同時視聴座談会のお知らせです。
ぽわろっこめ⑤同時視聴座談会をぽわ公式YouTubeにて公開しました!
井ノ上奈々、高橋英則、坂巻学、楠見藍子が、千秋楽公演の配信アーカイブを見守りながら思い出話や裏話、雑談などなどわいわいおしゃべりします。
配信アーカイブ⑤の回を別窓や別デバイスで再生ご準備のうえご覧いただけますと幸いです。
ぜひ、いっしょに楽しくわいわいご視聴していただけますと嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします🧸♡
動画内で話している作曲家メモを、抜けていたブランコのぶんも含めてこちらに掲載いたします!
【けいくん作曲メモ】
●プロローグ「緊急手術」
転調してもずっと同じ音を刻み続ける保続音を心電図に割り当てて、前半は不安定、後半は安定した音に相対的に移り変わります。
宗教音楽と密接な関わりがあるバロック音楽風のポリフォニックな楽曲で、"祈り"を強く意識させる中に一部モダンな和音使いを意識しました。
機械的に刻む音の連続体ですが、その表情が変わっていきます。
●「青春ドライブ」
始まりのチェロのグリッサンドはエンジンの始動音を表していて、楽曲中にもクラクションの音などをイメージした音を取り入れています。
ぽわ1こめで作った楽曲で当時はバイオリンとチェロのみの楽曲でした。
今回は、編成も増えていて楽しい楽曲に仕上がっていると思います。
●「ていねいデスゲーム」
作品中の全ての楽曲に同じモチーフ、冒頭のピアノの不穏な音列が使われています。
チェロのすみちゃんからは、ドとソとレの♭(フラット)しかない!と言われた曲です。
2曲目からはその音列を長調(明るい調)にしたものを使っています。
● 「ブランコ、すべり台、看板の注意書き」
オープニングとエンディングが対になっていて、真ん中に長い曲がある構成になっています。
真ん中の曲は最初から最後まで3つだけの和音だけが延々と繰り返されますが、その中でも状況が少しずつ変わってくるのが特徴の曲です。
最初は、状況を表す音楽として出現し、途中からは少年の心情に合わせて少しだけエモーショナルなピアノを挟み、後半は弦楽器だけでまるでパズルのように組み合わされるリズムが特徴の3部形式になっています。
オープニングはピアノソロですが、エンディングは対比としてヴァイオリンのソロがメロディを奏でます。慎ましくも小さな一歩を踏み出そうとする二人を表現できていたらいいなと思います。
●「無伴奏」
演出の意図でチューニングから始まる楽曲です。
6こめの中心に位置する作品で、音楽的にも非常に大きな意味を持たせています。
M1はタイトルの通り、チェロ、バイオリンの無伴奏の曲を組み合わせています。
これもバロック音楽の様式で作られています。
チューニングを指板を何も抑えないで出る弦の音(開放弦)で行うことから、開放弦の4つの音をモチーフにしています。
M2のはじめは喫茶店のBGM、途中から状況、心情を表す曲に変容していきます。
ボサノバ風の"伴奏"と開放弦のモチーフを使った明るい雰囲気から始まる楽曲です。
この伴奏の形は後半の盛り上がり中もずっと踏襲してあり、明るい雰囲気を醸し出すボサノバ風のリズムをシリアスな場面に取り入れる自分への挑戦の意味もある曲です。
転調してからは、バイオリンの無伴奏の形へ戻りますが、徐々に楽器が増えていき、最後はボサノバ風のリズムが復活します。
そして楽器がひとつづつ減っていき、最後はチューニングの基準の音であるAの音で終わり、チューニングで終わります。
無伴奏から始まり、伴奏で終わるこの構図は、この公演全体の大きな縦のラインを意識する意図があります。
メロディ/無伴奏(上)と伴奏(下)です。
●「吸血鬼との愛」
前々からミュージカルがやりたいと言っていたあいこさんに、ついにやると言われて覚悟をした曲たちです。
M1《あぁ、吸血鬼》
メインテーマとなる曲。
モチーフは、歌詞『吸血鬼』の音型です。M1~M4まで至る所で出現します。
少し怪しげで、どこかちょっとズレた、コミカルな曲をイメージし、作曲しました。
○こだわりポイント
『人はみんな年老いる〜』
これもバロック風の進行に、ジャズでよく使われるウォーキングベースを組み合わせて面白い効果を出せたと思います。
『つまり、それが、吸血鬼』
実は、冒頭に戻る前の伴奏は冒頭と全く同じ音を使っています。
単純な伴奏と、時折複雑な和音を織り交ぜてメリハリをつけた曲です。
M2《ぴちぴちの血》
すこしシリアスな曲調ですが、ぴちぴちどろどろなどの歌詞と曲調がミスマッチな楽曲に仕上げました。
演者さんたちが意図をよく汲んでくれて、オーバーに歌ってくれて満足です。
M3《違う愛》
こちらもコミカルで可愛い雰囲気の楽曲ですが、サビは情熱的に歌い上げるお気に入りの1曲です。
歌詞『ちがう』『ちかう』の音型は吸血鬼のモチーフを反転したものを使用し、強く責められる吸血鬼を暗示しています。
M4
戦闘曲。半音で常にぶつかるメロディと、激しく動き回るピアノの左手が激しく混沌とした状況を表しています。
激しくぶつかるメロディや、『天井からぶら下がっているわ』からのバイオリンのソロなど、至る所に吸血鬼のモチーフを使い、圧倒的な吸血鬼の戦いであることを暗示しています。
●「星にリボン」
M1
ピアノのソロから始まる星にリボン。
この音型は孤独な主人公を表し、この演目のモチーフとなっています。
もともとはにこめのピアノ担当fifi legerさんがこの作品に描き下ろしてくれた『まいごのほし』というの曲から着想を得た曲で、全ての曲がまいごのほしからの音型を抜粋し作曲しています。
M2
途中に孤独のテーマが出てきますが、すぐに別のメロディになります。
本の世界のシーンでは、おなじくまいごのほしからメロディを借用し、楽しい雰囲気を醸し出します。
そのシーンが終わると、孤独のテーマがまたピアノの独奏で始まり、今度はそれが発展し、自分の価値を問うシーンへと入ります。
長く続く上行音型を使い、いくつもの考えを巡りながら昂る感情を表現しています。
最後は、美しい星空をイメージしつつ、どこまでも孤独な主人公の心情と情景両方にあわせて作っています。
M3《Maigo No Hoshi》
まいごのほしをアレンジした楽曲です。
孤独のテーマから始まり、1度目は一人(ピアノソロ)で、2度目は寄り添う相手が見つかり、3度目は自分の居場所を見つけるといったイメージで繰り返し孤独のテーマを使っています。
まっすぐな曲調を壊さないようにアレンジしました。
●エンディング「カウンセリング」
M1
さまざまなシーンが回想される楽曲。
転調の尺をあわせるのにめちゃくちゃ苦労しました。
M2
冒頭と対になる心電図の音を模した楽曲です。
静かに始まり、最後に大きく盛り上がりますが、実は常に心電図の音が一定のリズム、音高で鳴り続けます
が、実は2箇所だけその音が半音だけ変化します
保続音はその音が変化する時に大きく聞いている人の心を揺さぶります。大きな転調で初めてその音が変化するように作りました。
このM2は、あいこさんから、楽曲を通して『大感動曲』というオーダーで、最後の転調は『超感動曲』と言われて作ったのを覚えています。
最後の転調も非常に複雑なポリフォニックで作曲してあり、心電図の音も併せ、このぽわ6こめを横に結ぶラインを形作っています。
勝手なわたしの解釈(自己満)で、このぽわ6こめには大きな十字架を描きたかったことがあります。
(この横のラインと無伴奏の縦のライン)
生と死をテーマにした演目が多かったのと、吸血鬼といえば十字架でしょ。っていう安直な発想から始まりましたが、6こめを通して統一感、一体感が生まれたと思います。