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テマヒマ

哲分

2024.11.06 22:30

おはようございます。

高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食

に関する古書のセレクトショップ、お味噌や

発酵食品中心のカフェ、テマヒマ

プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


日本経済新聞11/6付の「再考・学び舎」という欄の、哲学者・鷲田清一さんのインタビュー記事が面白かったので、抜粋してご紹介しつつ、それにテマヒマを絡めて書いてみたいと思います。

「世界や社会が混乱し、先行きが見えず、不景気になったりすると、人びとの関心はしばしば

哲学に向かう」

哲学への関心が高まっている、という認識はなかったですが、テマヒマがテーマとしている民藝や発酵はVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代と言われる現在にあってモノサシ足り得ると考えています。デジタル化、そしてこれからAIが進化していく中で反動として、民藝の品を取り入れたり、発酵食品を作ったりする、というちょっとしたブームがきていると感じています。それがモノとしての民藝だけでなく思想としての民藝、現象としての発酵だけではなく発酵的な思考まで深まればなぁと考えています。哲学というものが何かということはよく分からないですが・・・。


「哲学には世の中が変だぞという感受性、おかしな兆候に敏感に反応するアンテナが欠かせない。この違和感があれば、世界の現実について(略)”当たり前”を疑うことができる。(その例として)誰もが良いものだと思っている”正義”が人びとを分断し、戦争の根拠に使われはいないか、と問い直す感覚を養ってほしい」

民藝という言葉を生み、民藝運動の中心だった柳宗悦もおそらく、当時の日本の帝国主義・植民地主義的な動きに対しての違和感(朝鮮や沖縄、アイヌへのまなざし)だったり、西欧化や機械化の流れに対する違和感(手仕事への想い)があったのっだと思います。歴史は繰り返さないが韻を踏むという言葉もありますが、現在もそれにも似た違和感が多い時代で、民藝が間もなく100年を迎えるからというだけでなく、注目される理由がそこにあると思います。

正義の反対はまた別の正義という言葉があります。例えば発酵と腐敗は現象としては同じで人間に有用かどうかの別であったり、善玉菌、悪玉菌という言い方もあくまで人間からの見方であるということも、発酵的な思考は教えてくれます。民藝や発酵は、モノとしても思考としても、多様性への寛容さも導いてくれ、分断を癒す、世界平和へも繋がると信じています。


「科学者も官僚も政治家も専門分化して細部には詳しくても(略)大きな流れを見通して今やるべき課題に取り組めないでいる。時代を見通すにはそれぞれの学問の根本に哲学がないといけない(略)。だが頼みの哲学の方も閉じこもりがちで細分化が進んで(略)”哲学・学”が主流を占めている」

リベラルアーツがしきりに言われるのもそういうことだとは思いますが、一方で専門を極めた人の話は他にも通じると感じることも多いです。発信者または受信者の汎用化・一般化する力、知を智に変える力、というか統合する力が求められますね。鷲田さんは「臨床哲学」ということも提唱されていますが、狭い業界にいても、小さなお店を営んでいても、視座高く、視野広く、自分なりの哲学を持っていたいものです。


「コミュニケーションが哲学の思考には必要だ。対話するなかで別の視点に気づき、新たな方向が見つかる」

相手から得られる別の視点だけでなく、話をしているうちに自分自身の頭が整理されるという経験もよくあると思います。これから起業しようという方がテマヒマにはよくいらっしゃって、包み隠さず色々な経験やお話をさせて頂いています。とてもお客様の少ない昨日もそのような方がいらっしゃって何かヒントをつかんだように仰っていてお帰りになりました。コンサルというと大袈裟ですが今後もそういうアドバイスはしていきたいと思います。案外その人の言葉の中に答えが潜んでることが多い気がします。


この記事が、「学び舎」も、新しい知を生めない「栄養不足」に気づいているはずだ。「哲分」の補給を急がなくてはならない。とうまいこと言えてるのか言えてないのか分からない〆でしたので、そこから「哲分」というブログタイトルにしました。


写真は内容とは全く関係なく、昨日届いた翁再生硝子工房さんの新型ワイングラス。以前扱わせて頂いたパイナップルモールの風鈴を見て、これでグラスが出来ませんか?と投げかけていて、試作品は随分前に確認していたのですが、遂に完成し昨日届きました。光を浴びて反射する様がまた美しいです。是非お手に取ってご覧下さい。


テマヒマは今日も11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。ランチの11時半,12時のお時間はご予約で満席となっていますので少し遅めにお越し頂くのがおススメです。12時以降はお料理の確保予約(お席は空き次第のご案内)も承っています。


それでは好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。今日も好い一日を!