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マヤ

三代目❤夢小説 『NAOTO編53』

2019.01.19 23:00

民宿に帰ってくると、まりあの母が待ち構えていた。

「まりあ、碧さんから何度も連絡があったよ」



「スマホ持って出なかったから…すぐに掛け直すね、母さん」



まりあは直人に軽く会釈をして、厨房の奥に消えていった。



まりあの母はカウンターの中から直人に笑顔を向けて言った。



「お帰りなさい。ハナリはどうでした?」



「あ…最高でした!お借りしてたウェットスーツ洗いたいんですが…」



「ああ、外のホース使って下さい。すぐに夕食ご用意しますね」



「ありがとうございます」



ーシュノーケリングもそこそこに、娘さんとキスしてたなんて、言えるわけがない。



直人の心がチクンと音を立てた。



レンタルしていた物を綺麗に洗って返し部屋に戻ると、iPadに大量のメールとデータが届いていた。



直人はiPad片手にカウンターへやって来て、まりあの母に断って、データをチェックしながら用意された夕食を食べ始めた。



「オリオンビールでいいですか?」



「あ、まだデータのチェックがあるので、アイスコーヒーいただけますか?」



「はい」



iPadを操作していると、厨房の奥からまりあが顔を出して母に言った。



「母さん、明日東京に帰るね」



直人も自然に反応する。



「また急に。碧さん何だって?」



「…うん、お母さんの容態が思わしくないから、できるだけ早く帰って来て欲しいって」



「そりゃ大変だね、すぐに帰らないと」



まりあはコーヒーを入れる母を通り越して、直人を見つめている。



直人は視線を感じて手を止め、iPadを閉じた。



「俺も明日には東京に帰ります」



「そうですか。またいつでもいらして下さいねー」



母はコーヒーを直人の前に置いてからまりあに言った。



「あんた、お客さんを那覇までご案内して」



「…お父さんいつ帰るんだっけ?」



「明日の夜になるから、港までは私が乗せてくよ」



「わかった」



「飛行機の予約一緒に取りましょうか?」



まりあから意外な提案があり、直人は少し戸惑った。



「そうだね、それがいい!まりあすぐに手配して」



「家のパソコン借りるね」



まりあが奥に入っていった。



「あの…」



「ああ、ご心配なく」



「はぁ…」



「空席がなかったら、那覇で一泊出来るようにこちらで手配しますね」



「…何から何まで、ありがとうございます」



ーとにもかくにも、東京までは一緒にいられそうだ。



直人は、まりあの母に対して後ろめたさを感じながらも、これから想定される修羅場でまりあを守り抜く決意を固めていた。




つづく