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マヤ

三代目❤夢小説 『NAOTO編55』

2019.01.21 23:00

直人はハンドタオルを出してまりあに渡した。



「まりあと一緒にいたら、タオルが何枚あっても足りない」



「…なおちゃん」



「俺と付き合ったら、まりあが泣くこともなくなるけどね」



ピコン…



まりあのスマホが鳴った。



「メール見ていい?」



「碧先生?」



「うん…」



「なんだって?」



まりあがメールを確認する。



「今、どこにいる?…って」



「いつもなの?」



「保育園にいる時以外は大抵そう」



「そっか…」



直人はもう一度まりあの手を取って、ギュッと握りしめた。



「まりあの笑顔をずっと見ていたけりゃ、どうしても超えなきゃいけない壁があるね」



「…なおちゃんとの事あの人が知ったら、なにしでかすかわからない」



「俺がいなかったとしても、なにしでかすかわかんない人だろ?」



「…」



「まりあは自分だけが我慢すればいいって、ずっと一人で耐えてきたんでしょ?」



「どうしてもほっとけなくて…」



「やっぱ彼の事愛してるの?」



「…よくわからないの」



「恋愛とかそういう感情も超えて、まるで義務のような…」



「まりあは彼の恋人じゃなくて、お母さんの代わりになってるんじゃないかな」



「いつもそばにいるのが当たり前。自分の思うようにいかなかったら駄々をこねて暴力を振るう」



「イヤイヤ期の幼児よりタチが悪いね」



普段は温厚で優しいイメージの直人が、あからさまに嫌悪感を表に出している。



女性に暴力を振るうなど、直人にとって考えられないことなんだろう。



自分のせいで、直人にこんな思いを抱かせている。



自分と出逢わなければ…



光に満ちた場所で、ずっと笑っている人なのに…



ピコン♫



まりあのスマホが音を立てた。



「また、碧先生?」



「ううん、違う!母からよ」



メールを読んだまりあの顔色が変わった。



「ん?どうかした?」



「成田空港が悪天候で、私達が乗る予定だった便が欠航になったって…」



「え⁉︎沖縄はこんなに晴れてんのに」



「那覇で今夜泊まれる宿があるか、あたってみるね!」



まりあはそう言うと、スマホで検索し始めた。



「なおちゃん!一部屋(ひとへや)だったら空きがあるって」



「え⁉︎一部屋しか空いてなかったの?」



「有名なアーティストのライブがあって、どこも予約いっぱいなの」



「たまたま一部屋キャンセルが出たって」



少し沈黙があってから直人が口にした。



「一緒でも…いいの?」




つづく