霜降（そうこう）
霜降（そうこう）
2024年10月23日（水）第１８
10月23日～11月6日の時間帯
白露、霜となる。
いよいよ秋も暮れ、
露が氷結し、霜となる頃になりました。
北の大地からは
初雪の報が届いています。
例年より一週間から
10日ほど遅いそうです。
日中のお日様は気温を上げ
上着が邪魔かなと思っても
朝晩は、冷え込むという体感に
変わりましたね。
じきに冬がやってきます。
お湯を沸かすのも
うっとおしかったのに
今では、
ティーキャンドルを灯し
ウォーマーでゆっくり過ごす
秋の夜長が楽しみすぎます。
今日、ご紹介するのは
秋冬限定茶のひとつ。
「鳳凰単叢 鋸剁仔 杏仁香」
末尾の杏仁香は
アーモンドの香り
鳳凰単叢野十大香型の一つです。
黄梔香、芝蘭香、蜜蘭香、玉蘭香
夜来香、肉桂香、桂花香、姜花香
茉莉香、そして、杏仁香。
その茶樹のもつ個性と
製茶師の手わざが作る烏龍茶の
わかりやすい魅力でもあります。
十大という言葉からわかるように
ブランドとなった鴨尿香のような
ものも含めると
どれくらいあるのでしょうか。
単叢の沼は深いと
言われるゆえんかもしれません。
まあ、そのお話は
また別の機会にするとして。
鋸剁仔（ジュウドゥオザイ） というのは
茶葉の外観の特徴が
見事に言い表されています。
鋸 のこぎり
剁 葉
仔 小さい（赤ちゃん）
ノコギリの歯のように
細かいギザギザが
葉の輪郭を覆っています。
葉そのものも小ぶりで
摘み取りにも時間がかかり
一日に3斤未満の乾茶にしかならないという
作り手にとってはコストがかかる
贅沢な小王子なんですね。
封を開けると
乾いた茶葉は黒褐色で
つやがある条形です。
鼻を近づけると
蜜香を帯びた焙煎の
甘い花香の後
静かにアーモンドの香りが
やってきました。
さらに温めたが蓋碗に入れ
蓋をして軽くゆすると
素晴らしい杏仁香に
わくわくします。
鳳凰単叢の茶葉は条形といって
葉が固く丸まったりしていない
比較的自然な状態のままのお茶です。
湯を含むと、素直に
おいしいお茶になってくれるので
軽快なテンポでいただきます。
湯温も90度程度で
うまみと甘みが
感じられておいしいです。
茶水は明るい琥珀。
甘い花、自然なアーモンドの香り
カテキンの含有量がすごそうな？
わずかに感じる苦みが
お茶の味わいに厚みを加えます。
私の友人は飲みこんで
返ってくる良い香りの中に
ハーブが潜んでいるねと
表現しました。
草原をさえ想起させる爽快な余韻が
後を引くのを感じ
口の中にあふれる唾液に
にやついてしまいました。
体が本当にぽかぽかになります。
今宵、
お茶に酔いしれて
ほっこりしているころ
家々の門扉の前
玄関先の土くれに
天から降りた露の兵隊さんが
隊列をどうするか
装備はどうか
毎夜作戦会議を続けています。
小さい茶色の帽子をかぶって
霜柱の隊列が一斉に起立をしたら
冬将軍がいよいよ
私たちの町に向かって
まっしぐらにやってきますね。
今しか飲めない秋冬限定茶。
みなさまは、
お茶の兵糧（ひょうろう）のご準備を。
長い夜を
たっぷり楽しみましょう。
秋冬限定茶 鳳凰単叢２種