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(社)全日本空道連盟 大道塾静岡西道場

フラワー・チャイルドを読む

2024.12.12 14:51

 西尾潤著「フラワー・チャイルド」を読む。

 五十七歳で亡くなった母を悼む女性は、

仕事でスタイリストのアシスタントをしているけれど、

手際がよくないと叱られ、干されてしまう。

 悩んでいるときに、生前の母から言われたことを思いだす。

 母から言われたのは、

仕事ができないならもっと努力しろ、という助言ではなかった。

「アホか。大切にしてもらえへんとこでがんばる必要なんか、

ひとつもない。世の中には相性いうものがあるねん」

 人間関係も仕事も親子も、なにもかもが相性だと、

彼女の母は言いきったというのである。

 本筋の話はもっと壮大で起伏に富み、アイデア満載だけれど、

心に残ったのは上述の言葉だった。


 他人から大事にされる、ということは

些細な言動だけでひとを生き生きとさせることができると思う。

 ぼくが浜松市へ帰ってきた四年前の三月、

とても感動したのは、ランニング途中で道を渡ろうと立ち止まった際、

すべての車が止まってくれたことだった。

 静岡市でも、

ロードバイクでかばんのひもが前輪に引っかかって反転し

道端でそっくりかえってうなっていたときも、

見知らぬ会社員の男性と、学生服を着た少年がかけつけてくれて

心配してくれたことを、

今でも鮮明に覚えている。

 今、静岡西道場では

誰かが道場へ遅れて入ってきたときには、

こちらがすでに練習をはじめていたとしても、

できる限り手を止めて

あいさつをするように心がけている。

 それがひとを大事にする、ということだと思うのだ。


 ぼくは他人を大切にしているだろうか、と毎日考えては

なにも進歩していないと省みる。

 べつだん、善行などというほど大上段に構えた言動でなくても

かまわない、

毎日、毎時間、なにかひとつでも

ひとに親切に、やさしくしたいと思うのだけれど、

なんだかぎくしゃくするだけ……。


 フラワー・チャイルドのモチーフにならって、

いっそ今は土星の影響下にあるからと言い訳できたらいいのに。