第30回英連邦戦没捕虜追悼礼拝 保土ヶ谷 コリン・ウィリアムズ海軍大佐 イギリス大使館付武官
皆さん、おはようございます。今年ここに集うにあたり、私たちは悲しいことに、昨年よりもさらに不安定な世界にいるのだと思います。今年は、第2次世界大戦中に日本で亡くなった捕虜の方々の30回目の追悼式の年でありますが、私たちは再び、世代を超えて影響を及ぼすであろう、さらなる紛争、損傷、苦悩の予感に直面しています。
悲しいことに、世界は再び不確実で不安定な状態に陥っています。そこでは、軍事行動という魅惑的な力が、指導者たちにとってあまりにも安易に利用されているように見え、関係するすべての人々に計り知れない苦しみと苦痛を与えています。恨みと苦悩が助長され、将来の世代は再び和解の苦しみを味わうことになるでしょう。
ここ日本で命を落とした36,000人の捕虜は、世界各国から集まったあらゆる立場の人々であり、私たち人類が国際社会として学ぶべきであった戦争の蛮行の証を立てているはずです。しかし、ロシアの侵略によるウクライナの広大な土地の違法な併合や、私たちが目撃したハマスの蛮行によって、今日、彼らの記憶は汚されています。
ロシアの不法侵攻に直面したウクライナの抵抗の英雄的物語はよく知られています。私たちは日常的に、戦争がどのように展開されているのか、報道機関やソーシャル・メディアで目にしています。戦場内外で繰り広げられる非人道的で野蛮な行為は、私たちの生活に大きな汚点を残したままであり、ウクライナの人々のことは、紛争の早期終結を目指す私たちの思いと祈りの中にしっかりと覚えられています。
2023年10月7日、卑劣にも、ハマスの戦闘員たちは何の挑発もなく突然、1400人のイスラエル人を虐殺し、251人の男女と子どもを拉致しました。現在までに7人が解放され、20人が殺され、108人が解放されましたが、いまだに116人が拉致されたままです。第二次世界大戦中に日本の捕虜となった人たちと同じように、彼らは怯え、飢え、混乱し、劣悪な扱いを受け、自由を求めています。ウクライナ紛争や世界中の紛争で捕虜になった人たちにも同じことが言えると思います。
私は、ハマスやロシアの人々も苦しんでいることを無視しているわけではありません。彼らには彼らなりの政治的忠誠心や信念があり、私は個々の紛争の是非について政治的主張をするつもりはありません。しかし、私が本当に思うことは、戦争では、紛争が終結した後も、双方の人々が長い間苦しむことになるということです。
この美しい憩いの場に眠る人々の体験が、来るべき世代の未来のために、私たちがより良い行動をとる動機となるようにいたしましょう。私たちは、政治的レトリックの喧騒に紛れることなく、平和を希求するために懸命に捧げられた彼らの人生の証人となりましょう。私たちはこの時を、平和的解決策を模索し、戦争を歴史の一部とし、全人類が平和と調和の中で暮らせるようにするため、これまで以上に努力しましょう。