「宇田川源流」【日本報道検証】ロシアの新型ミサイル発射とその背景
「宇田川源流」【日本報道検証】ロシアの新型ミサイル発射とその背景
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」をお送りしている。「日本報道検証」というのは、なにも報道を同行しようというものではなく、単なるニュース解説であると考えいてただいて構わない。もちろん、その内容に関して、あまり日本の報道機関が報道していないものでありなおかつ重要であろうと判断できるものも少なくないのであるが、私の性格上あまりまじめなものばかりではないので、その点はご了解願いたい。
さて、今回は、11月21日に、ロシアが新型弾道ミサイルを発射し、そのことに関しての一連の動きに関して見てみたいと思う。
このミサイルは一時「ウクライナの情報」によってICBM(大陸間弾道弾)であるといわれた。映像によれば、轟音がした後、分離式弾道がほぼ同じ位置に6回着弾し、それぞれ爆発しているということを見れば、このミサイルが「大陸間」であるかは別にして「分離式弾道ミサイル」であるということは間違いがない事実であろう。その後ロシア側の情報によって、このミサイルは最新の極超音速中距離弾道ミサイル「オレシュニク」ということが明らかにされた。そして今回のミサイル発射が「実験である」とし、ロシアは今後もこのミサイルの量産に踏み切るということを宣言したのである。
一方、このミサイルの発射に関して、アメリカは事前に通知を受けていたという音を発射後に明らかにし、アメリカへの通知が何を意味しているかということも合わせて話題になったということになる。アメリカは、この報道のままであれば、「ミサイルの通知に対して、ウクライナ領内への攻撃を黙認し、その内容をミサイルの実験と受け取っていた」ということになるのであり、現在のバイデン政権がいかにロシアに対して攻撃を容認しているかということが見えてくる内容になってしまっているのである。
さて、このミサイルが発射された背景に関しては、先日のメールマガジンにおいてしっかりと解析をしたのであるが、今回はその内容に関するアメリカとの関係についてみてみたいと思う。
<参考記事>
ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用か
11/21(木) ロイター
https://news.yahoo.co.jp/articles/160b9effbcc9f6bb29c9a71d11c386de32b162be
<以上参考記事>
クライナ国防省情報総局はこの新型ミサイルについて、▼速度はマッハ11を超え、▼6つの非核弾頭を搭載、それぞれが6つの子弾を装備していたと発表している。ICBMに関しては「核不拡散条約(NPB)」で規制されていると考えチエル人が少なくない。そのような人は、ある程度適当に核兵器のことを勉強はしているが、深くまたしっかりと原文を呼んで勉強をしていない人である。「核不拡散条約」は、基本的には「戦略核兵器」となっており、なおかつ大陸間弾道ミサイルの規制となっている。そして戦略核兵器の削除に関してはオバマ大統領がプラハ演説で核兵器廃絶を提唱し、そのことで幾分かの核兵器は減ったが、しかし、そもそも「戦術核兵器」といわれる有効範囲が狭い兵器や、中距離弾道ミサイルに関してはそもそも適用されていない。米ソ(ロシア)は中距離弾道ミサイルの不使用の条約を持っていたが、中国などはその条約に参加していないので、当然い中距離弾道ミサイルは多数保有している。そして、トランプ大統領がNPBを破棄したことによってロシアも中距離弾道ミサイルを配備するようになった。要するに、ロシアや中国は中距離弾道ミサイルを持っているがアメリカや日本は全く開発していないということになる。
その中距離核ミサイルは、特にロフテッドといわれるように高高度から地球の引力を利用して超音速になって標的に落ちてくるというようなミサイルになっていて、北朝鮮などもそのようなミサイルを実験しているということになる。
さて、ロシアは「実験」と言っているが、すでにこの解説を見てお気づきの様に、「オレシュニク」は、きたちょうせんにもってきてすでに開発し、そして実験をしている。ここ数回、北朝鮮が超音速ミサイルの実験をしていたと思うが、まさにこの内容(まったく同型ではないが、エンジンや発射後の軌道などは同じ)というような内容をしていた。ロシアと北朝鮮の軍事同盟はこのように使われていたのかと感心してしまう内容である。
そのうえ、その弾頭には核弾頭を使用可能であるということなので、ウクライナだけではなく、同型のミサイルを持つ北朝鮮にも警戒が必要ということになるのである。
逆に言えば、ロシアは「アメリカが実験もせず、開発もできていないロフテッド軌道の貯音速中距離弾道ミサイルを、すでに保有し実戦で使用することができ、そしてそれが日本や韓国も狙っている」という警告をしたということになるのである。同時に、そのミサイルを量産するということは、対NATOの戦争になった場合に使用するということになったということになる。
しかし、これは単なる脅迫ではなく、それだけロシア国内に反プーチンや厭戦気分の反体制住民が増えてきていることも示しており、そこにウクライナ軍のミサイルが攻撃をすればロシア国内が恐慌状態になるというぎりぎりの選択も存在するということになる。そのことはすでにメルマガに書いたとおりである。
このように考えれば「オレシュニク」には、様々な解釈がありその解釈に関しては、どれも当てはまるようであるしどれも外れているのかもしれない。また、ウクライナ情勢の成り行きや今後の世界政治によってさまざまな返歌を見せることになる。この「オレシュニク」の発射は、そのような転換期の一つであり、またロシアはトランプ大統領就任前に一つの分岐点を作ったということに他ならないのだ。
さて、残念ながら「年収の壁」で目いっぱいであり、国会運営もうまくできない石破政権には、これらの内容はほとんど関係ないということになってしまう。本来はオホーツク海を挟んで日本はロシアの「隣国」であり、本来は影響力を行使することができるのであるが岸田政権の時から、日本は世界平和のための行動をすべて放棄してしまっている。情報もろくに持っていない状態では、何もできないし、内政に必死になっているだけで、外交の動きに全く対応できていない状態では困ったものなのである。
政治を安定させて、しっかりと世界の中で日本が指導的立場になり影響力をこうしできるようにしなければ、次は日本がやられる番になってしまうのではないか。