チーム全員で勝ち取った
23日、国立競技場で天皇杯JFA第104回全日本サッカー選手権大会決勝が行われ、ヴィッセル神戸がガンバ大阪を1-0で下し5年ぶり2度目の栄冠に輝いた。手に汗握る激しい攻防が続いた中で、神戸が64分に先制すると最後まで体を張りクリーンシートを達成。吉田孝行監督は「みんなで勝ち取ったもので、チーム全員で獲れたと思う」と選手らを評した。
吉田監督は試合後の会見で喜びを語った。
■吉田孝行監督
――試合の総括について。
結果が一番大事だと思ったので、タイトルを獲得できて本当に良かったと思っている。神戸からたくさんのサポーターも来てくれて、関西対決でしたが、これだけの皆さんの前で試合ができたことを嬉しく思っている。前半はセカンドボールを拾い、相手の方が良い時間だったが、ハーフタイムに「しぶとく、我慢強くプレーすれば必ずチャンスは来る」と話すと、後半はそういう展開になり、試合の締め方も共有されていた。天皇杯はチームの多くが出場していて、みんなで勝ち取ったもので、チーム全員で獲れたと思う。
――天皇杯の価値について。
(チームの)27人が出たというのは嬉しい。過密日程で難しいシーズンではあるが誰が出ても勝利していく力は付いたと思っている。
――2年連続でタイトルを獲った意味と、99年の元日では選手として優勝し、今日は監督として優勝した。そのチームはなくなり、今回、チームは続いていくが、その違いについては。
タイトルを獲り続けなければいけない。タイトルを獲る監督としてやってきているので勝つことに関しては向上心を持ってやっていきたい。選手としてもフリューゲルス時代の決勝と今の感覚は全然違うと思っていて、あの時は1日でも長くフリューゲルスのメンバーでプレーしたいという思いで、負けたら終わりというプレッシャーもありながらの戦いでもあったので喜びは大きなものがあった。今回は監督して臨み、色々な選手が出場した大会でもあるのでメンバー選びも迷った。「悔しい思いをする選手の分も頑張らなければいけない」と話したが、同じタイトルではあるがプレッシャーは違う。監督は毎試合がプレッシャーなので、そこは責任を感じながらやらせてもらっている。
――佐々木選手が潰れたところから得点へとつながったが手応えは。
佐々木に関しては、今日も素晴らしい活躍だったと思う。先発で使うか迷ったが、勝つためには試合の流れを変える選手を置いておきたい。その意味で佐々木は流れを変える役割になった。彼自身も嫌な顔をせず途中からでもチームのために活躍することの話をした。逞しくなっているし、チームのことを考えられているのは人としての成長だと思う。今日の勝利は佐々木なしではなかったと思うし役割を徹してくれた。
――天皇杯の重みと、酒井選手のパフォーマンスについて。
天皇杯は歴史ある大会。昔は一番重みがあった。優勝できたのは嬉しい。選手、スタッフに感謝したいし誇りに思う。酒井の出来については最高のパフォーマンスを出してくれた。彼の危機察知能力と予測、プレスの出足は欠かせない。(怪我で)万全にトレーニングを積めていなかったが、ここに合わせてくるあたりは流石だと思う。ピッチの中で選手たちを締める意味でも欠かせない。
取材・文:石田達也 / SportsPressJP
Photo by Maruyama Kohei / SportsPressJP