歳費法改正法案について(調査研究広報滞在費関連)
ちゃんとしな歳費!
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(歳費法改正案)についてである。
令和6年12月17日に調査研究滞在費に関する改正法案が全会一致で衆議院において可決した。この法案は2019年から国民民主党が繰り返し提出してきた法案である。日本維新の会も旧文通費を公開する法案に成立させることを条件に本年6月の政治資金規正法改正案に賛成したが岸田首相に開き直られ反故にされていた。それらの法案を引き継ぎ議院運営委員会が提出したものである。
議員は毎年一回、その年において支給を受けた調査研究広報滞在費の金額及びこれを充てた支出に関する事項を記載した報告書を当該支出に係る領収書等の写しを添付して、その属する議院の議長に提出しなければならないこと、そして、その年において支給を受けた調査研究広報滞在費の総額から、その年において調査研究広報滞在費を充てた支出の総額を控除して残余があるときは当該残余の額に相当する額を返還しなければならないことを定めている。
調査研究広報滞在費とは国会議員に歳費とは別に毎月100万円支給される公費。非課税で使途の公開義務がなく目的外使用への罰則もない。令和4年に名称が文書通信交通滞在費から変更され、使途は「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動」とされたが、実際には飲食代や秘書給与にも充てることができている。
今回の改正案では、領収書の写しの提出が義務付けられることから使途が明らかになる。これまでは原資が国民の税金であるにも関わらず確認することできず政治不信を招く要因となってきた。使途の透明性と公正性を担保することは政治改革を進めるにあたり必要不可欠であろう。
これまで日本維新の会や国民民主党の自主的な取り組みとして所属議員の旧文通費の使途を公開してきた。不透明な旧文通費の問題が持ち上がってから既に3年が経とうとしている。今回の法案では使途公開と残余の返還を規定している。その程度のことはほとんどの自治体で既に実施されていることだ。自民党の政治資金パーティー裏金問題が世論の猛批判にさらされたが、旧滞在費の目的外使用と残余の着服の方がよっぽど悪質なのではないか。本改正案が成立した場合、施行は令和7年8月からとされている。座長案では7月からであったというが参議院議員選挙と重なることから8月にスライドしたという。今後、使途報告の開示時期と選挙が重なる可能性があるときはいちいち開示時期をずらすのだろうか。
いずれにせよ、急いで法改正に動いたことは良いことである。問題意識を持ちながら放置しきてきた自公政権には強く反省を促したい。
令和2年12月に当月在職1日で1か月分の満額の旧滞在費を受け取ったことが問題となり世論の批判が盛り上がったのだが、政府は令和3年の臨時国会から与野党の協議を開始してやっと今回、改正案の採決が行われるに至った。自公政権の金属疲労も溜まっているのだろう。あまりに無為な時間を費やし過ぎではないかと思う。
*当該資金の残余を自身の政治団体に移して残余をなくすことはできないという認識で間違いないか政府に確認する。
*今回、選挙と重なるから施行をずらす必要性を感じないが。
参考
衆法 第216回国会 20 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g21605020.htm