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Arts-Based Research & A/r/tography, Koichi Kasahara Lab.

内側から知る Knowing from the Inside

2024.11.09 08:49

美術教育セミナー「内側から知る Knowing from the Inside」

2024年11月 9日 (Sat) 14:00-17:00

東京学芸大学・W17 2F 美術科教育演習室

◯話題提供者

おどる なつこ(タップダンサー、NPO法人

あしおとでつながろうプロジェクト代表)

工藤 春香(アーティスト)

小笠原 新也(耳の聞こえない美術案内人)

◯コーディネーター:細野 泰久(ソーシャル・プラクティス研究)

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人間を身体、精神、社会に切り分ける学問ではなく、人間が世界とともに切り分けられない総合的な学問としての人類学を実践するティム・インゴルドは「他者を真剣に受け取ること」を自らの学問の第一の原則としている。この原則は、様々な現場で教育の実践にかかわるものにとっては以前から自明のことであるだろう。インゴルドは人類学を「人々について(of)の研究」ではなく「人々とともに(with)研究すること」であると述べる。また、物事を知ることは「内側から知る」ことであるとするが、それは自分自身も変化しながら知識を得ることであり、探求はすべての参加者が絶えず変容にさらされていることでもある。このようなインゴルドの探求の姿勢は、三人の話題提供者にも共通する。それぞれの場所で、優れたインフォーマルな教育的営みを続ける実践者から多くを学びたい。タップダンサーであるおどるなつこは、知的障害や自閉スペクトラム症当事者とともにダンスを創作し、彼らの自発性や主体性を引き出す試みをおこなっている。工藤春香は、日本の障害者差別の制度的歴史や障害のある子どもを育てる親の会の活動の歴史を詳細に調査し、保護者のコーピングや主体化を図る。聴覚障害当事者である小笠原新也は、自ら考案した筆談による対話型美術鑑賞を各地の美術館等で実践し、多様な人々とともに美術鑑賞による新たな知見を生み出している。この研究会では、三者の実践報告をもとに、インクルーシブな社会に向けて、当事者とともに生きることを(から)学ぶ探求のあり方を検討する。(細野 泰久)