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俳句、この不思議なるもの

2024.10.14 13:15

https://blog.goo.ne.jp/kyodaihaiku/e/521d6d7760fd64b1c39f58f8d93cf538?fm=entry_awp_sleep 【俳句、この不思議なるもの 講演 鎌田東二】より

俳句、この不思議なるもの 講演 鎌田東二(京大こころの未来研究センター教授)「言霊あるいは言語遊戯としての俳諧」

鎌田東二さんの講演を聞きに、広島から高速バスで堀治喜さんはやって来たという。根強いファンを鎌田さんは持っているらしい。講演のレジメを紹介したい。

言霊あるいは言語遊戯としての俳諧(レジメ)

1、はじめに―わが俳句=俳諧論

 1、「俳句」は、「俳諧」である。

 2、「俳諧」は、「俳=人に非ず+諧=皆言う」ワザである。

 3、「俳諧」は、「写界主義」である。それは「界面」を「写す」ワザである。

 4、対して「短歌」は、「写心主義」である。それは「心(情)」を「写す」ワザで ある。 

 5、「俳諧」は「徘徊=吟行」によって支えられる「地面の文学」である。あるいは、地霊」を呼び出すワザである。

  6、その場ないしアニミズム文学としての「俳諧」は、「脱人間(中心)主義」、「脱主体(個人)主義」を基とする、「汎主体(俳諧=人に非ず・皆言う)主義」である。

・別紙参考資料:鎌田東二「自我の他在-あるいは非-私の文学としての俳諧」『アサヒグラフ』臨時増刊1988年7月20日号、朝日新聞社 :同「癈苦國逃亡記」『俳句空間』No.10、1989年9月、弘栄堂書店(鎌田東二『意識と場所 異界のフォノロジー・純粋国学理性批判序説』所収、河出書房新社、1990年)

2、日本の詩と言霊と言語遊戯

 1、「草木言語(ことと)う」『古事記』『日本書紀』『延喜式祝詞』←「言(事)向け和す」=和歌で?

 2、『万葉集』における「言霊」思想―言霊の幸はふ國、言霊の助くる国、言霊の八十の衛 

 3、和歌則陀羅尼説(西行など)参考文献:鎌田東二『記号と言霊』青弓社、2000年

 4、「物我―智之場所へ至」(松尾芭蕉、元禄7年1月29日付け高橋怒誰宛て書簡)「松の事は松に習へ」

 5、芭蕉の辞世の句は、「旅に病で夢は枯野を駈け廻る」ではなく、「清滝や波に散り込む青松葉」(←清滝や波に塵なき夏の月) 参考文献:魚住孝至『芭蕉 最後の一句-生命の流れに還る』筑摩選書、2011年

3、「京大俳句」(昭和8年-15年)と、復活「京大俳句会」(2008年-)について思うこと

参考文献:田島和生著『新興俳人の群像―「京大俳句」の光と影』思文閣出版、2005 年

京大俳句:昭和8年(1933)、平畑静塔。井上白文地、中村三山、波止影夫、鈴鹿野風呂、日野草城、水原秋桜子、山口誓子、五十嵐播水ら錚々たる俳人を顧問に発刊。その後、西東三鬼、三谷昭、高屋窓秋、石橋辰之助、渡辺白泉らも次々と参加し、新興俳句の新しい動きを生み出す。そして、日中戦争、特高の取り調べ、獄中俳句、スパイ俳人の暗躍など、新興俳句運動の盛衰が繰り広げられ、「太平洋戦争へと突入した戦争時代、全国の多感な俳人たちの心をとらえた俳句同人誌の「京大俳句」は時代の荒波に揉まれ、抵抗しつつも、新興俳句運動全般が弾圧により衰退し滅んでゆく。昭和8(1933)1月に創刊された「京大俳句」の最終号は、昭和15年(1940)2月号。

「宣言」:新たに俳壇へ贈るこの京大俳句は、幾多先人の濺ぎ遺せし血潮を承けて、純真無垢なる我等が青春の脈血の、迸り出でてなせる一渓流なのである。/かるが故に、苟も俳諧国を遊行する者は、この清浄なる渓流に、全く無関心ではあり得ないであろう。或者は之を避け、或者は之を探り、また或者は之が一滴を以って俳諧修業の甘露となすであらう。/我等はそのいずれの人に対しても揚言せむ。ただ希くば之を以って、永遠に俳諧国の潅漑をなさんのみと。

・山口誓子「新しい『現実』を、新しい『視覚』によって、新しい『俳句の世界』を構成」(句集『凍港』昭和7)

・山口誓子「『俳句を詩に』ではなく『俳句に詩を』の立場である。」(「セルパン」昭和1 1・11)

・新興俳句歴史派=有季定型、無季容認派=無季定型、超季感派(山口誓子「新興俳壇縦横記」昭和11・5)

・新興俳句の中身は、①無季俳句②リアリズム③知的美の三点に集約される。(西東三鬼)

 しんしんと肺碧きまで海のたび 篠原鳳作 水枕ガバリと寒い海がある 西東三鬼

 蝶墜ちて大音響の結氷期 富沢赤黄男 この海に死ねと海流とどまらず 波止影夫(昭和15年2月11日逮捕。京都帝大医学部付属病院で卒業後精神科医。1年間の拘置所生活後、懲役2年・執行猶予3年の有罪判決)


Facebook波多野 毅さん投稿記事

【俳句はミクロコスモス、七五調は宇宙のリズム】

五・七・五の17音からなる世界最短の定型詩~俳句。盆栽に通ずる凝縮美のミクロコスモスの世界。限られた字数の中で、季節の自然情景の描写と心象風景を融合させる日本文化の粋だ。

我が愛するジョン・レノンも雑誌のインタビューの中で「僕が求めているのはシンプル&ストレート。最高の詩は俳句で、最も優れた絵画は禅画だ」と語っている。

「よく見れば ナズナ花咲く 垣根かな」「古池や カワズ飛び込む 水の音」両句とも、かの「奥の細道」の著者で「俳聖」と呼ばれた松尾芭蕉の作品。

仏教学者の鈴木大拙は、芭蕉の句を「宇宙的無意識の直観の産物」と呼ぶ。「宇宙の秩序」に直結し、無意識に発露された禅の作用であると。

俳句、短歌、都々逸、連歌、長唄…五と七の組み合わせはどれもリズミカルで耳に心地いい。古代海洋民族の舟歌の名残だとか、日本語の母胎である「大和言葉」が二音(はる、はな、つき、ゆき等)の単語と三音(こころ、ひかり、いのち、ちから等)の単語を組み合わせたことにあるとも言われている。

五七調がどっしりと安定感があり、荘重で男性的な調べになるのに対し、七五調は流麗、繊細、優美で、女性的な調べになるのも面白い。

鈴木大拙→桜沢如一→久司道夫→マースカニングハム→ジョンケージ→バックミンスターフラー綿々と連なるイケてる道楽人のバイブレーションをもらいながら