宇宙戦艦ヤマト
今から50年前、1974年から1年間にわたって放送された、漫画家松本零士原作のテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(第1作)をご覧になったお若い方は、ほとんどいらっしゃらないだろう。
小学生だった私は、リアルタイムで初回から見続け、時々感極まって涙と鼻水をたれ流していた。
子供心に、宇宙空間では上下がなく、空気抵抗もないのだから、ヤマトを球体で建造すべきではないのか、ヤマト1隻で強大なガミラス艦隊を壊滅させることができるのか、なぜガミラス艦隊の軍艦は一発で撃沈するのに、ヤマトは何発も被弾しても沈まないのかなど、素朴な疑問が次から次へと浮かんだが、単純な私は、次はどうなるのかと毎週楽しみにしていた。
放送当時は、あまり話題に上らなかったのに、その後映画化されて大ヒットし、社会現象化したので、何を今更と驚いたものだ。
映画やTVシリーズが何作も作られたが、TVシリーズ第1作を超えるものはない。
どんなお話かと言うと、時は西暦2199年、地球は、謎の異星人ガミラス帝国からの侵略を受け、遊星爆弾により、地上は蒸発して放射能に汚染され、生き残った人類は、地下に逃れて滅亡の危機に瀕していた。
大マゼラン星雲にあるというイスカンダル星のスターシアという女性から、放射能除去装置コスモクリーナーを受け取りに来るように、と地球へのメッセージが届いた。これには、恒星間航行を可能にする波動エンジンの設計図が添えられていた。
人類は、最後の力を振り絞って、九州沖に沈んだ戦艦大和の残骸を隠れ蓑にして、波動エンジンを搭載した宇宙戦艦ヤマトを建造した。
はたして宇宙戦艦ヤマトは、ガミラス帝国に打ち勝ち、放射能除去装置コスモクリーナーを受け取って地球に帰還できるのか。人類滅亡まであと365日。
OPの主題歌が実にいいんだ。宮川泰の作曲も勇ましくて士気を鼓舞するし、阿久悠の作詞も実に泣かせる。
お二人とも戦前生まれだから、出征兵士の心情をよくご存知だからだろう。
誰も戦争なんかに行きたくはないが、「誰かがこれを やらねばならぬ 期待の人が 俺達ならば」と思って、「必ずここへ 帰って来ると 手をふる人に 笑顔で答へ」るのだ。
身の危険を顧みず、台風による停電を修理する電力会社や関連会社の社員さん、地震による断水を修理する上下水道局の職員さんや工事会社の社員さん、被災地支援に派遣される自治体職員さん、土砂崩れ等の復旧工事をする建設会社の社員さんなども、皆同じ心境だろう。
この歌を聴くたびに、目頭が熱くなる。
さらば地球よ 旅立つ船は
宇宙戦艦ヤマト
宇宙の彼方 イスカンダルへ
運命背負い 今 飛び立つ
必ずここへ 帰って来ると
手をふる人に 笑顔で答へ
銀河をはなれ イスカンダルへ
はるばるのぞむ 宇宙戦艦ヤマト
さらば地球よ 愛する人よ
宇宙戦艦ヤマト
地球を救う 使命を帯びて
戦う男 燃えるロマン
誰かがこれを やらねばならぬ
期待の人が 俺達ならば
銀河をはなれ イスカンダルへ
はるばるのぞむ 宇宙戦艦ヤマト
戦艦大和は、片道の燃料を積んだ特攻だったが、宇宙戦艦ヤマトは、放射能除去装置コスモクリーナーを受け取って地球へ必ず帰還せねばならない。
そこで、海上自衛隊の護衛艦等が海外へ派遣される際には、「必ずここへ 帰って来ると 手をふる人に 笑顔で答へ」にあやかって、出航時にこの「宇宙戦艦ヤマト」が演奏されているそうだ。
では、実際に聴いてみよう♪
2017年横浜開港祭 海上自衛隊東京音楽隊 宇宙戦艦ヤマト2017組曲
2:47から「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌が始まる。
海上自衛隊の歌姫 三宅由佳莉3等海曹のスキャットも透明感があって素晴らしいし、メインボーカルのホルン奏者川上良司1等海曹の声量溢れる伸びやかな歌声も、オリジナルささきいさお(佐々木功)も顔負けだ。
自衛隊の皆さんが戦地に派遣されず、無事に定年除隊なさることを願わずにはいられない。
歌い終わった五人が右手のこぶしを胸に当てるアメリカ風の敬礼(アメリカの文官は、国旗掲揚の際に右手の指を伸ばして胸に当てる。)をしているが、これは宇宙戦艦ヤマト所属の地球防衛軍の敬礼の仕方を真似ているのだ。凝っているなぁ〜
ところで、NHK紅白歌合戦の視聴率低迷が叫ばれて久しい。
この海上自衛隊東京音楽隊や、陸上自衛隊の歌姫 鶫真衣(つぐみまい)3等陸曹を擁する陸上自衛隊中部方面音楽隊が出場していたら、驚異の瞬間最高視聴率を記録したことだろう。
いつも思うのだが、NHKは、ヒットしていない訳のわからない下品な踊りをする整形外国人歌手グループなんぞを紅白に出演させるくせに、なぜ自衛隊等の音楽隊を出演させないのか。
なぜ毎年実施されている自衛隊音楽まつりを放送しないのか。
なぜ自衛官、海上保安官、警察官、消防官等の殉職者慰霊祭を放送しないのか。
放送しない自由を根拠に、日本人が「暴力装置」(共産党用語)に親しみや感謝の念を抱いたり、愛国心を抱いたりしないように、あえて放送しないのだろう。よっぽど都合が悪いとみえる。
これが国営放送かと思うと、情けなくなる。
※ 「暴力装置」については、以前述べた。