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広報「土壌汚染情報局~中小企業・個人事業者が向き合う土壌汚染」~Presented by ECO SEED

エコプローブ協会20周年記念座談会

2024.11.09 00:06

質の高い土壌汚染サンプリング技術で信頼築いた20年とこれから

会員相互の連携、技術力の向上

会長:岡田宏氏(株式会社エイチテック代表取締役)

副会長:遠藤康之氏(株式会社PEC代表取締役)

副会長:高橋亨氏(城東地質株式会社代表取締役)

理事:澤田健一氏(有限会社澤田ボーリング代表)

理事:尾張新吾氏(ジオラフター株式会社取締役)


土壌汚染のサンプリング調査において高い技術力で業界の信頼を得てきたエコプローブ協会が今年度、20周年を迎えました。技術力の向上、会員間の連携を掲げてき同協会が築いてきたもの、これからの協会活動は何か。協会の役員にこれまでを振り返っていただき、今後への考えを聞きました。(エコビジネスライター・名古屋悟)


※エコプローブ協会2024年度技術講習会(写真提供・エコプローブ協会)

◆協会の役割◆

司会「このたびは協会設立20周年、おめでとうございます。2003年の土壌汚染対策法施行以来、土壌汚染のサンプリング調査においてエコプローブ協会会員の活躍を見聞きしてきましたが、発注者であるゼネコン等における信頼感の高さを感じてきました。まずは会長に協会を少し振り返ってもらいたいと思います」

岡田会長「当協会は初代会長の遠藤計会長の『会員相互の技術力向上』という掛け声の下、メーカーの株式会社東亜利根ボーリングの協力を得て、2005年4月にエコプローブ機およびエコミニ機を所有する21社の企業により設立しました。ピーク時には50社を超える会員がいましたが、2024年10月現在、正会員23社、賛助会員含めると31社が参加しています。会員相互の連携により、日々の調査施工において生じる様々な課題を解決することが可能な効率的なシステムの構築を目指して活動しています。また、各種サンプリング技術の開発や調査施工の質的な向上だけでなく、作業の安全に対する認識の統一と、次世代の技術者の育成も大きな目標として活動してきました。

当初は任意法人でスタートし、さらなる事業の強化等を踏まえ、2015年には一般社団法人化をおこないました。その後、新型コロナの影響等から活動の変容もあり、再び任意法人として活動していますが、会員相互の連携や技術力の向上という基本であり重要な理念を大切にして活動を続けています」

※岡田会長

◆活動で築いた強み…相互の技術力への信頼に基づく会員間連携◆

司会「会員企業にとって協会の強みをどのような点に感じていますか?」

澤田理事「一番の強みは、会員同士の連携が強いことでしょうね。これは発注者へのメリットにもなっていると感じています」

※澤田理事

尾張理事「同感です。技術力の向上とともに会員同士のつながりによってスムーズな業務を行える環境が整っているのは強みですね」

※尾張理事

高橋副会長「各地方に協会会員はいますが、協会活動の基本である技術力を向上する取り組みによって会員各社の技術力にそん色がなく、会員同士がお互いに任せられる関係があることで大きな安心感が育まれていることは大きなメリットでしょう」

※高橋副会長

遠藤副会長「すでに皆さんが言っていますが、相互の技術力への信頼感に基づく横のつながりによって安心して助け、助けられる関係が構築され、情報共有もしやすい点は強みだと思います」

※遠藤副会長

澤田理事「エコプローブ機の台数が必要な大規模案件のときはまさに会員の連携が生きますね。エコプローブ機の手配だけでなく資材等の融通等も柔軟に協力し合えますから」

◆技術力…技術講習会等通じて培ってきた確かなサンプリング技術◆

司会「確かな技術力が会員間の連携の強さを裏打ちしているのですね」

岡田会長「協会ではメーカーの協力の下、技術講習会も充実してきました。機械の操作もそうですが、現場では不測の不具合が起こることもあります。技術手順書等を整備してきたほか、講習会ではメーカーの技術者の協力を得てメンテナンスについても学び、現場での対応力を高めてきました」

尾張理事「遠藤計初代会長が繰り返し強調してきた技術力向上が現在の会員にも強く根付いています。当社は設立当初からのメンバーではありませんが、エコプローブ機によるサンプリングについて教えていただき、技術力を上げてきました。活動が20年に及び会員各社の技術の品質は同じレベルにあると言えるでしょう」

高橋副会長「土壌汚染対策法ができ、法に基づく調査方法が示され、制度が見直されるごとに対応してきました。技術力という点ではすでに確立していると自負しています」

遠藤副会長「我々の業界は古くから職人気質が強く、技術を教えないような風潮もありますが、この協会ではそうしたことはなく、会員企業の誰もが同様のレベルで土壌汚染調査用の井戸掘削ができるよう努めてきたことで、協会会員であることが土壌汚染業界での信頼性の高さに繋がっていると感じています。

土壌汚染調査の仕事が増える中で様々な条件の現場を経験してきたことで技術力が向上し、それをまた協会会員で共有してきた歴史は大きな財産です。また、協会では、会員企業の現場オペレーター等を表彰する制度も設けており、現場技術者のモチベーションを高める効果も出ているのではないかと思っています」

澤田理事「協会会員がエコプローブ機を現場で使う中で感じてきたことなどをメーカーにフィードバックし、より使い勝手の良い仕様へと変わってきたという点でもメリットは大きかったのではないかと思っていますね」

岡田会長「受注価格についても一時期は低価格競争がありました。かねてより会員各社が適正な額で受注できる環境にならないかと悩んだものですが、当協会会員の確かな技術力は発注者の信頼を得るに至ったことは大きな財産です。物価高が続いていますが、各社とも物価上昇分は価格転嫁できているのではないかと思っています」

◆土壌環境調査の市場変化◆

司会「土壌環境事業の変化についてはどのようなことを感じていますか」

岡田会長「土壌環境市場については、土壌汚染対策法が施行された2003年以降、順調に拡大し、非常に忙しい状況が続きましたが、2008年のリーマンショックを境に仕事量は減少していきました。このため、会員間でも土壌環境調査に重点を置くケース、違う分野に重点を置くケース様々ですが、減少しながらも安定的に発注はあると感じています」

高橋副会長「以前に比べると市場は落ち着いてきており、当社では土壌環境調査の比率は低くなっていますが、要請があればいつでも対応できます」

遠藤副会長「当社も同じような状況でピーク時は6割ほどが土壌汚染調査だったものが現在は3割くらいで落ち着いており、井戸工事や地中熱の熱交換井工事等へとシフトしている部分はありますが、今後の土壌汚染対策法の見直しなど制度の動向は注視していきたいと思います」

澤田理事「関東地方等では一時期よりも落ち着いた感があるようですが、当社の地元である新潟県に限って言えば以前よりも県内案件が出てきているように思います。インフラの老朽化等による改築等は今後、多くの案件が出てくるでしょうし、それに絡む調査案件は増え、当協会の役割はこれからも大きなものになるのではないかと思っています」

尾張理事「当初は土壌汚染対策法等の制度に基づく案件が多かったですが、現在では土地取引や資産除去債務等に絡む案件が中心になっています。また、澤田理事が指摘したように地方での案件が増えているのは実感しています。こうした中、国ではこの秋から土壌汚染対策法の見直しの検討が始まっています。さまざまな課題がある中でまた新しい仕組みへと変わり、新たな需要も生まれてくるのだと思います。そうした動きにも素早く柔軟に対応していけるように今後も情報共有し、技術面でもブラッシュアップしていきたいと考えています」

◆これからの協会活動…エコプローブ機の多工種への応用、人材確保・育成◆

司会「技術力の向上という目標も確立したと言える状況下、今後の協会活動においてどのような点がポイントになると考えていますか?」

岡田会長「協会としての活動目的等を変えることは現状では想定していません。当協会は協会員がお互い協力し合いながら業務にあたる体制が確立されており、複数台必要な大きな現場での会員同士の協力関係による対応や、長年培ってきた高いレベルのサンプリング技術を共有できています。この強みを今後も生かし、質の高い土壌環境調査に貢献していきます。一方、エコプローブ機が土壌汚染専門機のイメージが強いため、地質調査やさく井工事、その他多工種に応用できることが認知されていない点は今後の課題だと思っています」

遠藤副会長「確かに。エコプローブ機は、土壌汚染調査以外の工事でも使えますが、この点は協会会員でもまだまだ認知度も低いです。この辺りの認知度を上げることでエコプローブ機が活躍する場がさらに広がるでしょうね」

高橋副会長「技術力については一定程度成果を上げていますし、会員連携も取れている中で次の課題と言えば、やはり人材確保につながるような認知度の向上が一番大きな課題だと思っています」

澤田理事「おそらくこれは会員各社共通の課題でしょうね。求人を出してもなかなか集まらないですし、入ったとしても長く続けてもらえなかったりしますし。また、人材確保とともに現場オペレーターが定年退職等迎えるケースも増えている中、エコプローブ機を使いこなせる後継者の育成も大事になってくると思います」

尾張理事「当社では高校への出前授業なども行っていますが、そうした取り組みを行うことで一定程度の手ごたえは感じています。一方で、いかに長く続けてもらえるのか…は会社としても課題ですが、協会として魅力ある業界であることをPRしていく余地があるかもしれませんね」

高橋副会長「SNSなどをうまく使うことを考えてもいいのかもしれません。個人的に農業系動画配信者の動画が面白いので見ています。若手の農家が用水路を流れてきたり、農業と関係ないことを動画に流していたりしますが、インパクトは強い。無関係なことをしながらもしっかり農業の魅力等も伝えています。現代は、どのようなことが注目を集めるのか分からない中、まずは興味を持ってもらうことなども考えてもいいような気がします」

岡田会長「こうした皆さんの意見を生かして協会活動をさらに広げたいですね。市場環境自体、土壌汚染対策法の見直し等によってまた変化していくでしょう。協会としては発足以来目指してきた会員各社の技術力の向上という原点を柱とし、協会のさらなる発展のために引き続き顧客に必要とされ、また地域社会に対し貢献できる協会運営を目指し、引き続き新たな方向性と広がりを積極的に探っていきたいと思っています」

司会「ありがとうございます。設立20年からこの先、さらなる飛躍を期待しています」

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