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柳散る

2024.10.14 13:00

Facebook永野 一晃 さん投稿記事

【今日の季語】柳散る(やなぎちる)仲秋

【子季語】黄柳、柳黄ばむ、散る柳

【解説】

秋の中頃、葉は黄ばみ、一葉ずつ、時をかけて散り尽す。たおやかに揺れて散るさまは、秋そのもの。

【例句】

庭掃きて出でばや寺に散る柳  芭蕉「奥の細道」

船よせて見れば柳のちる日かな 太祇「太祇句選後篇」

柳散り清水涸れ石処々  蕪村「反古衾」

柳散るやただ土くれの西東   白雄「古にし夢」

柳散るや少しタベの日のよわり 暁台「暮雨巷句集」

柳散り棄屑流るる小川かな  正岡子規「寒山落木」

柳散る紺屋(こうや)の門の小川かな  夏目漱石「漱石全集」

散り残る柳が触れる心地かな  五島高資「蓬莱紀行」


https://ameblo.jp/masanori819/entry-12328933087.html 【2017.11.17 一日一季語 柳散る(やなぎちる)   【秋―植物―晩秋】】より

一日一季語 柳散る(やなぎちる)   【秋―植物―晩秋】

ユトリ口の哀愁曳きて柳散る     桑田青虎

1914年広島県福山生まれ。「ホトトギス」を拠点に活躍し、2006年11月、93歳で死去した。

『田鶴』を創刊主宰 2017年現在、長女の水田むつみが主宰

【傍題季語】

散る柳(ちるやなぎ)

【季語の説明】

柳は、秋に黄色く色づき、やがて静かに葉を落とす。細い葉が音もなくはらはら散るさまは侘しさを感じさせる。

【例句】

柳ちる紺屋の門の小川から      夏目漱石

柳散ることにはじまる一日かな    高野素十

未央柳散り敷く思ひなほしても    飯島晴子

雑踏に捨てし愁ひや柳散る      鈴木真砂女

倉敷の柳散る日も間はあらじ     星野立子

【柳の語源など】

柳(ヤナギ)の名前の由来には諸説あり、古くこの木で矢を作ったことから「矢の木」といい、

それが転じたともいわれます。

属名の学名「Salix(サリックス)」は、ケルト語の「sal(近い)」と「lis(水)」が語源となり、

水辺に生育する種が多いことにちなむともいわれます。

英語ではヤナギを「Willow(ウィロー)」と呼び、シダレヤナギを「Weeping willow(泣いているヤナギ)」、

ネコヤナギを「Pussy willow(ネコのヤナギ)」と呼びます。

【花言葉】

「従順」「自由」

花言葉の「従順」は、ヤナギの葉が風に従順にしたがうことに由来するといわれます。

その反対の意味となる「自由」の花言葉は、ヤナギの葉が風にしたがって自由に動くことにちなむともいわれます。

シダレヤナギの花言葉が「悲哀」(西洋では「mourning(死者への哀悼)」「melancholy(憂うつ)」)と

哀愁のシンボルになっているのは、この木が悲しそうに枝を垂れている姿からではなく、

『旧約聖書』の「詩篇」に「虜になったユダヤの女たちが、バビロンの川のほとりにすわり、

故郷のパレスチナの山(シオン)を思い出して涙を流し、歌を歌うことなく、岸のヤナギに琴をかけた」

と記されたことに由来するといわれます。シダレヤナギの種小名もこれにちなみ「babylonica(バビロンの)」

になっています。

【柳の木の種類など】

ヤナギ属の樹木は世界に約350種が知られ、日本にも30種を越える種があります。

シダレヤナギ(枝垂柳)

中国原産。日本へは奈良時代に渡来したといわれます。日本のヤナギの代表種であり、

一般にヤナギといえばシダレヤナギを指します。3月~4月ごろに花を咲かせます。

ネコヤナギ(猫柳)

日本、朝鮮半島、中国の原産。山地の渓流から町中の小川など、広く川辺に自生します。

「ネコヤナギ」の和名は尾状の花穂をネコの尾に見立てて名づけられました。

花期は3月~4月ごろです。かつては川柳(カワヤナギ)と呼ばれていました。