紅葉
せせらぎに映りて迫る紅葉かな 五島高資
忘れたるものを忘れる冬紅葉 五島高資
冬の日を乗せて不落の紅葉かな 五島高資
https://www.tohokuzouen.com/single-post/%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%B4%85%E8%91%89%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F 【なぜ紅葉するのか?】より
最近、10月だというのに汗ばむほど暑い日があったりと、秋らしからぬ日が多い中、木々の葉が徐々に色づき始めています。弊社のドウダンツヅジの紅葉も進んでいます。
今回は、その 紅葉のメカニズム について、お伝えしようと思います。
そもそも葉はなぜ緑色なのか?「葉緑体があるから」
樹木は、葉緑体に日光が当たることで光合成し、養分を作っています。葉緑体には葉緑素(クロロフィル)という色素が含まれていてその色素のために葉が緑色に見えます。
秋になって昼の時間が短く、日差しが弱まるため、光合成により得られる栄養分も少なくなる。光合成から得られるエネルギーの方が葉を維持するためのエネルギーより小さくなると採算が合わなくなります。
そうすると、樹木はまず葉の活動を低下させて消費エネルギーを節約するため、葉の根もとに「離層」という水や養分の行き来を減らすバリアのようなものをつくります。→落葉の準備
同時に光合成を行う葉緑体も必要がなくなり、分解されます。
葉の中の緑色の色素がなくなることで、黄色(カロテノイド)になります。→イチョウなど
葉緑体内の葉緑素(クロロフィル)もやがて分解されるのですが、分解される過程で、葉緑体の殻からクロロフィルが飛び出したときに樹木にとって有害な物質(活性酸素)を作り、組織を破壊してしまいます。
この時、緑色のクロロフィルは主に青色の光を吸収して有害物質を作ります。そこで、赤い色素のアントシアニンの出番です。
赤色の色素は青色の光を良く吸収するからです。有害物質の生産をアントシアニンで阻止しているのです。つまり、紅葉の赤色はこのアントシアニンが葉に作られることによります。
紅葉は、樹木が生きていくための大切な働きによるもの なのです。
ちなみに、この辺の紅葉の見ごろは10月下旬~11月上旬になるようです。
https://botanical-garden-city-fukuoka.blogspot.com/2020/04/202044.html 【秋でもないのに・・春の紅葉(2020.4.4)】より
サクラをはじめ花が次々に咲いてまさに春爛漫の園内ですが、庭木園の一角ではモミジが紅葉しています。普通紅葉といえば秋なのでちょっと不思議な光景です。
実は、このモミジはイロハモミジの一つ「静崖(せいがい)」という品種で、鮮やかな紅色の若葉が特徴です。この若葉は、生長につれて徐々に緑色に変わっていきます。そして、秋になったら他のモミジ類と同じように紅葉するので、1年で2回紅葉が楽しめます。
庭木園には他にも鮮やかな若葉が楽しめるイロハモミジがあり、こちらはやや紅色が濃い「出猩々(でしょうじょう)」という品種です。古来より、モミジの中でも特に若葉の紅色が美しい種類を「春もみじ」と呼んでいます。
ところで、秋の紅葉はアントシアニンという赤い色の色素が葉の中に蓄積されることによって色が変化します。「春もみじ」も秋と同じくアントシアニンによって紅葉しますが、この時期のアントシアニンの役割としては、若くてまだ柔らかい組織を強い紫外線から防いでいるという説があります。葉が生長するにつれて紫外線を防ぐアントシアニンが不要になって、緑色に変わっていきます。
「春もみじ」と同じように、若葉が紅色で後に緑色に変わるものとしてチャンチン【香椿】(センダン科)もあります。福岡市内では街路樹にも使われているのでご存知の方もおられると思いますが、当園では「香りの道」で見ることができます。
また皆さんの身近なところでは、住宅の生け垣に植えられているベニカナメモチ(園芸品種名レッドロビン)(バラ科)の紅色が、この時期よく目につくと思います。
このような春の紅葉ですが、葉が生長していくにつれて刻々と普通の緑色に変わっていきます。春先の限られた間に見られる、木々たちの若葉を守るための工夫をどうぞお見逃しなく!