城崎温泉(兵庫)、諏訪・富士見(長野)に学ぶユニバーサルツーリズム②
2日目は実際に入浴介助サービスを提供しているホテル、地域のサポート団体(ユニバーサル・サポートすわ)からのアドバイスも参考にしバリアフリー化したホテルを視察いただきました。
「ホテル紅や」は、コロナ禍に3フロアを閉鎖し団体から個人、ユニバーサルツーリズムに舵を切りました。観光庁の補助金を活用してエントランスをスロープ、自動ドアにし、車いすやスーツケースも移動しやすいように床を絨毯からフラットな石面に加工、客室、トイレ等を改修しました。
特にバリアフリー化した広い貸切風呂は、コロナ禍でも近隣の高齢者を含む3世代日帰り利用が多かったとの話です。
「ユニバーサル・サポートすわ」と連携した入浴介助サービスは、HPで紹介してから増え続けているとのことで、清水支配人曰く「受入れを整備すると車いすを使用するお客様がこんなに多い事に気付かされた。ユニバーサルツーリズム対応にシフトして良かった。」
〈ホテル紅やのバリアフリー対応〉
その後訪問したのは、白樺湖畔に建つ「池の平ホテル」。
建物の建て替えに伴って、一気にバリアフリー化されました。
バリアフリールームを作り、大浴場も脱衣所から湯船までフルフラット。
大浴場に上がる入口だけある段差は、景観を損わないよう必要な時だけ用意する簡易スロープを活用されています。
簡易スロープは、古い町並みの残る城崎温泉でも使い方次第でバリアフリー対応の有効な武器になるはずです。
実際に、江戸時代の商家を簡易スロープで対応されている石見銀山の事例など参考になると思います。
最終日、3日目は「富士見高原リゾート」を視察しました。
今年度城崎温泉では、入浴介助サービス「湯あみヘルパー」の仕組みの構築を軸としていますが、訪れる観光客は必ず前後に観光を楽しまれます。
周辺観光地との連携で、地域全体で誰もが楽しめるプログラム創りが重要ということを知っていただきたいという目的で富士見高原リゾートを視察先としてアレンジしました。
この分野での国内第一人者、藤田然さんに園内をご案内いただきました。
全国でも先進的に自然体験のユニバーサルツーリズム対応をされていて、高齢者や障がい者もゴルフカーを使って標高1420mまで上がることができます。
上ではアウトドア用車いす「HIPPO」や「JINRIKI」を装着した車いすが用意されていて、富士山を望む展望台までの自然散策路を移動できます。
城崎温泉でもJINRIKIを導入したばかりということなので、悪路、坂、段差での正しい使用方法をしっかりと学んでいただきました。
体験の後は、富士見高原リゾートのユニバーサルツーリズムの取組みのレクチャーがありました。
年間60校近く体験学習を受け入れていて、重度な障がいのある生徒が多い特別支援学校の受入れや一般校でも学年に1人いる障がいのある生徒もひとりぼっちにしない取組みに感銘を受けました。
富士見駅で城崎温泉に帰るお2人を見送りし、3日間の視察を終えました。