Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

KAMI NO MEGUMI

ただ…

2024.10.11 15:04


夏の終わり頃、

5年ぶりくらいに、大熱を出した

風邪でも病気でも、もちろんコロナでもない

それでも大熱を出した

わたしは観念して眠り続けた

わたしのココロとカラダは、大熱を出すことによって観念させ、幾日も思考や行動を休ませた


眠っては目を覚まし、ぼんやりしては眠りに落ちる

それを幾度もくり返した


天井から吊るしたあかりのための薄い紙

1メートル × 2メートルのその紙を、竹ヒゴの輪っかにくるりと巻いてピンチで留める

眠るベッドの真上に揺れている


手漉きの生成りの白い海、ところどころ、

泳ぐように染め描かれて揺れている

窓を開けて、

夏の風と夏のにおいに揺れている


熱でぼんやりとした頭、

眠りから覚めてぼんやりとした意識、

揺れている… 

揺れている…


それを見てた

揺れているのを、

ただ、ただ、見ていた

そして、その下で、ひたすら眠った



あの夏の終わり、

かけがえのない時間をもらったように思います。

自らそうしようと思って得ることのなかなか叶わない時間、そのように思います。

観念するほどの大熱を出してくれたように感じられたから、私は私に感謝しました。

私の中が一度空っぽになって、また宝物が詰まったように感じています。



ただぼんやりと眺めた光景、

ぼんやりと浮かんできたあの感覚、


忘れないだろうな…