「宇田川源流」【日本報道顕検証】 南米パラグアイの外務省がスパイ行為をしたとして中国外交官を追放
「宇田川源流」【日本報道顕検証】 南米パラグアイの外務省がスパイ行為をしたとして中国外交官を追放
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたします。
さて今回は、南米パラグアイが中国の外交官を追放したということについて話をしたい。
まずはそのニュースの解説の前にパラグアイという国についてみてみよう。パラグアイは南アメリカ大陸にある国家で、ブラジル・ボリビア・アルゼンチンに囲まれた内陸国家で海はない。面積は日本とほぼ同じで人口は678万人、首都はアスンシオンというような基本情報が外務省のホームページに書かれている。1811年にスペインから独立した共和国で、伝統的に中南米諸国との関係を重視し、特にメルコスール(南米南部共同市場)を戦略的同盟と位置付け、加盟諸国間との関係強化を図る一方、これらと歩調を合わせることで対外交渉力の拡大を狙っている。また、南米で唯一台湾との外交関係を維持する。主要産業はコーヒーなどの農業と、水力発電の電気を隣国に売る電力供給ということになる。
台湾との関係は、ストロエスネル政権時代(1954年より35年間)の反共産主義政策が体制崩壊後も続き、南米で唯一、中華民国と国交を有しているが、近年は経済面から中華人民共和国との国交樹立を検討しているとも言われる。中華民国の承認国の中では、面積規模で最大である(人口規模だとグアテマラが最大となる)、駐韓国パラグアイ大使館が対中華人民共和国外交業務を兼任している。近年では、2023年8月15日に行われたサンティアゴ・ペニャの大統領就任式では、中華民国の副総統頼清徳が出席。頼副総統は「パラグアイと台湾は地理的に遠く離れているが、66年以上続く友情が変わることはない」とSNSに投稿し、今後も両国関係が深まることに期待を示している。
このパラグアイが、経済的な観点を無視し、中華人民共和国の大使を内政干渉をしたということで追放したということである。
いったい何があったのか。
<参考記事>
パラグアイが中国外交官を追放、台湾との関係巡り「内政干渉」
2024年12月6日 9時47分 ロイター
https://news.livedoor.com/article/detail/27705572/
<以上参考記事>
まず、単純に言えば、中国はいつもの通りというか、経済的な内容をもとに、「台湾と断行して中華人民共和国と国交を結べ」ということを言ってきた。
その前にこの中国の外交官はビザの取得が雑であったということもある。当然に国交がないので、ビザは取得しなければならない。そのビザの取得の手続きが雑であるということは、本来上陸を許可されない可能性もあるということになる。私の経験上も含めて、中国人というのは「モラル」と同時に「手続きなどが苦手」である。そもそも儀礼とか儀式とか、そういうことに意味を感じることのできない「唯物史観」を共産主義によって教え込まれてしまうので、儀式などが好きなどという中国人は基本的には全て演技であるといってよい。そのうえで、そのような手続きに関しては、中国国内も「賄賂」で動いていた時代が長く続いており、現在も「反腐敗」などといっていても、本当かどうか不明で、外国人が相手と見れば、全く関係なくわいろを要求する人がでてくる。そのような国情である上に、相手が隠したと思っているパラグアイである。かなりなめてかかったに違いない。そもそもパラグアイ政府はそのことに怒りを感じていたに違いない。
そのうえで、パラグアイの野党議員と会談し、そのうえで、台湾ではなく中国を承認するよう求め、そうすれば大豆生産国のパラグアイに利益をもたらすと発言しているのである。
当然に、外交権はパラグアイ政府にあり、また、パラグアイ政府の中でも大統領に外交権は属する。日本では平気で「野党外交」などということを場をいう野党議員がいるが、そもそも野党に外交権はない。そのことは日本国憲法にもしっかりと書いている。他の国の場合、外交権が内閣や大統領だけではなく、軍隊に外交権を付与している場合もあるが、少なくともその外交の責任はすべて元首が持つことになっているので、その元首の外交権を誰が実行するかという事だけの問題である。そのことを承知の上え、野党議員に対して、「台湾との国交を排除して、中華人民共和国を承認すべき」というのは、当然いパラグアイの外交権の侵害であり、パラグアイの政治の内政干渉に他ならない。もちろん「大豆の購入」という話だけであれば、経済行為ということになるのかもしれないが、台湾の国家承認の話をし始めれば、経済行為とは言えない。
中華人民共和国政府は、そのようなことはないと否定会見をしているが、その様に自国に有利なことをするために、他国に対して失礼なことをしたり、または、威圧外交を行ったり、または、買収をするというようなことは普通によく耳にする。パラグアイ政府は、その様に「中国が普通に行っていること」に対して、国際法違反を適用したということになる。
日本が考えてみれば、何となく大国であるという理由でから許してみたり、脅迫に屈したり、または、利益があるからと言って経済界が国際法違反になるようなことを許容したり、もっとひどいのや一緒に国際法違反をするような経済団体も存在する。そもそも、天安門事件の後、国際的に民主主義を守れない中華人民共和国に対して、経済制裁を行っていたにもかかわらず、日本の企業が「経済の自由」を旗印に、他国が入っていない(経済制裁をしているから当たり前なのだが)中国に進出して経済活動を行っているのである。現在でいえば、ウクライナに侵攻して世界的に非難のあるロシアと西側の物資をもって取引をしているようなものである。当然に世界型非難される。それは1980年代の日本とは環境も異なるのである。
現在の中国の覇権主義を容認しないというパラグアイのこれらの行為は、少なくとも中国の覇権主義を快く思わない、そしてその覇権主義が国連憲章や国際法に違反していると考えている国から賞賛されている。中華人民共和国も結局は言うだけで、パラグアイに対しては何もできない。さて、日本はこのようなパラグアイを見習って、国際法を順守する国となれるのか。