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寺報ポストカードの向こう側にあるもの(メイキングストーリー2024年11月)

2024.11.26 15:18

こんにちは。住職です。

各地を美しく彩っていた紅葉も次第に南の方へ。お寺の景色も紅葉が日一日と散っていくようになりました。まさに今月の寺報ポストカードの光景を迎えています。この画像を撮影したのは、今から5年ほど前のことでした。今回はその撮影時のエピソードをご紹介します。


このもみじが散りゆく本堂のポストカードの中には、見えないところに白い1匹の猫の存在があります。


安洞院には、2022年に亡くなった寺猫「白(ビャク)」という真っ白な猫がいました。住職が大学生の頃に拾われてきた野良猫でしたが、本当に頭が良く、狩りに秀で、人懐っこいという才色兼備を絵にしたような猫でした。本堂の回廊や、太陽の熱で温かくなった庭石の上でよく寛いでいました。


法事の会食が行われる時には刺身の切れ端をもらうのが大好きで、たくさんの人に可愛がってもらった猫でした。

人間よりも寿命が短い猫は、あっという間に歳を取っていきます。手のひらに乗るぐらいの子猫が、好奇心旺盛に育ち、凛とした成猫となり、やがて次第に老いていく。日向ぼっこをしながら老いている姿を眺めながら、いつか来る別れを感じていた時に撮った写真が今月の「散るもみじ」の写真でした。


寒くなると、晩秋の猫の温もりを思い出してしまい、今回のもみじのポストカードの制作に至りました。切なくもあたたかい、お寺の日常の大切な思い出です。


***

当院では毎月の寺報をオリジナルのポストカードの形式で檀信徒・永代供養の会員の皆様へお送りしておりますが、その始まりはコロナ禍にありました。今ではもはや死語になりつつある「ロックダウンやステイホーム」という言葉が巷を席巻していた頃に遡ります。当時は福島市内近郊でも人に会うことや移動の自粛も多々ありました。ましてや県外の方であれば他県との不要不急の往来を自粛する空気がとても強かったと思います。

「お寺に行きたくても行けない」

「若い人はお寺をネットで見られるけれど、私はネットを使えない」

「大事な法事なのに、お参りできなくてすみません」

「福島の息子家族に、他県からは来るなと言われました」

・・・

など、当時のお寺には多数の切実な声が寄せられたものです。

ネットを使えない他県のご年配の方々に何かをお届けるにはどうすれば良いか。さらに、コストの面でも持続可能でなければならない。この問題提起から生まれたのがかれこれ50回を超えてしまった「寺報ポストカード」です。

これまでの毎月の寺報の形を刷新し、思い切ってポストカードを毎月の寺報告にしました。紙幅の都合上多くの文字を載せることができませんが、それでもご家族の皆さんの手に取っていただけるようになりました。


また機会があれば、檀信徒の皆さんのご自宅に届くポストカードのメイキングストーリーを綴ってまいります。気長にお待ちいただければ幸いです。


住職