『チャイコフスキーの妻』
チャイコフスキーの妻
「悪妻」と呼ばれる女性の物語。
この作品の作り手は
彼女をとても軽蔑してるのかな?なんて
思ってしまいました。
不思議なのは
基本的に
好きな人や事柄を
作るのが
創作のエネルギーだから
そうではない作品に
あまり出くわさないのです。
だけど
チャイコフスキーと彼女
二人のシーンには
絵画的な美しさの中に
常に
腐臭が漂っていて・・・。
ハエ
や
物乞いの人々
決して美しいだけの画ではないし
彼女の人生も
決して美しくはなく
醜悪ですらある。
あ、女優さんは美しいです。
この時代のロシアを舞台にした作品の参考にしたくて観た映画だったんですが
とてもとても参考になりました。
この時代の女性が自己実現を目指すのはとても難しく、
八方ふさがりだった彼女は
結婚によって、
過去から脱却し、
有名人の妻となることで
自己実現を目指す。
そんな女性だったように思います。
それって
選びうる手段としては
とても妥当なように思うのだけど、
その先に待ち受けていている世界を
あまり見てないんじゃないのかなと思いました。
チャイコフスキー本人を
彼女は見ていないのだから。
彼女の視野の狭さ
浅はかさ。
でも、若い時って
ね。
自分はモテると思っていた彼女に
ゲイの夫は冷たく
というか生理的に受け付けず、
どんどん嫌われ、軽蔑され、、、
夫に愛されない事の辛さに
病んでいく。
でも、これって愛なのかな?
と
チャイコフスキーというビックネームに対する
執着
なんじゃないのかな?
と
思ってしまいました。
愛って難しい。
だって彼女は夫と逢って言葉を交わすだけで
魂が喜んでいるのが分かるから。
夫はあんなに嫌ってるのに。
あとは
惜しげもなくさらされる
男性の肉体に
衝撃を受け
フラフラと映画館を後にしたのでした。
たった一人の人に
ましてや自分の夫に
愛されたい
という気持ちは
可愛らしくもあるけれど
手に入れられないとなった時
人は鬼になるのだと
堕ちていくのだと
その業の深さに
思わず
感嘆
してしまいました。