないなー
コスプレ師っていうのは、一定の講習や試験をくぐり抜けたコスプレイヤーが貰える資格のこと!等級もあって、初心者がまず受けるコスプレ師初任者講習から、最高ランクの特級コスプレ師まであるんだよ!
特級コスプレ師はそのコスプレに精通してて、まじで本物そっくりなの!他のイベントではなかなかお目にかかれないんだけど、ハロウィンに開催されるハロスタは別!資格持ちのコスプレ師がみーんな集まるのよ!
アキラ:はぁ......なるほど?
マミ:まぁアキラには見てもらった方が早いか。あっ!あそこにいるのはエルフレイヤーのアリエル様!!アリエル様は一級コスプレ師なの!
アキラ:あぁ、あのスムージー飲んでる人?......なんかえっちだな
マミ:ちょっと!アリエル様のことそういう目で見るのやめてくれる!?アリエル様は高潔なんですけど!!
アキラ:いやそれなんていちゃもん...。でも見た目はただのコスプレイヤーにしか見えないけど?
マミ:アリエル様がエルフ部門の一級コスプレ師の資格を取ってから2年...。アリエル様はその名に恥じないように2年前からヴィーガンなのっ!!
アキラ:えそういう感じ!?あだからスムージー!?目の前焼肉屋だけど!?本当は食べたいんだろ絶対!
ていうかあれだ、本人にというか、その種族になりきってるってことだ!?
マミ:なりきってるとか不躾なこと言わないでよ!!あくまでもコスプレ師の方々はそのコス元に恥じない行動をしてるって話!!原作再現!ってこと!!
分かんないから分からせるまでよ!着いてきて!コスプレ師の何たるかを教えてあげるわ!
アキラ:いやちょっと待てって!俺はまだ何一つピンと来てないぞ!!
0:ハロスタ会場 屋外エリア
マミ:いたー!!!ほらあそこにいるコスプレ師見て!!!
アキラ:あれは...赤いストールにカゴ?中にマッチ箱が入ってる、、ってことはマッチ売りの少女のコスプレか!
マミ:そう!あそこにいる人はマッチ売りの少女の2級レイヤー、クリスさん!裸足でいるの流石だわ......。
すみません!一枚お願いしまーす!
アキラ:あちょっと!?足はえぇ...。
マッチ売りの少女のコスプレってことは、なんだ?マッチ売るとか…寒くなったら屋内に入らずにマッチで寒さを凌ぐ、とかか?さすがに原作みたく凍えて死ぬなんてことはならないだろうけど…
マミ:甘いわね
アキラ:どわぁ!?おおお前いつの間に帰ってきたんだよ!?
マミ:アキラから質問が飛んできた気がして。
クリスさんは2級コスプレ師だからまだそこまでじゃない。あのマッチも見た目だけ似せてるだけの耳かき棒よ
アキラ:耳かき棒!?マッチじゃないのは良いとしてまさかの耳かき棒!?
マミ:マッチ売りの少女部門の一級コスプレ師試験は火器取り扱いの講習も受けなきゃだもん。結構お金かかるみたいだししょうがないよね
アキラ:マッチ売りの少女部門なんてあるの!?しかも火器取り扱い!?たかがコスプレに!?
マミ:今、「たかが」コスプレって言った?
アキラ:やべっ...
マミ:ふふふ...!いいわ...、なら見せてあげようじゃない。特級コスプレ師の実力を!!!!
アキラ:特級、コスプレ師...?なに?なにそれ?
マミ:その名の通りコスプレ師の頂点に君臨するコスプレイヤーよ!たしか今日は日没から炒飯定食さんがハロスタに来てるはず!!
アキラ:何そのコスネーム......
マミ:いたぁー!!!!ほら行くよ!ちょうど炒飯定食さんが店に入ってるから!
アキラ:コスプレのまま!?
マミ:ハロスタじゃコスプレのまま入れる店もあるの!いいからついてくる!!
0:中華料理屋
マミ:ほら!奥のカウンター席にいるのが炒飯定食さん!吸血鬼部門の特級コスプレ師!!
アキラ:いや、吸血鬼が中華料理屋て…。それで名前が炒飯定食て……
吸血鬼:すみません。餃子1人前、ニンニク抜きで
マミ:来たあー!!!!ニンニク抜きいただきましたァ!!
アキラ:もう驚かないから。吸血鬼はニンニクに弱いから食わないってことだろ。特級だからこのくらいはまぁ当たり前ってことだよな
マミ:そう。でも餃子は食べたいから中華料理屋に行くってね!この矛盾するかしないかのギリギリ攻めるのがいいのよ!!
アキラ:コスネームが炒飯定食っつーのもなんか、意識してる感じするよな。さては中の人めちゃくちゃ中華料理好きだろ。
マミ:元々炒飯定食さんはラーメン屋店主の一級コスプレ師だったのよ。今もたまにラーメン屋店主でハロスタ参加してる
アキラ:あ…そういうのこう、兼任できる感じなんだ……
聖職者:(店主の振りをする)はいよ。ニンニク抜き餃子1人前お待ち
吸血鬼:……いただきます
アキラ:そこは人間と一緒なんだ。もっとこう、「人間なんて矮小(わいしょう)な生き物のことなんぞ眼中に無い」みたいな感じかと
マミ:吸血鬼だって生きとし生ける食材に感謝を伝えるのね…流石特級コスプレ師!
アキラ:もうさっきから全肯定じゃんお前
マミ:舐めないで。こちとら炒飯定食さん古参民よ。こっちはあの人がカメラマン時代から知ってるから!!
吸血鬼:んごっほごほごほ!!?!!?
アキラ:おい!?お前が変なこと喋るから炒飯定食さんむせこんだじゃねーか!!
マミ:いや、、、違う!
アキラ:んなぁにが!?
吸血鬼:おい店主…この餃子1つだけニンニクが入っているぞ…!
アキラ:馬鹿な!?だってさっきニンニク抜き頼んでたじゃん!!てか分かるんだ違い!ニンニクでちゃんと苦しむんだ!?
聖職者:……ふ、ふは、はっはっはっはっ!!!のさばるのもここまでだ、吸血鬼よ!
0:店主、エプロンを脱ぎ捨てると下から神父服が登場
マミ:うっそ!!!!あれ聖職者特級コスプレ師のチェックチュニックさん!?やっばい大興奮なんだけど!!
アキラ:なんて!?展開といいコスネームといいわっけわからんもう!
聖職者:お前はここで終わりだ!喰らえ!悪霊退散!!!
マミ:すごい…!湯切り器と菜箸で十字架作ってる!!
吸血鬼:うっ…、ぐっ、ああああああああ!!!!!
アキラ:効いてる!?なんでぇ!?
マミ:これが特級コスプレ師同士の戦いなのね…!ああ!私今日のハロスタ来てよかった!!!!!!
アキラ:いやわからんわからん!一般人置いてけぼりにしないでもらっていい!?
吸血鬼:くっ…!かくなる上は!!!
マミ:あれは…っ!血液パック!?
アキラ:いや違う!!あれは、、トマトジュースだ!!
吸血鬼:これでは力不足やもしれんが、アイツらのためには致し方なしか……。
マミ:ハァ!!!!!!!!!
アキラ:…!?マミ?おいマミ!?
アキラ:なんで倒れてんの!?!!?!?!?
マミ:やばい…。炒飯定食さんの吸血鬼、人間と友好関係を築こうとしてる系吸血鬼だった…。軽く死ねる…、てぇてぇ…!!!
アキラ:なにそれ!?吸血鬼にも派閥あるの!?
マミ:私もてっきり絶滅危惧種かと…!だって純血吸血鬼設定の方が色々楽だし…。
アキラ:設定って言っちゃった!
マミ:まさか人間大好き吸血鬼だとは思わないじゃん…!えぇ可愛いよぉ…
アキラ:って、炒飯定食さんの吸血鬼コス長年見てて気づいてなかったことある?
マミ:だって!去年までは門限とかの関係でちゃんと見れてなかったの!あと炒飯定食さん去年まで一級だったし!
アキラ:あぁ、さいですか……
吸血鬼:ふんっ!
アキラ:あっ!トマトジュース飲んだ!
吸血鬼:……………
アキラ:どうなるんだ…?パワーアップするとか…?
聖職者:くっ……
吸血鬼:…………お
アキラ:お!?
吸血鬼:………おいしくない
アキラ:確かに!吸血鬼からしたら美味しくないかも!
マミ:ぐっはあ!!トマトジュース苦手情報感謝すぎる!!!
アキラ:なんかこっちが瀕死!?ちょっ、出るぞお前ぇ!!
0:ハロスタ 屋外エリア
マミ:はぁー……
アキラ:落ち着いたか?
マミ:いや、あれはやばい。破壊力エグすぎた。
アキラ:いやしかし、案外ちゃんと皆コスプレ元の設定忠実に守ってるんだな。
マミ:当たり前でしょ。なんのためにハロスタでコスプレしてると思ってんのよ
アキラ:いやなんか、他の場所でのハロウィンのコスプレってさ、なんかほら、もっと雑じゃん!?
マミ:渋谷やそこらのやつとは一緒にしないでくれる!?こっちはまじで真剣にコスしてくれてるから!
アキラ:いやそれはもう十二分に分かった
アキラ:で?あとの時間どうするよ?目当ての人とかいるのか?
マミ:うーーん、ハロスタ速報見ながら待機って感じかな。暫く休憩で
アキラ:はいよ
0:少し間を空ける
小悪魔:うぅ……私は小悪魔、私は小悪魔……。小悪魔らしく悪いことしなくちゃ…でもどうすればいいの…
アキラ:ん?なぁマミ、あそこのレイヤーさんの胸元についてるやつ何か分かるか?
マミ:ん?あぁ、あれは初任者過程終了したての子が付けるバッジだね。要するに初心者の子だよ。へぇー、小悪魔にしたんだ。可愛いじゃん
小悪魔:悪いこと…わるいこと……、よ、よしっ!
アキラ:あ、なんかするつもりだ
マミ:まぁ悪魔コスならよくやるのはイタズラか驚かし…くらい?何するんだろ。あんま初心者の子まじまじと見る機会ないんだよねー
小悪魔:ご…ごめんなさいっ!
アキラ:玉砂利の石を道端の隅に放り投げた!しかも1個だけ!
小悪魔:こっちも…ごめんなさい!
アキラ:今度は生えてる雑草を中途半端なとこでちぎって放置!?なんか、なんかむずむずするやつ!
マミ:え何そのイタズラ!可愛すぎなんだけど!?それでいてこの「ホントにやっちゃったどうしよう」って感じの困り眉!そんなの紛うことなき小悪魔!最高!これで初心者とか信じられない!!
マミ:ちょっと私話しかけてくる!!
アキラ:は!?おいマミ!
マミ:すみませんお名前いいですか!?あと出来れば1枚!
小悪魔:え!?あのあの、私始めたての初心者でして…
マミ:いえ!ほぼ経験無しでその行動の数々は眼福ですよ!才能あります!絶ッ対やめないでください!!!
小悪魔:あ、ありがとうございます!?
マミ:はい!ではさっきのイタズラをもう一度!撮りますんで!はいそこぉ!膝は内股に曲げて!困り眉絶やさないデェ!
小悪魔:は、はいぃ!
アキラ:絡み方おっさん……いや、何も言うまい
0:少し間を空ける
マミ:おまたせ!いやー、逸材発掘で満足満足!
アキラ:そりゃよかったな。無知な俺はただただその場に居座ることしか出来なかったけどな!
マミ:それはごめんて。今度ちゃんと埋め合わせするからさー?
アキラ:別にいいよ。それよか、もう目的全部終わったか?
マミ:そりゃもう!大満足だよ!
アキラ:まぁ…お前がいいならいいよもう。
マミ:そう?来年はもっと忙しくなるから、よろしく!
アキラ:は?待て待て、何ちゃっかり来年のアポ取ろうとしてんだよ。そんでもっと忙しくなるって何?
マミ:私も取りたくなっちゃったんだよねー。コスプレ師の称号。
アキラ:お前が?レイヤーに?
マミ:そうそう。もうやるやつも決まってるんだー!申請すれば初任者講習の資料届くらしい!
アキラ:へー、ま好きにすればいいんじゃね?
そいや、何するんだよコスプレ。ハロウィンの定番と言えばポリスとかゾンビ看護師とかか?
マミ:厄介オタク
アキラ:え
マミ:厄介オタクのコスプレ師の資格とる
アキラ:厄介オタクって、あの厄介オタク?
マミ:そう。ユニコーンだとか杞憂民、指示厨なんかの。あの厄介オタク。
アキラ:主食が推しの苦しみな、あの厄介?
マミ:言い方に悪意あるけど間違ってない
アキラ:……お前ならきっと特級まで取れるよ。うん、絶対取れるわ
マミ:そう?えへへありがと〜
アキラ:うん。だから…出禁にだけはなるなよ…