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地方財政審議会委員の国会同意人事案について

2024.12.05 06:54

う財政

 地方財政審議会委員の国会同意人事についてです。総務省のHPには「地方交付税、地方譲与税、各種交付金、地方公共団体の翌年度の歳入歳出総額の見込額等に関し、法令によりその権限に属させられた事項を審議し、総務大臣に必要な勧告をすること。」が任務とされている。国が地方自治体に地方税の交付を命令するような制度の立案時には総務大臣は地方財政審議会の意見を聴かなければならないと地方交付税法で義務付けられている。国が地方自治体に負担を伴う法律案を作る際には内閣総理大臣または省庁大臣は地方財政審議会の意見を聴かなければならないと地方財政法で規定されている。そういった所掌事務は案外多い。地方公務員等共済組合法、地方財政法、地方交付税法、競馬法、自転車競技法、モーターボート競走法、地方公営企業法、地方財政再建促進特別措置法、地方税法、地方道路譲与税法、石油ガス譲与税法、自動車重量譲与税法、特別とん譲与税法、航空機燃料譲与税法、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律、当せん金付証票法、道路交通法、地方財政法施行令、地方公務員等共済組合法施行令。確かに税に関しては国と地方が案分しているのだから審議会の守備範囲が広くなるのは頷ける。

 令和7年度地方税制改正等に関する地方財政審議会意見では、住民税の非課税世帯の引上げに対する丁寧な議論を求めるほか、ふるさと納税の指定基準の見直しの必要性、電気自動車の車体課税の整備、地方税の税務手続きのデジタル完結、ICTやAIの活用を含む地方税務行政のDXの推進を意見としてまとめている。

 委員は5名で全員が常勤。定例会議が年130回も開催されているので全員が常勤であることはやむを得ないと考える。地方自治に見識のある者であることが前提。委員のうちには、全国知事会及び全国都道府県議会議長会が共同推薦した者、全国市長会及び全国市議会議長会が共同推薦した者、全国町村会及び全国町村議会議長会が共同推薦した者、各1名を含まなければならない。

 会長としての再任案である小西砂千夫氏は関西学院大学大学院経済研究科の元教授。地方財政に関する機能、制度、歴史に明るい。ふるさと納税には苦言を呈している。浮須里納税なしでも進めるはずだった事業をふるさと納税を当てて財源を浮かしている場合、ふるさと納税寄付額を使途に充てたといえるのかどうかという問題を指摘している。小西砂千夫氏の再任案については会をうまく調整し運営してきた実績から賛成するべきだと考える。

 西野範彦氏の常勤委員案であるが元野村信託銀行常務である。キャリアを見る限り地方財政との接点は伺えない。野村信託においても国内ではなく韓国での勤務が長い。なぜ、総務省に置かれる審議会の委員に選任されたのかは不明。議事録は公開されていないので発言内容も不明。そうは言っても西野氏に対する悪評などは見つけられないことから否定する理由もない。よって同意案に賛成することが妥当ではないかと思われる。

 内田明憲氏の新任案であるが、法で規定されている全国市長会の推薦を受けている。内田氏は読売新聞社に一貫して務め、国内外の支局を経験した後に論説委員や編集委員に就いてきた。地方財政に優れた見識を持っているかどうかは疑わしいが俯瞰的客観的な見地をもって携わることが期待できる。市長会の推薦もあり人事案に賛成するべきだと考える。

 星野菜穂子氏の再任案についてである。大和総研に研究者として20年勤務、その後は学者に転じ、和光大学経営経済学教授となった。専門は地方財政論であるから当会に関わるそのものズバリの専門家である。ミクロ・マクロから実証的地方財政の検証をしている実績を持つ。全国町村会の推薦を受けていることもあり、再任案には、当然、賛成すべきだと考えます。

 新任案にある古谷ひろみ氏は元東京都の幹部職員である。東京都では港湾局長、水道局長、政策企画局長を歴任している。現在は首都高速道路の執行役員に天下り中。東京都の政策企画局長というポジションは少し辛い役割がある。古谷氏は小池百合子知事が学歴詐称疑惑に対する都議会での答弁を拒否する中で、小池氏に代わって答弁に立つという役割を担ってきた。「当時のことについては、知事がこれまで議会など様々な場面でお伝えしてきたとおりでございます。」というフレーズを繰り返すだけ任務である。ちなみに古谷氏の後任の政策企画局長である坂本雅彦氏は40億円以上を使った都庁舎のプロジェクションマッピングの批判の都議会での質問に小池知事に代わって答弁に立ち続け「東京プロジェクションマッピング実行委員会は、都とは別の主体でございまして、都が実行委員会に関する資料を公表することはできません」と呪文の如く繰り返した。その後、坂本氏は教育長へ就任。古谷氏は首都高で浪人後に本命である地方財政審議会委員の席を用意していたということか。若干の謀計を感じるが古谷氏は全国知事会の推薦を得ている。よって、邪推せずに賛成し、一期目の仕事ぶりを後日検証することが正当であろうと思料する。

 以上、5名についての国会同意人事案は適当であるとし賛成するべきだと考える。


参考

地方財政審議会 総務省HP

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/chizai/singi.html

地方財政審議会 Wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%B2%A1%E6%94%BF%E5%AF%A9%E8%AD%B0%E4%BC%9A