小雪（しょうせつ）
小雪（しょうせつ）
2024年11月22日（金）第20
11月22日～12月6日の時間帯
少し降る雪
わずかな雪
雨が凍り、雪になって降るほど
冷え込みが強くなって
山にちらつく雪は そのまま積り始める頃。
小雪と書くと「こゆき」と 読みたくなりますね。
小さい。色白の。かわいい。
響きの愛らしさ。
はかなげなイメージ。
生まれたその季節。
小さな女の子を 連想してしまうのは
私だけでしょうか？
本日ご紹介するのは 「茉莉女児環」（花茶）
『ジャスミン香る女の子の耳飾り』
という名前のお茶です。
お茶を手のひらにのせてみて。
耳元にあてたら、ね。
白とも銀とも緑とも見える
丸巻状のつややかな茶葉は
リングになったピアス。
またの名を
「茉莉貴妃玉茶」
「茉莉玉環茶」
楊貴妃。
彼女の本名は楊玉環。
幼い日の彼女の耳たぶにも
小さな耳飾りが あったのでしょうか？
中国では 女の赤ちゃんが生まれると
丸い環の形をした宝飾品を贈ります。
お祝いの耳飾り（ピアス）は 「女児環」
にゅぅあーるほぉわん
あーる の音は「耳」と同じ音。
リムテーの女児環は 雲南省（福建との境に当たる地帯）
自生する大葉種の茶樹から
白い産毛の多い銀針
一針二葉の茶芯を丁寧に摘み取り
加工しています。
この特徴ある外形の仕立ては
釘や千枚通しに似た
細い棒状の道具を使って
一つ一つ巻き付けて 手作業で作ります。
出来あがった女児環に
さらにジャスミン花を
何度も何度もかぶせて
熟成させたものが 茉莉女児環となります。
シルバーに緑も含む光沢を帯びた 乾いた葉からは
穏やかな ジャスミン香が感じられます。
湯をそそぐと茶葉は ゆっくりと動き出し
芳香を放ちます。
蓋碗では 90度くらいの湯を注ぎ
一煎目は さっと出して（洗茶）
まずは香りを楽しむ。
そのあとは ごく薄い水色でも
すぐにうまみたっぷりの お茶が出ます。
白っぽかった茶葉は
ぐんぐん湯を含んでは 色を変え
広がりほぐれて
見ているだけでも楽しいです。
碗の一点を狙って注水をすると
湯がくるくる茶葉を躍らせ
楊貴妃が得意とした胡旋舞の
翻る衣装のようです。
茶湯の口当たりが 非常にやわらかで
何度煎を重ねても 衰えずに
ずっとすがすがしい。
独特の茶葉の甘い味わいを
ジャスミンの清らかさが 引きたてます。
赤ちゃんが愛し愛され、
何不自由のない生活が その子に与えられ
無事に育ってくれることを 誰かが願う。
一週間、一か月、一年、また一年。
環は巡る命の形。
なんて素敵な お茶でしょうか。
あら、 その枝に隠れているのは だあれ？
貴妃かジャスミンかと 勘違いしてしまいましたよ。
碗の中 踊るお茶で
小雪舞う冬も
気を晴らし
温まりましょう。
※このお茶は普段は実店舗のみで
取り扱っているお茶ですが
2025年お茶の福袋に入っています。