夕と白雪
2019.01.16 07:36
写真を撮ろうと思っていたのに、てのひらが冷気に押されてポケットに戻ってしまった
冬は沈黙が一番うつくしく歌う
重力の片隅でおどる白は視界を甘く満たすのに
口に吸い込んだとたん、咽をひっかいて咳をさそう
とおく、彼らの故郷に
いとしい人のおもかげのような朱がさす
「ああ、君らは春からきたんだね」
その奥に冬をかくした、甘く、やわらかなかたちに
薄紅をのせて
夕は春の夢をみせる
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写真を撮ろうと思っていたのに、てのひらが冷気に押されてポケットに戻ってしまった
冬は沈黙が一番うつくしく歌う
重力の片隅でおどる白は視界を甘く満たすのに
口に吸い込んだとたん、咽をひっかいて咳をさそう
とおく、彼らの故郷に
いとしい人のおもかげのような朱がさす
「ああ、君らは春からきたんだね」
その奥に冬をかくした、甘く、やわらかなかたちに
薄紅をのせて
夕は春の夢をみせる