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【Music Lovers File②】人を呼ぶひと ~ MINDJIVE主宰・山下Jimmy泰弘 ~

2019.01.15 12:00

  >>> Designed by 辻友貴(LIKE A FOOL RECORDS/cinema staff/peelingwards) 




質問1.どういうきっかけでイベントを始めようと思われたのでしょうか?

普段から友人と名古屋や東京までライブを見に遠征をしていたのですが、自分の街で自分が見たいと思えるバンドを見れないことにとても違和感を感じていました。ちょうどその時、僕が住む浜松という街で、同年代の個人で何かをしている友人がいたというのも大きく影響されました。その中で、よく一緒にライブを見に行っていた友人が自分から動いてバンドのライブ写真を撮るようになっていたんですが、自分自身が音楽に関わる仕事をしたいと中学の頃からずっと思っていたので、そしたら僕もバンドを呼んでイベントをしようと考えて、当時奈良にお店をオープンしたばかりのLOSTAGEの五味さんにオファーをしたという流れで企画が動き出しました。当時はLOSTAGEが来ると決まるまで何度も奈良に行ってました 笑。


質問2.仕事をしながらイベントを企画されているとのことですが、なぜ他の仕事をしながらイベントを企画されているのでしょうか?両立することの難しさがあると思いますが、それぞれの経験が役に立っていると感じることはありますか?

そもそもが社会人として仕事をしている中で始めたことでもあるので、何とも言えないことではあるので。音楽の世界に全然関わっていなかった一人の音楽好きなお客さんが始めれた企画だとは思っています。

でもそれぞれの経験が役に立つと言えば、社交性と誰とでも接することが出来るというのは大きいと思います。礼儀の大事さはここ最近とても感じるようになりました。


質問3.「MINDJIVE」「とある家のリビングにて」という企画でライブイベントを開催されていますが、それぞれの趣旨をお聞かせください。また、イベント名の由来があればあわせて教えてください。

「MINDJIVE」は趣旨としてこれが基本のイベントです。名前の由来はLOSTAGEの曲名なんですが、これそもそも全然何も考えていなくて。たまたま当時はまっていたバンドに「Z」というバンドがいて、このバンドの前身が「There Is A Light That Never Goes Out」というThe Smithsの曲名から取ったというのをインタビューで読みまして。じゃあイベント名を何かから取ろうと思ってCD棚から色々思いつく限りはまりそうなものを選んで、一番しっくりきたのが「MIND JIVE」だったという由来です。そもそも最初にLOSTAGEに来てもらったことがきっかけでもあったのでよかったかなと思っています。


「とある家…」は最初に知人でアジアの文化を広める活動をされているOffshore【アジア各地で活躍する音楽家やアーティスト、小規模店の経営者やイベント企画者など、独立した表現者へのインタビューweb-zine】の山本さんという方がいるんですが、4年ほど前に山本さんから僕が住む家(普段僕は自分の祖父母の空き家を使ってシェアハウスしてます)でライブできない?と結構むちゃな依頼がありまして笑。「アレックエレジャポネーズ」というベルギー人と日本人のユニットのライブだったんですけど、家の同居人が建築やってまして(+ticという建築ユニットで、新代田のLFRやYACHTの内装設計は彼らがやってます)、「面白そうだからやろう」とやることになったのが最初になります。家自体、昔ながらの一軒家でして、そのリビングキッチンを広げてライブをやったんですけど、これが結構面白くて。これ一回きりだと思っていたのが、この話をLOSTAGEに磐田に来てもらったとき五味さんに話したら「これ俺やりたい」とまさかの反応をもらいまして、じゃあやってみようと。アレジャポの時、企画名とか無かったんですけど、その時のフライヤースケジュールに「何月何日 とある家のリビング」と書いてあったのをそのまま使って企画名にしました。「とある家」は僕一人では成り立たないイベントで、同居人たちの協力がないと出来ない企画ですね。


質問4.  ご自身の企画以外のイベントへもスタッフとして参加しておられるとお聞きしました。その理由やきっかけをお聞かせください。

僕自身、まず根本的にライブの現場がとても好きで、むしろこちらからお願いしてスタッフとして手伝わせてもらうのですが、スタッフとして参加させてもらうことで新たな出会いや気付きというのを発見することがとても多いのが理由です。過去、僕自身何の繋がりも持っていなかった時は、仕事で東京か大阪に行こうと本気で考えていた時期もありました。そう思っていた時期に大阪FLAKE RECORDSの招聘で「Young Statues」というUSのバンドのツアーに帯同させてもらいまして、僕のこれまでの企画はこのツアーで出来た人脈が大きく関わっています。地方の、それも音楽の仕事をしていないただの音楽好きのイベンターからすれば、こういう現場からいい音楽を鳴らす人たちとの出会いを得る機会というのはとても貴重なことですし、スタッフで少しでも役に立ちたいという思いから未だに色んなイベントに積極的に参加させてもらっています。


質問5.  昨年参加したイベントで特に印象に残った出来事やそこから得たものがあれば教えてください。

2018年は静岡で開催された「FEVER OF SHIZUOKA」に実行委員として、GEZAN主催の「全感覚祭」では警備スタッフとして参加させて頂きました。両イベント共に、音楽で盛り上げたいという明確な目標があり、それに賛同して参加するお客さんがとてもいい顔をしていて、楽しそうで、単純なことなんですけど、音楽っていいなと改めて感じました。

運営としては、やっぱ段取りって大事だなと思いました 笑。


質問6.  スタッフとして関わることでこれまでに学んだことを教えてください。

僕自身がスタッフや企画者という立場になって初めて感じたことと言えば、お客さんとの交流や会話というのは、長く音楽活動を続ける上では一番大事なことだなと感じました。特に何気ない会話であってもそれが次に繋がっているというのは感じます。結局、お客さんとしてライブに通うことも、好きなお店の常連になることも意味としては同じなのかなと。そんな風に感じたりすることはありました。     


質問7.  今年1月に、昨年の全感覚祭やスティーヴ・アルビニ録音『Silence Will Speak』のリリースで圧倒的な存在感を示したGEZANのリリースツアーとして、心を突き刺すような音楽を鳴らすbachoや、アグレッシブで高い表現力で魅せるNO EXCUSE、ドラマチックさと繊細さが混在するようなFIND A LINEが出演するMINDJIVE Vol.28が開催されます。このイベントを開催することになったきっかけは何ですか?また、出演者の組み合わせや魅力についてお話をお聞かせください。

この企画に関しては、昨年GEZANがUSツアーを終えた直後の5月に磐田にライブをしに来てくれたのですが、この時にアルバムリリースツアーの磐田編もぜひやりたいという話になって実現した企画となります。共演はどうしようか?と考えていたんですが、昨年のFEVER OF SHIZUOKAにGEZAN、bachoと出演してもらいまして、GEZANのみんな、bachoの欣也さん、となぜかみんなでLOSTAGEの宿泊する部屋に集まりまして、打ち上げの2次会的なのが始まったんですね。その時にGEZANカルロスさんと、bacho欣也さんで話す機会があって、僕が以前からbachoには企画出演してもらいたくて機会を伺ってまして、この機会でど うでしょう?と持ち掛けてみたんです。それで、先ずbachoありの形でやろうと決まりました。あと、僕の企画にはとても大事だと思っているのですが、地元バンドにもよく出演してもらっています。特に仲の良い磐田のFIND A LINEというバンドのBa.Vo竜也さんが昔any for delightってバンドをやってたんですけど、当時の活動拠点が東京で、その時bachoとは親交があったと聞いてまして。これ10年以上前の話なんですけど、竜也さんは今地元に戻って、別の形で活動をバンドしているので、ここで一緒に出来たら久しぶりの再会になるんじゃないかと思ってFIND A LINEにも出演してもらおうと決めました。さらにその話を浜松に住んでいるNO EXCUSEの加藤さんに話をしたら「その企画おもしろそう」となりまして、じゃあ一緒にやりましょう!となって決まりました。

正直、僕がこれまでやっている企画は結構偶然にとか、タイミングでとか、そういうことも必要といいますか、それも意味に繋がると思ってやっています。なので、時期に関してもたまたま磐田FMステージの28周年の期間であった、狙ったわけじゃなかったんです。まぁ、世の中もっとしっかりして企画されている人ばかりだとは思うんですが笑。

あと、GEZANに関しては今見ておいたほうがいいバンドNo.1だと思います。ライブを見るたびに度肝を抜かれるんですが、最近は進化のスピードも早くなっていて、これはどこまでいくんだろう?といつも期待させられます。絶対見て損は無いかなと。


質問8.  続いて2月には、グラミー賞受賞エンジニア“L10MixedIt”がミックスを担当して話題になったタイトルソング「HEX」を収録し、過去最高作と名高い3年振りの最新作『HEX』をリリースするROTH BART BARONを呼んで、MINDJIVE Vol.27が浜名湖舘山寺という場所で開催されます。どのような経緯で開催に至ったのでしょうか?また彼らの魅力とイベントの見どころをお聞かせください。

これは僕自身のチャレンジというか初の試みの企画でもあります。ROTH BART BARONは個人的にそんじょそこらの場所では収まらないスケール感を持ったバンドだと思っています。2ndアルバムの「Atom」をリリースしたツアーの浜松編では、鴨江アートセンターという元々警察署だった場所をアート施設にした場所が浜松にあって、そこで開催してとても良かったんですね。じゃあ今回はどんな場所でやろうか?とROTH BART BARONのサポートでキーボードの西池さんと話をしまして、同時期に舘山寺という場所の話が近くで出てきまして。そもそもなんですが、舘山寺と聞いてわかるようにお寺さんなんですが、ここは温泉街で観光地というのが一般的な舘山寺の認知のされ方なんです。ここで、建築をしている僕の同居人達が舘山寺温泉街で仕事をするようになったんですが、舘山寺のお寺の住職さんが大の音楽好きでとても面白く良い方だと聞きました。で、この話が実は企画に出演してくれている磐田のR食堂さんからも同じ様な話を聞きまして、ここで出来たら面白そうだと感じました。同居人にお願いしてご住職さんに会わせて頂き、本当にいい話ができてここで開催することが決まりました。舘山寺での開催は今回が初めて、そもそもお寺の中にバンドを入れてイベントを行うこと自体が初の試みとのことでしたので、どうなるのか正直見当もつかないです。ただ経験上、人の流れ、関わる人たちの企画に対する想いをしっかりと感じていますので、必ず成功するだろうと感じています。

共演の五味さんは、ライブハウス以外の場所で何か別の事をする時に是非見てほしくてソロでいつも誘わせてもらっています。それにROTH BART BARONとは 結構お互いを尊敬しあっている、そんな仲でもあると思っています。

音楽好きな普段ライブハウスに行きづらい、行ったことが無い人たちにぜひ来てほしいです。


質問9.  来年3月には、20年ぶりの新曲「Aurora」と再来日の発表がたくさんの人の心を動かした、結成25周年を迎えるMineralのJapan Tourとして、磐田公演がMINDJIVEの企画として実施されます。実現した経緯と特別な思いがあれば教えてください。

経緯としては、The Firewood Project/malegoatのハジメさんが磐田FMステージをとても気に入ってくれていまして。昨年の夏にMineralの再来日の話をハジメさんが関わっていて、地方のいい箱で磐田を紹介すると言ってくれたのがきっかけになります。 その後、特に話は進展しなかったんですが、FLAKE RECORDSのダワさんに「Mineralの日程見た?」と言われまして。知らなかったので見せてもらったら、ちょうど東京と名古屋の間、3/19が空いていたんです。これはと思ってすぐにハジメさんに相談して「ぜひこの日やらせてほしいです!」と逆オファーをしました。それで話がまとまって磐田での開催が決まったのですが、磐田での開催が途中で困難だと判明して急遽浜松G-SIDEに変更することになりました。浜松G-SIDEはハードコアが中心にイベントが開催されるような箱なんですが、立地も良く、以前ここにAkron/Familyやof Montrealといったバンドの来日公演も開催されているので、きっとここでもいいライブが見れると思っています。

あと、今回はとても感慨深いものがありまして。実はFLAKE RECORDSダワさんを紹介してもらい、Young Statuesのツアーに帯同させてもらうきっかけを作れたのが、4年前のMineralの大阪公演だったんです。あの時大阪にMineralを見に行ったことが僕の人生を大きく変えてくれたのは間違いなくて、その4年後にまさか自分が主催者としてMineralの公演にかかわることができるなんて全く想像もつきませんでした。人生って本当になにが起こるかわからないことだらけですけど、今回の企画はまさにそれを象徴しているかのような企画だなとは感じています。


質問10.  海外アーティストの来日公演に関わる理由をお聞かせください。

僕自身が音楽を邦楽も洋楽もとても好きで聞いていているんですが、どっちもどっちの良さがあると思っています。単純な理由として、両方聴いたほうが音楽の幅は絶対広がるので、それを意識しているというのはあります。それに海外のバンドの招聘企画は出演するバンドにも新たな縁を作れると思っていまして、僕もその次に繋がる縁を作れたらいいなという意識を持って企画は行っています。


質問11.  今年はどのような年にしたいですか。どのような体験を届けたいですか。

舘山寺もそうなんですが、あまり既存のものにとらわれないような新しいことを企画していろんなひとに楽しんでもらえたら良いなと思って企画はやっていきたいです。あとはここまで駆け抜けるように企画やいろんなことに関わらしてもらったので、一度自分のやってきた活動をまとめてホームページを作ろうと考えています。ここで、自分で撮影した動画や過去のフライヤー画像を見れるようにしていきたいです。あとは流れに任せます笑。


質問12.  静岡の磐田市と浜松市という場所でイベントを開催する意味と思いを教えてください。

単純に自分の住む街に自分の好きなバンドを呼んで、それで地元を盛り上げたいと思っています。いい流れを持ってくる、そういう一部の人になりたいですね。


質問13.  あなたにとって音楽とは何ですか?

人生を豊かにしてくれるものです。


質問14.  イベントを企画することが、あなたの人生にもたらしてくれたものは何ですか?

生きがいをくれたとは思っています。あとはちょっと胡散臭いですけど、夢って本当に実現するんだなとは感じています 笑。


質問15.  これからイベントを企画したいと思っている人にアドバイスがあればお願いします。

全然たいしたことではないんですけど、僕みたいなサラリーマンしているただの音楽好きなおじさんでもライブ見に行く感覚で「来てください!」と五味さんにお願いして始められたのが企画でした。結構バンドの人たちというのは色んな場所や色んな土地に行きたいと思っていますし、気持ちからやりたい!って思って行動すると来てくれると思います(B’zとかミスチルはちょっと難しいと思いますが…)。なのでぜひ行動してみてください。あとはライブハウスの人やバンドマンが協力してくれると思います!


-----------Answer from Jimmy 


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“とある家のリビングにて”


インターネットでふと見かけた、このイベントの名前を目にしたのはいつだったか。

奇抜で想像をかきたてるイベント名が気になった。場所は、浜松。

遠いが、いつか行ってみたいと思った。


その時から数年が経ち、面白そうだと気になるイベントがでてきた。MINDJIVEというイベントだった。そのとき、MINDJIVEの主宰者が「とある家のリビングにて」の開催者でもあることを知った。何だか、妙に腑に落ちた。それからその人がMineralの来日にも関わることも聞いた。どんな人なんだろう?と思った。


これが今回のインタビューを行ったあらましだ。


彼の名前は“山下Jimmy康弘”。「音楽の世界に全然関わっていなかった一人の音楽好きなお客さん」と語る彼の人生は想像以上にユニークで、夢に満ち溢れていて、音楽を好きになることがこんなにも人生を豊かにしてくれるのかと思わせてくれる。

素晴らしいアイデアと熱意で、人の人生はこんな風に輝くのか、と。


運もあると思う。

もちろん才能も。

特別な何かもあるのかもしれない。


でも多分きっと一番大切な、誰かの期待に応えようとする誠実さと、困難も苦労も笑顔で乗り越えていくような気持ちの強さが、彼から感じられた。


そんな彼に引き寄せられるように人が集まる。彼の人柄が人を呼ぶ。

遠くに住む人間からも、あの人がいるから行ってみたいと思わせる。そんな人が自分の住む街に住んでいるということはとても誇らしいことだと思う。


他ではみられないイベントが、あなたの街にはある。



【Event】

                                                         Designed by 桑田亜由子


■ 2019/1/19(土) 磐田FM STAGE

『MINDJIVE Vol.28』

~磐田FM28周年記念~

Silence Will Speak release Live


[出演]

GEZAN

bacho

NO EXCUSE

FIND A LINE

Batten(OA)


[FOOD]

R食堂


[PRICE]

ADV¥3000/DOOR¥3500 (+1D)

高校生以下¥1000(+1D)

プレイガイド:e+ 


                                                        Designed by 桑田亜由子


■ 2019/2/10 (日) 浜名湖•舘山寺(静岡県浜松市西区舘山寺町2231)

『MINDJIVE Vol.27』


[出演]

ROTH BART BARON

五味岳久(LOSTAGE)


[FOOD]

R食堂


[OPEN/START]

15:00/16:00


[PRICE]

¥3000

※保護者同伴に限り2名まで小学生以下入場無料

高校生以下¥1000+1drink

大学生割引有

プレイガイド:e+, チケットぴあ, ローチケ


■ 2019/3/19 (火)

『MINDJIVE Vol.29

& records presents Mineral JAPAN Tour2019』浜松G-SIDE


[出演]

Mineral

The Firewood Project

and more


[OPEN/START]

18:30/19:00


[PRICE]

ADV¥4800/ DOOR ¥5300

プレイガイド:e+