遵法精神に欠ける企業風土 <追記1,2,3,4>
普通地方公共団体が海外事務所を設置することは、それが住民の福祉の増進(地方自治法第1条の2第1項)に役立つのであれば、適法だ。
都道府県の支庁・地方事務所、市町村の支所・出張所の位置、名称及び所管区域も、条例で定めなければならないが、その位置については、「必要な地に」とあるだけで(地方自治法第155条第1項)、それ以外にはなんら制限がないからだ。
また、普通地方公共団体が株式会社を設立することも、それが住民の福祉の増進に役立つのであれば、適法だ。
地方自治法には、普通地方公共団体が株式会社を設立できる旨の明文の規定はないが、普通地方公共団体の予算執行に関する長の調査等の権限(地方自治法第221条)の対象法人の範囲として、「普通地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している一般社団法人及び一般財団法人並びに株式会社」が列挙されている(地方自治法施行令第152条第1項第2号)。
下記の記事によると、沖縄県が米国ワシントンに海外事務所を設置しようとしたところ、米国務省から「非営利目的の事業者設立は不適当だ」と言われたため、米国弁護士の助言に従って、県が100%出資する「株式会社沖縄県ワシントン事務所」を設立したそうだ。
しかし、「現地に常駐する県職員のビザを取得する際、県側が肩書を「社長」などとして申請。米移民局に提出した資料には«沖縄県から直接雇用されることはない»«株式会社が雇用を管理している»などと記載していたが、実際は県職員の身分を有した公務員のままだった。」そうだ。
これは、明らかに虚偽申請であり、違法だ。また、記事にはないが、「株式会社沖縄県ワシントン事務所」は、売上がゼロの赤字会社であるはずで、事務所の経費や現地人スタッフを雇用している場合にはその人件費をどのように捻出しているかなど、資金の流れ・会計処理も洗い出すべきだろう。
このブログでも何度か沖縄県庁を取り上げたが、どうも遵法精神に欠けるきらいがある。左翼思想が広く深く浸透した結果、「目的のためには手段を選ばず」という企業風土が醸成されているのではないか。
記事にもあるように、費用対効果(地方自治法第2条第14項)も乏しく、不当な公金支出ではないかと疑われても仕方ない気がする。
そもそも国防は、国の事務(「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」)なのに(地方自治法第1条の2第2項)、沖縄県庁が税金を使って米軍基地問題を解決するため「株式会社沖縄県ワシントン事務所」を設立・経営するのは、如何なものかと思う。
「株式会社沖縄県ワシントン事務所」が反米・反基地闘争を米国で画策しているとすれば、米国側から見れば、株式会社を隠れ蓑としたスパイ組織ではないかと疑われることになろう。
「株式会社沖縄県ワシントン事務所」は、米国法人であるから、形式的に見れば、米国のForeign Agents Registration Act of 1938外国代理人登録法の適用対象外となるが、従業員が県職員の身分を有した公務員のままだったのであるから、実質的には沖縄県ということになるので、外国代理人登録法に基づく登録が必要ではないかという疑問も生じる。
換言すれば、外国代理人登録法の脱法行為の疑いがあるのだ。
※ <追記3>の読売新聞によると、「自治体による政治的活動に難色を示した米政府だが、沖縄県の関係と分かる同社については、外国のロビー活動をする代理人登録に関する外国代理人登録法(FARA)に基づいて登録され、県側はロビー活動を継続できている」そうだ。
<追記1>
沖縄本島北部を襲った記録的な大雨被害で、沖縄県の対応の遅れたため災害救助法の適用(法定受託事務)が困難になったことも、遵法精神の欠如が原因の一つだ。
県の担当者は、「ここまで被害が拡大するとは想定しづらかった」と述べているそうだが、記録的豪雨に警戒するよう天気予報で繰り返し述べていたし、また、鹿児島県が適切に対処して災害救助法が適用されているのだから、このような言い訳は通用しない。
デニー知事は、「一義的に私が(早期の対応を)判断しなかった」と述べ、猛省しているそうだが、責任を取って辞職しないし、お詫びに自分の全財産を被災者支援に寄付もしない。反米・反基地闘争には熱心だが、自衛隊は、知事の災害派遣要請に備えて、早くから待機していたのに、デニー知事は、災害派遣要請をしなかったそうで、県民を守る気がないのではないかと疑われても仕方がない。
<追記2>
「株式会社沖縄県ワシントン事務所」に関するより詳細な記事があった。やはり資金の流れ・会計処理も杜撰だった。
<追記3>
<追記4>
デニー玉城知事が地方自治法違反を認めて、陳謝した。下記の記事には、「県は10月まで株式会社と知らず、議会に報告していない」とあるが、この期に及んで、株式会社と知らなかったなんて見え透いた嘘を付くのかと呆れる。ビザ申請に際し「社長」という肩書きで申請しているのに、よくこんな嘘を付けるものだ。