MOTOWNサウンドの名曲カバー 【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.20】
2019年がスタートし早いもので半月が経過しました。今年は平成最後の年とあって日本では様々なイベントが実施されますね。音楽でクローズアップしてみると、ウッドストック50周年、ウルトラフェス20周年と様々な周年イヤーとなっています。
そんな中、先だって1月12日にMOTOWNレーベルが創立60周年を迎えました。このブログを読んでいる方でMOTOWNをご存じない方はいらっしゃらないと思います。ソウルミュージックのヒットを多数生み出した巨大レコードレーベル。レーベルとしては紆余曲折あり、アーティストの離脱・再契約も頻繁にあったが、トータルで見てもひとつのブランドとして広く認知されている優れたレーベルです。
今回はMOTOWN創立60周年ということで、MOTOWNについて書きたいと思います。すでにいろんなところで特集されていますので、今回は趣向を変えてMOTOWNサウンドの名曲をカバーしたオススメ作品5曲を紹介致します。
まずはご紹介するのはこちら。
Mariah Carey ”I’ll be there”
1992年にMTVアンプラグドで披露され、シングルとしてリリースされた曲。
オリジナルはジャクソン5。
もちろん幼少期のマイケル・ジャクソンが歌ったオリジナルもいいのですが、このマライア・キャリーの歌も負けず劣らず素晴らしい。傑作「エモーションズ」をリリースした翌年のシングル曲で、歌にも艶と伸びあり、アンプラグドの雰囲気もとてもよく伝わる名曲です。MTVアンプラグドがその名を世に広めた、あのエリック・クラプトンの放送直後だったので、アンプラグド自体も話題になっていました。マライアにとってはタイミングも良く、うまくメディアにも取り上げられたと思います。
ちなみにこの曲でデュエットしているのがトレイ・ロレンツというシンガー。長くマライア・キャリーのバックも務めていて歌声は悪くないんですよね。ソロとしても活躍を期待していたのですが、その後彼の名前があまり聞かれなくなってしまったのは残念でした。
■Rod Stewart “This Old Heart Of Mine”
オリジナルはアイズレー・ブラザーズ。アイズレーがMOTOWNに移籍して第一弾に発表された曲。ロッド・スチュワートは1975年にカバーしました。
この曲はいろんなアーティストによってカバーされているが、ロッドの作品がピカイチ!サウンドはMOTOWNへの敬意が感じられるソウルフルな仕上がり。オリジナルのアイズレーよりテンポを落として、しゃがれた声で語りかけるように歌っている。
しかもロッドは1989年にもさらに別テイクとしてリリースしていて、なんとこちらではアイズレーのメンバーをボーカルとしてフィーチャリング!数段ポップにアプローチしたバージョンになっています。彼にとってもこの曲は大事だったことが知れる1曲です。
アイズレーのメンバーとデュエットしたバージョンが収録されているアルバムは、こちらをチェック!
Rod Stewart / ロッド・スチュワート「THE BEST OF ROD STEWART / ベスト・オブ・ロッド・スチュワート<ヨウガクベスト1300 SHM-CD>」 | Warner M
■Linda Ronstadt “Ooh Baby Baby”
カントリーの要素を含んだ「ストーン・ポニーズ」というユニットでデビューしたリンダ・ロンシュタット。ソロになってブレイクし始めた頃からロック色を強め、次々にヒットアルバムを発表していく。そんな中、1978年にリリースされた全米NO.1のダブルプラチナアルバム「Living In The U.S.A.(ミス・アメリカ)」に収録されたシングル曲。オリジナルはザ・ミラクルズ。
オリジナルはソウルテイストでしっとり聴かす曲だったが、リンダはアンニュイな歌声でカバーし、これもまた良い。彼女はソロになってからはカバーをたくさんリリースしてきたが、自分のモノにしてしまうのがとっても上手い!この曲は夜のチークタイム(古い!)のイメージしかない曲だと思っていたが、彼女のバージョンを聴くと全然そんなことを連想させない。この曲ですっかりリンダを聴きこむようになりました。すでに歌手業を引退しているようだが、最後に歌声を生で聴きたかった。
■Red Hot Chili Peppers “Higher Ground”
レッド・ホット・チリ・ペッパーズとして初めてのヒットとなったアルバム「Mother's Milk」に収録されたスティーヴィー・ワンダーのカバー曲。これがシングルカットされ全米チャート11位にランクインした。レッチリはカバー曲が意外と多く、「Mother's Milk」にはジミ・ ヘンドリックスのカバーも収録されている。
スティーヴィーのこの曲はジャンルも大きく違うし、アレンジもベーススラップが核になったファンク調。オリジナルからすれば、斬新な仕上がりになっている。R&Bばかり聴いている人には受けつけにくいアレンジかもしれないが、レッチリのようなバンドがこの曲を取り入れたのは素直に喜びたい。彼らもかなり時間をかけてレコーディングし、スティーヴィーも仕上がりには満足しているようです。
その曲も収録されたベストアルバムが発売中。
■Phil Collins “You Can't Hurry Love(恋はあせらず)”
ボーカルグループ「シュープリームス」のカバー。
オリジナルはダイアナ・ロスがボーカルを務めていて、声がとってもキュート。1966年にヒットした曲で、もう50年以上も前の作品になります。フィル・コリンズがカバーした曲は2週連続で全英チャートNo.1を記録し、全米でも大ヒットとなりました。
万人受けするアレンジに、とてもポップな歌声。純粋に聴いていて楽しい。彼が在籍していた「ジェネシス」がプログレバンドだったことを忘れさせるようなキャッチーさです。実際、彼がジェネシスに加入して以来、プログレの要素は影を潜めていき、ポップなテイストに移行していくのですが、元々はソウルミュージック、MOTOWNサウンドにすごく影響を受けているんですよね。また、上記の“You Can't Hurry Love(恋はあせらず)”以外にも彼はたくさんのMOTOWNサウンドをカバーしています。
こちらは彼が影響を受けたMOTOWNサウンドを中心としたソウルミュージックをカバーしたアルバム。キャリア40年の中の集大成と謳っているアルバムです。こちらもイギリス含め、ヨーロッパ、アメリカ等で大ヒットとなりました。
スモーキー・ロビンソン「ゴーイング・トゥ・ア・ゴーゴー」、ザ・テンプテーションズ「パパ・ワズ・ア・ローリング・ストーン」、マーサ&ザ・ヴァンデラス「ダンシング・イン・ザ・ストリート」などソウルミュージックの名曲がずらり、聴きどころ満載!
このアルバムをご存じない方がいらっしゃれば、ぜひチェックしていただきたい。現在のところ、こちらがフィル・コリンズの最後のスタジオアルバムとなっています。
今回はMOTOWNサウンドのカバーをご紹介しましたが、機会があればその逆のMOTOWNがカバーした名曲もご紹介したいと思います。
DJ GON
趣味でゆるーくDJをやっております。ジャンルはR&B、ソウル、ファンク、ディスコ、ハウス、あとちょっとEDMも。
最近はDJもデジタル化の波が押し寄せていますが、たまにはレコードのグルーヴもいいものですよ。