三代目❤夢小説 『NAOTO編50』
美しい珊瑚礁に数えきれないほどの熱帯魚が群がっている。
海の透明度を証明するかのように、どの魚も色とりどりで、優雅に舞っている。
先をいくまりあが少し深く潜り、指を指して直人に合図を送る。
まりあが示す方向に口の尖ったチョウチョウウオが二匹いる。
海底の真っ白な砂に光が反射して、チョウチョウウオの黄色や黒い模様が眩しいくらいに鮮やかだ。
直人とまりあの間を悠々とコバンアジの群れが横切った。
まりあが誘導する方へと進んでいくと、大きな珊瑚礁から、海よりも濃いブルーの魚達がわぁっと一斉に現れた。
どの魚も人馴れしているようで、直人のすぐ近くまで寄ってくる。
まりあはしきりに珊瑚の方を見てなにかを探しているようだ。
直人は、目の前にいる小さな熱帯魚に触れたくなって、マリングローブの片方を外し、熱帯魚に触れようとした。
熱帯魚はすばやくそれを交わし逃げていく。
まりあが振り返ったと同時に、直人の指先が珊瑚に触れた。
ー痛っ…
小さな痛みがあって、直人は慌てて手を引いた。
まりあがすぐに近くまでやって来て、直人の指先を見た。
珊瑚で手を切ったようで、赤くなっている。
まりあはジェスチャーをして、浮上する合図を直人に送った
足に装着したフィンを動かし、二人揃って海から顔を上げた。
スノーケルを外し、声に出す。
「直人さん!!珊瑚で切ったのね?」
「ついつい目の前の魚に触れたくなって、グローブ外しちゃった」
笑顔で直人が続ける。
「大丈夫だよ‼大したことないから」
直人が言い終わる前にまりあは、直人の手首を掴んでその指を口に含んだ。
「まりあ!?…」
チュッと音を立てて口を離し、傷口を確認した。
「かすり傷ね、良かった‼大したことなくて」
直人は突然衝動に刈られ、まりあの両肩を持って自分の方に引き寄せた。
「直人さ…」
直人の唇がまりあの唇を包み込んだ。
「ん…」
まりあは抵抗する様子もなく、ゆっくり目を閉じた。
珊瑚を避けるように浅瀬に立ったまま、直人はまりあをしっかりと抱き寄せた。
つづく