ワンピース case 03 作・草場あい子
2019.01.16 14:55
白いワンピースが、
夕日に照らされてオレンジ色に染まっている。
彼女は白線の上を歩きながら、
「全てが自分の思い通りになったら、どんな感じなのかな。」
って、言った。
彼女の好きだった人に好きな人ができた。
私は何も言えなかった。
彼女はずっと下を向いて白線の上を歩いた。
でも、彼女は立ち止まって私の方を向くと、
「でも、なんでも思い通りになったら、全然面白くないね。」
と、言って。
彼女の瞳はキラキラと光っていた。
そんな彼女をとても綺麗だと思った。
彼女は前を向くと、また歩き出した。
けど、彼女はもう白線の上は歩いていない。
オレンジ色に染まったワンピースが風に揺れる。
彼女の姿はやっぱり綺麗だった。
私は彼女に、
「そうだね。」
と、言った。
私は彼女がこんなにも綺麗だったことも、
白いワンピースがオレンジ色に染まることも、
知らなかったから。
彼女は、
「うん。」
と、言って笑った。
2019年1月16日
草場あい子