『カーテンコールで踊れ』について
写真板が出たので、そろそろ許されるだろうと言う思いで語ろうと思います。自作品への備忘録も兼ねて。
↓展覧劇場の写真板のリンクはこちら
https://ameblo.jp/tenran-photo/entry-12876734716.html
1.タイトル
この『カーテンコールで踊れ』、本当に綺麗なタイトルロゴを宣伝美術さんに作ってもらってめちゃくちゃ嬉しかったです。レタリングが上手すぎる。全体的にファンタジーな世界観を連ねたつもりなので、この公演のビラ本当に大好きです。記憶の話にかけてレコード盤みたいなデザインなのも天才だと思ってます。ありがとう……
↓ビラはここから見れます
(https://x.com/tenranweb/status/1786009168308285694?s=46)
本当は正方形で作ってもらったんですが、Twitter(現X)の画像掲載の仕様でちょっと下辺が意図していない感じになってしまっていて、ちょっと悔しいです。めちゃくちゃいいビラなんだからちゃんとそのままの姿を載せてくれ。
タイトルの付け方としては、「ラストシーンのAと旅人の会話って旅の終わったあとだから要はカーテンコールのようなものだよね」という所と、踊るって行為に「人と手を取り合って踊る」という感覚がなんとなくあるから……だった気がします。
全てが終わったあとに思い出話をしながら手を取り合って踊れ!という気持ちで書きました。
2.あらすじ
公式に自分で書いたあらすじは以下の通りです。
「
エヴァー・グリーンにさよならを!
世界を、国を巡って、記憶を刻もう。そのために駆け出そう。
変わっていく景色と心を、空の色を覚えておこう。
眠れない日の朝靄を目に焼き付けて、涙の味をいつまでも残そう。
さあ、書を捨てて、旅に出よう。
」
この一言目の「エヴァー・グリーンにさよならを!」って文章、すごくお気に入りです。思いついてからしばらく温めていたのをここで出した形ですね。
『Primula』に引き続き、やっぱり記憶というものがキーワードになってきます。
写真板の方に記載されているあらすじにある通り、それぞれのキャラクターにはそれぞれ大切にしているものや感情を盛り込みたいなと思って書いたような気がします。
最後の「書を捨てて〜」は寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」のオマージュですね。後ほど書きますが、Aはずっと旅どころか外に出られず本で世界を知る時間が続いているので、その代わりに旅人が思い出を語ってくれる構成を盛り込みたかったのが大きいです。
3.登場人物
同じ国に住む2人組はそれぞれ「お互いを大事な存在として定義付けている関係である」ということを共通点として描きました。
これのために「人間関係 種類」みたいな検索をかけた履歴が残ってました。人との関係性を知らない孤独な化け物みたいな調べ方してる。
場面転換ごとに世界観が変わるので、それぞれの国ごとに。
ひとつめ。雨天に結婚式をする国ですね。
まさに結婚式をあげるところの花嫁と花婿です。
どちらも社交的で、どちらも結構ロマンチストな所がある感じがします。初手でとびきり幸福そうな組み合わせを出したかったのでこうなりました。
ふたつめ。涙を真似るセルロイド人形たちの国です。
宝石商の商人と、その店の常連客(こちらも商人ではある)です。
友人というか、腐れ縁というか、気の置けない他人どうしです。友情と言うよりは利害関係の一致の方が大きい関係性ですね。ビジネス込みの仲良しです。
みっつめ。死んだ人のことを必ず忘れていく国。
ここはわかりやすく親子です。この2人に忘れられたのはこの家庭の父親ですね。子供は設定メモには15〜16歳と書いてますが、もっと幼くしたかった気持ちはあります。当初は12歳くらいのでちょっとませてる性格の、世界を知り始めて哲学的な思考を手に入れ始めたくらいの子供をイメージして書きました。
よっつめ。死んだ人のコピーアンドロイドを作る国です。
役者の性別はさておき、兄弟として書きました。なんでかって、早逝した優秀な兄に後暗い感情を抱きながらも全てを拒絶することの出来ない弟が好きだからです。思想がちょっと強すぎるな。
いつつめ。記憶を売買する国です。
ここだけちょっと特異で、2人組の枠から外れ、旅人と売人という赤の他人どうしとしての関係性です。
この売人は胡散臭い占い師のジジババをイメージしたキャラクターですね。ジャラジャラのアクセサリーは全部私が作ったやつです。楽しかった。
最後。旅人とAの故郷です。
ここは見た人の想像する大事な人としての関係性に見えて欲しかったので、何も言いません。自分の大事な人が自分のことを忘れた時、人ってどう感じるんでしょうね……と思いながら書きました。
Aは記憶が無いのでサナトリウムみたいな施設で療養中、という感じです。記憶機能に支障があるため自由な外出もできず、本を読むしかできないような生活のイメージです。多分あんまり科学技術が発展していない世界観の国なので、今の私たちのようにインターネットなどで暇つぶしができる訳でもないです。
トラウマ反応的に記憶障害を起こしているので、思い出させるにも……という葛藤を旅人に抱えてもらいました。
4.世界観
旅人を主人公として、たくさんの場所を巡ってもらいました。
世界観を説明する時に書いた資料からと、付け足しを少し。
(自国を発つ。飛行機みたいなもので移動。)
・雨天に結婚式をする国
雨がよく降る季節がある想定。2ヶ月ごとくらいのスパン。
現代日本的にいろんな国の風習が伝わってきてる文化。
気温は全体的に日本の春(4〜5月?)くらい。多分旅人とAの故郷より少し南の方。
多分、多民族国家。風通しの良い建築と民族衣装あり。旅人とAの故郷とは陸続きだがひとつ別の国を挟むくらいの距離。
(ここの間は鉄道的な乗り物で移動)(数日かけている)
(鉄道で行ける途中の国にも立ち寄ってる)
・涙を真似るセルロイド人形たちの国
大きな山脈があり、全体的に標高が高い。
世界観としてはスチームパンクっぽい。レトロ。
人間ではなく、魂を持ったセルロイド人形の住まう国。それゆえ「人間」の文化はあまり定着しない。
多種多様な美しいものを自分の涙として目から流す。そのため資源の輸出入が激しく、中継国のような立ち位置で経済を築いている。自分の体のメンテナンスさえ怠らなければ無限に近い肉体労働が可能なため、鉱石の採掘などが盛ん。
他国からの人間に場合により酷く差別されることもあるため、自ら望んで足を踏み入れる旅行者には友好的だが移民などには大きく警戒を示す。
(ここの間は船旅)
・死んだ人のことを必ず忘れていく国
いわゆる「なろう系」のヨーロッパ的国。
地中海性気候っぽい。ハーブがよく育つ。
結構牧歌的な国。ハイジっぽい雰囲気。
緯度高めなイメージ。リゾート産業が盛んなので民泊などを営む国民が多い。死んだ人を忘れてしまうので、墓参りの習慣がないので、墓守的な職業が色濃く残っている。
(ここの間は転移装置みたいなもので星の間を移動)
(別の地区を見て回ってから航空タクシーで移動)
・死んだ人のコピーアンドロイドを作る国
科学技術の極度に発展した違う星。
どこの国でもなく、その星での統一国家。
原義のSF。
人間とアンドロイドが日常的に関わり合い、なおかつ生活上の利便性に差が出ないような技術を持つ星。藤子不二雄的なSF観の世界。人間とは言うものの、いわゆる人類とは少し違う成り立ちを持つ生命体。
アンドロイドや人工知能の発展途上にあった昔、機械の反乱による人類の混乱が起きかけたことがある。機械側の技術が発展途上だったため人間と機械の共生が取り決められ滅ばずに済んだが、反乱が起きたのが少しあとの時代だったらこの星に人間はいなくなっていた。
・記憶を売買する国
コピーアンドロイドの国と同じ星の統一国家の、裏路地的な場所。ちょっと廃れた感じ。薄暗い雰囲気。
記憶の売買は法的には黒寄りのグレー。人間の需要を押しとどめることが出来なかったため完全には禁止されていないが、売買及び記憶の抽出技術には多額の税がかけられている。本編に登場する売人は結構違法な手段で技術を手に入れたと思われる。
(ここの間は星の間を行き来する飛行船で移動)
(星間飛行船は景色と無重力体験が売り)
・旅人とAの故郷
明治、大正あたりの日本的な世界観。東洋っぽい。
Aはサナトリウムみたいな施設で療養中。ジブリの『風立ちぬ』の感じ。
5.参考作品
何書こうかな〜と悩んでいる中、高校演劇をテーマとした漫画、『まくむすび』を衝動的に全巻買って読みました。第5巻にある色々な世界を旅する話の構成をめちゃくちゃ参考にしています。
あとは激最高創作をなさっている蝙蝠さん(X: @koumoli さん)の公式LINE、「空想街」ですね。構成を決めたはいいものの本当にネタが浮かばなかったので割と直接的に設定をお借りしているところが複数あります。
自分でゼロから考えた設定、この脚本では割と少ないですね。オマージュやパロディもやりすぎるのはちょっと考えものです。今考えるならもうちょっとオリジナルの設定作れたなと思います。
もしくはパブリックドメインの作品からパロディするとかできましたね。反省です。
6.やりたかったこと
それぞれの国で、少しづつラストシーンに向けての伏線を張る!というのをしたかったんだろうなぁ、という感じがあります。私の書く話でメインになりがちな記憶の話も入れつつ。改定中に「もっと最初から話のタネを撒いておくべき」みたいな意見を出してくれた人には感謝しかないです。
各国での一番言いたいことを並べると、
・大事な人を大事だと言葉に出して認識しよう
・涙って悲しいだけのものじゃないよ
・忘れてしまっても残る大切なものや感情があるよ、忘れられることは必ずしも怖くはないよ
・忘れたくないから、忘れられたくないからこそ遺していくものがあるし、それは愛情と呼べるんじゃないかな
・思い出話は自分の言葉で語ることが大事
・大事な人が一人で名前をつけた感情を抱え込んで一人で辛くなってるのは、寂しくて悲しいよ
みたいな感じになります。
あと衣装ですね。モノトーン+たまに差し色くらいに留めたかったというイメージの上で、結構凝りたかったのでアクセサリー類を色々作りました。
花嫁の頭のベール、アンドロイドのつけ襟、売人のジャラジャラしたメガネとパンジャブレスレット、Aの髪飾りは自分で作ったものです。(もともと私物としてのアクセサリーだったものもあります)
手芸好きなので楽しかったです。いつか服を作ってみたいものですね。
7.反省
場面転換(=国同士の移動)の際の移動手段まで設定として作ってあったので、BGMに加えてそれに適したSEを入れたらもっと旅してる感出たんじゃないかな〜と今思います。SEってすごい大事だということをつい最近学びました。もっと前から学んどくべきでしたね。
伏線の張り方、もっと勉強したいです。広げた風呂敷を丁寧に畳んで回収する術を身につけたいです。それに伴う自然なセリフ回しも。
宣伝の一環として作ってみたい!と思っていた公演PVですが、なんかこう……映像、もっとなんか色々出来たら良かったな、という気持ちが消えません。音声はめっちゃお気に入りなんですけど。ナレーション(ビラ掲載のあらすじ部分)を自分の声でやりました。PVの後ろで鳴ってる音声は自分で適当に引いたピアノをループさせたものです。打ち込みより情感出るかなと思って録音ループにしましたが、音声バランスとかミックスとかもっとできただろと思います。
↓PVのリンクはこちら
8.ED曲について
『カーテンコールで踊れ』のカーテンコールで流していた曲、自分で作りました✌️
タイトルは「花筏」です。花びらが水に流れていくような雰囲気を舞台全体に感じたからというのが主な理由でした。
コード進行とオケはシンプルだし、ミックスは全然知識がないし、ボイスソフト(可不です)の調声はなんとなくすぎますけど。結構お気に入りです。手を取って踊るなら三拍子の曲だろ、と思ったので三拍子です。
本当は最後まで流したかったんですが、カーテンコールでのアナウンスが割とサクサク進んじゃったのでぴったり終われませんでした。
インストに本編で訪れたそれぞれの国を想起させるようなSEも順番に入れてるんですけど、多分そこまで聞こえた方は居なかっただろうな……とも思います。
曲の最後に少女っぽい女性の声で「ごめんね。」って囁き声を入れています。旅人、及び本編の最後のセリフと同じです。
どちらもこだわりポイントだったんですけど日の目を見なかったのでここで供養。
歌詞は画像の通りです。この文章を書くために今BGMにしていますが、やっぱりお気に入りですね。
思い浮かんだ言いたいことは全部書きました。
SNSに掲載されてるスタッフ紹介の質問への自分の答えの味わい深さが割と好きです。
なんだかんだやりたいことをやらせてもらった公演でした。