提案『子供のハングリー精神の育み方』
先ずこの記事を読む前に2024年10月25日偉人『ハワード・シュルツ』を一読してほしいと思います。ハワード・シュルツ氏はビジネス界ではアメリカンドリームを手にし、世界90ヵ国以上で事業展開しているあのスターバックスを確立させた人物である。彼はユダヤ系ドイツ移民の子供でアメリカではプロジェクツという低所得者層の貧しい生活を送り、そこから人生を切り開いてきたハングリー精神の持ち主なのです。子供の頃に衝撃的なことに出くわすと、その印象が内面に深く刻み込まれ良くも悪くも影響を受けることが多いものです。つまり子供の頃に受けた影響や環境は子供の人生の一端に残ることが多く、その衝撃が大きければ大きいほど人生に左右することにもなるのです。つまりハワード・シュルツ氏は子供の頃父が怪我で働けなくなり職を失い高額な治療費の支払いによって経済的に困窮し、自らアルバイトをして家計を助け勉学に励んだことから、共に働くものたちに自分のような思いはさせないと分け隔てなく医療保険や奨学金の制度を確立し、そのベースとなる決意を幼い頃にしていたというのです。
このハワード・シュルツ氏のようなハングリー精神を好転的要素に変えると評価されることになるのであるが、アメリカ社会に目を向けると富むものと貧しきものの間には大きな隔たりがあり、貧しきものの中にもハングリー精神の育み方が間違ってしまうと犯罪に至るケースも少なくないのです。日本も格差社会になりつつあると言われていますがアメリカほどではなく、まだ緩やかな流れですが厳しい現状にある子供たちに目が向き始めていますがまだまだな世の中です。また別の見方をすれば30年以上所得が上がらず物価だけが上がり続けているので国民全てが困窮の道を辿っているという考え方もできます。そう考えるとハングリー精神を養うべきは大人なのでその頑張りの良い影響を子供達に与えていくしかないのだと思います。でもお母様方は自分磨きをする前にどうしても子供達のことを湯煎しがちなので今回は子供達のハングリー精神の育み方を提案してまいります。
1、本当のハングリー精神とは
まずハングリー精神という意味を頭に入れておきましょう。
辞書を引くと言葉の意味は『目標や夢を達成するために強い意志を持って立ち向かおうとする気持ちや姿勢』のことを指すと記されています。どのような状況にも満足することなくより高みを目指して立ち向かおうと挑み続けるということに他なりません。特に偉人達に関することを調べていくと多くが恵まれない環境と向き合い成功へ誘われていることから、ハングリー精神というのは厳しい環境や状況を打破した人に存在するものだと錯覚している人が多いかもしれません。
しかしハングリー精神とはどのような人の中にも育てることができるものです。ただ日本人はガツガツとしたハングリー精神を全面に出ている人は少なく、たとえ持っていたとしても表には出さず水面下で隠しスマートな姿勢として表現している方が多いものだと感じています。
つまり競争心よりも調和を、ガツガツとした血気盛んな様子よりも表面には出さず楚々として力を発揮するというスマートさを重んじる傾向にあると言えるでしょう。それが一時期教育の場にも現れ運動会での徒競走がみんな一斉に手を繋いでゴールするという極端な状況が生まれたりしました。また競争心を煽るようなランクづけがなくなった状況もあるようです。それが日本社会では調和というものを重視する文化ですから受け入れられても、世界的な方向に目を向けると日本がすべきことを隣国に搾取されてしまっている現状もあります。結論としては教育においても偏った考え方ではなく、中立に物事を判断できる多様性があっても良いのではないかと考えます。では次のステップでハングリー精神とは具体的にどのようなものがあるか述べます。
2、ハングリー精神の具体性
以下でハングリー精神の具体的な特徴とは何かを考えます。
① 向上心 常に高みを目指すので現状に満足せずに結果が得られてもさらに上を目指し、とことん事柄と向き合う傾向があります。向上心というものは生まれて1年未満の意欲育てと深く関係しており、さまざまな経験を通して自発的な努力を育みながら達成感を味合わせ、その事柄や作品を振り返ることで自分自身の中に秘められた能力や才能に気づかせることを行い向上心を育てていきます。向上心とは生まれながらにして種はどの子供も持っています。例えばハイハイをしながらおもちゃに近づこうとすることも向上心の種です。しかしその自分で取りに行動の過程で親がおもちゃをとってあげ目の前に置くことを繰り返すと、子供はおもちゃが目の前に持ってこられるのを待つようになります。つまり種を撒きをしてもその芽は出せないのです。向上心は乳児期から種をまき芽を出させ育てるものと考えます。
② 行動力 向上心が育ってくるとそれに付随してさまざまな能力が向上していきます。行動力とは厳しい状況や環境を覆すために行動を起こすだけではなく、日頃から物事の流れや仕組みを考えつつ行動を起こすことが子供にとっては重要なことです。何も考えず行き当たりばったりの行動もそれなりに素敵な刺激や良質な刺激に出会うこともできますが、何よりもその行動力に思考が加わると理論的に物事を考えたり、筋道を立てた観察力や思考力が磨かれます。そしてその行動力の中にフットワークの軽さが追加されるとより効果が上がるものです。フットワークが軽く物事を楽しみながら積極的に行動する傾向が育てばしめたものです。たとえ結果が思い描くようなものにならなくても忍耐や努力を持ち行動を起こし続けることができるようになります。
③ 競争心 競争心といえば張り合う相手が居て勝ちたい負けたくないとの勝ち負けにこだわる本質的本能ですが、私は競争自体を好むのが競争心ではなく、競争によってもたらされる勝利を望む心の動きが重要だという解釈をしています。またその勝利を望む心というものは子供自身が自分自身を豊かにし、磨きをかけるためのものであってほしいとも考えます。
競争心によって一つのことに集中し努力をし結果を出し、その結果で喜ぶことを知流こともあれば悔しい思いを味わうことになります。またその過程で忍耐力や次にどのように行動するべきかなどさらに一歩進んだ思考や向上心が芽生えるでしょう。よって競争心を勝負の結果として捉えるだけでは大変もったいないことで、その先に通ずる子供たちの成長に影響を与えるモチベーションの高さとして捉えてほしいと考えます。
④ 達成感 競争心が育ってくると自ずと達成感も育ってきます。ここで勘違いしてほしくないのが競争し相手に勝ったと見下すような達成感を構築させてはならないということです。達成感とは自己の内面に構築させるべきもので結果も大事ですが、それよりもその結果に行き着くまでのプロセスを重視し、目標に向かってどのようにことを進め達成感を味わうことができたのかをしっかりと考える子供達の豊かな思考や感情、感性に通ずるものであってほしいと考えます。
⑤ 勝つことへの拘り 勝つことだけに拘りを見せる場合があります。勝負事の勝った負けたを大事にする発達期も子供の成長には必要不可欠ではありますが、その時でも勝つことだけに執着せず何が重要なのか別の視点で考えさせることも必要になります。勝つ事への拘りは時に敗北を味わうと劣等感や競争自体を拒むことにも繋がり兼ねません。よって勝利した時にこそ敗北した相手のことへの尊敬の念を抱かせることや相手の立場に立って俯瞰することが人格形成において最も重要なことと考えています。
⑥ コミュニケーション力が高い ハングリー精神のある人物はコミュニケーション能力も高い傾向があります。その理由として自分自身を向上させるためには情報を収集することにも長けていきます。よって人の行動にも関心を向け尚且つ人の話に耳を傾ける傾聴もしっかりとできているように感じています。まずは人の目を見た話を聞きなさい、自らの意見と同じだったりそうだと思う感情が生まれたら頷きなさい、しかし自分の意見と違うと感じたらそれは首を傾げたり苦々しい表情として感情を出さず、まずその話している人は何を言わんとしているのかを自分自身の中に問いなさいと教えるべきだと私は考えています。コミュニケーション能力の高い人はまずどのような意見であろうとも一旦耳を貸す許容力の高い人なのです。
3、ハングリー精神を持たせるために
ハングリー精神は逆境にある子供達だけに備わるものではなく、どのような立場や環境にあろうとも育てることができるものです。
① 目標を持つ 目標には色々なものがあります。時間を要せず直ぐに達成できるもの、数ヶ月単位で短期的な目標、長期的なスパーンで捉える目標を立ててみましょう。それがさまざまな場面で展開できるものでバランスよく目標を捉えてみてはいかがでしょうか。
例えばお散歩を嫌がるようであれば抱いてご機嫌よく散歩をまず楽しもう、慣れてきたら数歩歩けるようになろう、5分10分と時間を延ばしてとスモールステップの実現できそうな目標を立ててみましょう。また山登りがしたいという大きな目標をたてそれに向けて小さな目標をクリアしていく、楽器のコンクールで賞を獲得しようと目標を立てて努力をする、カレーライスを一人で作れるようになる、野球の選抜メンバーになる、泳ぎのタイムを縮める、各学習の単元を理解できるように計画を立てて努力するなど自分自身にあった目標を持つことをお勧めします。目標を持つことは大きな心の動きを得ることができます。いきなり大きな目標を立てるのではなく、乳児期はスモールステップでその目標達成を獲得させ、幼児期は子供自ら望む目標を立てさせ実行できるようにサポートしていきましょう。
② 夢を持つ 大きな夢地位いさな夢に関わらず夢を持つということは素敵なことです。それが小さな子供の夢で日々コロコロと変わっても夢を見ることができる子供達の幸せに耳を貸してあげましょう。子供の夢を見ることは何の縛りもない自由の表れであり特権です。
その子供の描く小さな夢を描かせてあげるのも親の役目ではないでしょうか。子供がフローリストになりたいといえば実際の花屋さんに通ってみる、花の展覧会に連れて行く、そして花が生活の中に浸透しているパリのリッツカールトンや各ブランド店の生花を見せるなどほんものを知る体験をさせてみることも必要だとは感じます。親ができる範囲内の対応で良いとは思いますが、「ふ〜ん、そうなんだ」で終わらせる無関心での反応で終わらせることの無いように関心を持って受け止めてほしいと考えます。親の無関心の対応は子供自身の無関心をも育んでしまいます。お気をつけください。
③ 興味や好奇心を持つ 興味や関心についてはすでに記事にしてあります。2023年3月20日『関心を育むために』、3月27日『興味を育むために』で詳しく説明しています。これらの記事を一読なさってください。
④ 挑戦する この挑戦することは子供のこれからの人生において必要不可欠なものです。挑戦は成功という保証がない状態で実行し失敗することが多いものです。挑戦を多く繰り返す子供は打たれ強く多少の失敗も気にしませんし、心折れることも大変少ないものです。挑戦と失敗を繰り返していくうちにほぼ成功しないであろうという失敗を仮定して挑むことになります。失敗をしてもそれが努力によって成功へ結びつけることができる経験値を増やせば、失敗に一喜一憂せずメンタルの強さも成長させながら達成が困難な課題にも挑むことができるようになります。何事にも臆することなく向き合うことができ、恐れず挑戦することができるよう励ましながら向き合うようにしましょう。昨今は成功体験ばかりに目が向きすぎてその経験ばかりをしている子供も多く、心が折れてしまい挑むことに抵抗を示す子供たちが増えたように感じます。「失敗は成功のもと、間違いは宝物、最初から成功する人はいない。成功するには何度も挑むことが必要なのだ。失敗するから成功時の喜びは大きいものである」とと子供達に伝えてほしいと考えます。挑戦は子供達すら気づいていない才能を引き出す源です。
⑤ 前向きに捉える 挑戦することを日々実践していると失敗を恐れなくなります。そして成功するためにはどうすべきなのかも前向きに捉えるようになります。人生に於けるものの見方捉え方が明るい方向に進むのでマイナスな考え方は少なく、プラス思考で物事を楽しんでいるように思います。ですから物事を前向きに捉えるながら成長するので人との対応も穏やかで不協和音が鳴るようなことは少ないといえます。
⑥ 勉強家、努力家である 面白いことに目標を持ってその目標を叶えようとする子供たちは自ずと勉強家であり努力家です。挑戦することを行えば行うほど学びを深めていき、失敗は成功の通過点であることに気づくことができるようになります。よって多少のことではクヨクヨせず苛立つことなく淡々と分析し判断し実行し結果を出していきます。ここまで来ると親が子供に支持せずとも自分自身の考えで努力をしていくことになります。ここでの勉強家とは必ずしも学習という意味だけではありません。興味や関心を持ったことをとことん突き詰めて努力することであれば学習以外のことにも当てはまることを勉強家と捉えています。
⑦ 競争心を持つ 最初は相手の存在を競争相手として勝負対象者に見ていますが、やがて競争する相手に対して執拗以上の拘りを見せなくなります。つまり自分自身の中のある自己満足のために自己競争を行うのです。幼い頃に相手と競り合うことに意識を向けていたことから自分自身の達成感を味わうために豊かに成長することになるわけです。そのような競争心に辿り着いてほしいと切に願います。