ステロイド製剤の塗り薬(製剤屋の夢?)塗り薬は最高の製剤!
今日は、世界の製剤研究者に取っての夢について書いて行きます。
私を含め多くの製剤研究者は、患者への負担の少ない製剤それが最も良い製剤だと考えています。
そして、その究極の製剤は塗り薬だと考える研究者が多くいます。
注射剤より経口剤である錠剤の方が患者への負担が少ない製剤であることは容易に理解できます。
ではなぜ経口剤より、塗り薬なのか・・・・・・・・・?
経口剤は毎日飲むだけで良いのに、塗り薬は同じ場所に塗り続ければその箇所がかぶれるではないか?
お風呂に入ることで取れてしまうじゃないか。。。。。。。。
「わしはたくさんの薬を飲んでおるのじゃが。。。。。。。。????」
しかし、これらの欠点を補って余りある利点が塗り薬には存在します。
例えば、間違った経口剤を服用してしまうと、その薬を体内から取り出すには服用直後なら胃洗浄でなんとか対応可能でしょうが、30分も経過してしまえば、処置のしようがありません。
一方塗り薬の場合、いつでも塗り薬を洗い流せばさらなる薬の吸収は起こりません。
間違った薬の場合だけではなく、例えばインスリンの様な過量の投与が原因で低血糖で倒れてしまう薬の場合。
注射剤では投与されたインスリンを取り除くことはできませんが、塗り薬なら、すぐに洗い流すことで対応が可能です。
注射剤にはバリア自体存在しませんが、飲み薬は消化管という粘膜を通して、薬の吸収が起こります。 消化管は先日も書いたように食物の吸収経路です。
この機能を利用して薬物を透過させることができます。 しかし、皮膚は基本的に体内の細胞と外界とを分ける角質層というバリア層で覆われています。
当然薬物の吸収には適していません。 このバリア層を通過させいつの日か全ての薬が塗り薬になる。
こんな日を夢見ている製剤技術者は少なくはないでしょう。
余談
皮膚科の項目で何度も書きましたが、ステロイドの様な油によく溶ける薬は皮膚を透過することによりその作用と副作用を発現します。
つまり、油によく溶ける薬物は簡単に皮膚を透過します。 我が国の近くの将軍様のお兄様が空港で暗殺されたときに用いられたとされるVXガスですが非常に油によく溶けるため、皮膚透過性の高いガスとして知られています。
その致死量は100μg/m2と極く少量で人を死に至らしめることが可能です。
ちなみに、私の体表面積は1.7m2(170cm 63Kg)なので0.2mgで致死量とは。。。。。。。