林業の関連書籍(グローバル編)
年末年始の時間を活用して、最近興味のある林業について過去に読んだ書籍を読み返してみました。以下タイトルの4冊ですが、どれも読み応えあって面白かったです。
■エネルギーはそこにある(三浦/大場)
■日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く(梶山 恵司)
■日本の森はなぜ危機なのか―環境と経済の新林業レポート(田中 淳夫)
■森林からのニッポン再生(田中 淳夫)
データなどを纏めようとすると、4冊分なので膨大になってしまいますが、まずはグローバルなデータについて、書籍のコンテンツに関連している印象深いものを挙げておきます。
まずは世界の森林面積について(2010年)
・40.3億ha(陸地面積の約31%)
・年平均で521万ha減少(0.13%/年ずつ)
・8000年前の地球比で62%が消滅 by WWF
各大陸で万遍なくあるように思いますが、ヨーロッパの比率が高いのが印象的です。
こちらはFSCの認証制度について。国際基準としてこういった制度に積極的にアプライして認証されていくことはとても重要だと思います。林野庁としてKPIの中でプライオリティを挙げても良いのではないかとすら思います。
■FSC(Forest Stewardship Council)認証
・10の原則と56の基準
・認証機関は世界に7箇所(米2/英2/カナダ/オランダ/スイス)
・事前に審査に値するかの視察
・地域や森林の利用者による協議
・本審査後に報告書がだされ第三者による評価
・合格した場合は5年間有効
・持続性や財政面などが審査ポイント
こちらは炭素生産性(GDP/CO2排出量)の推移について。基本的には、経済が発展しGDPが伸びるほどCO2の排出量もそれに比例して伸びます。現在の社会の産業構造が石油の消費に依存しているからです。この中で、分子のGDPを伸ばすか、分母のCO2を減らす事で数値を挙げる必要があるわけですが、日本は他林業先進国に比べ弱い(減少すらしている)ですね。
・欧州の伸び率の高さ
・日本の伸びは低迷
・経済成長率(子数のGDP)の低さ
・2011年以降の原発停止(母数のCO2増)
・石炭火力の大幅増加
・再生可能Eの伸び率低迷
こちらも、主要林業国の基本指標の比較について。他国に比べ、日本は類を見ない森林生産国(森林が豊富で毎年めっちゃ育っている)なのに、生産量が非常に弱いです。これは、日本の林業が上手く手入れ出来ておらず、放置された森林はどんどん育ってしまっている事を意味します。
・日本の成長量に対する生産量は30%未満(ひどい)
・日本の成長量モニタリングは森林簿にもとづく(実数値ではない)
・機械的に計算したもののため必ずしも実態を反映していない
・実質上は5000~6000万m3の木材生産を行う必要がある?
林業先進国であるドイツの印象的な数値について、「ドイツ主要製造業の雇用者数と売上(2005年)」の表があります。ドイツでは、他の主要産業と同じくらい(もしくはそれ以上)の雇用と生産を生み出しており、立派に国の基幹・重要産業として位置づけられています。
林業にまつわる雇用に関して、上記のような図があります。バイオマス発電に関連する産業でいかに雇用が産まれるかを比較図示したものです。更に、コミュニティ内で自家発電できるバイオマスの仕組みは、外貨の流出も防いでくれます。
■バイオマス暖房による雇用創出(人口1万人)
*石油/ガスで暖房した場合
雇用9人
資金は外へ
*バイオマスで暖房した場合
雇用135人
資金はコミュニティ内で還流
(例)人口1万人、3000世帯の町
灯油 1000L/年消費
→町全体の灯油 3000KL/年
→灯油¥90/Lの場合、2.7億円/年
→毎年この町で2.7億円がコミュニティ外へ流出