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みーちゃん

はしっこに、馬といる_前篇

2019.01.24 10:18


旅といえば、

離島に行っていた時期があった。

きっかけになったのは、

奄美大島の加計呂麻(かけろま)島。


当時、友人が奄美で新聞記者をやっていて。

そこへ友だちと遊びに行ったら、

なんとなく加計呂麻行きが決まった。


奄美大島で迎えを待っていると、

海の向こうから、おじいちゃんが一人、

頼りないほどのちいさな船で迎えに来た。

その船にしばらく乗っていると、

360度、きれいな海しかない光景に、

圧倒されたのを覚えている。


ふっと吹いたら消えてしまいそうな、

ちっぽけな船の周りには、

一面に広がる、海、海、海…。

どこにも繋がっていないようで、

大きなものに包まれているような…。


離島では運搬に、時間もお金もかかる。

海を隔てて、物も情報もゆっくりと少しずつ届くので、

必然的にシンプルになる。

そのシンプルさに、衝撃と、

懐かしいような安心感を感じていた。


インドの先住民の村や、

聖地の生活で感じていたのも、それと似ている。

いつの間にか、

自分の中にその感覚は取り込まれて、

乾いたように求めていた時期とは、

違う付き合い方になってきた。


恋から愛へと自然と移り変わっていくように。

どの時間も通り過ぎてゆく、

そのことが愛おしさの源だな、と思う。


海に流れ着いた種を拾って売る、

それを仕事にしていた友だちがいる。

どこか違う国から、

海を越えどんぶらどんぶら流れてきて、

辿り着いた種たちを浜辺で拾う。

そして種好きの人たちのもとに、それがまた届いてゆく。


彼女がその種を拾っていたのが、与那国島。

日本の西端で、

そこには与那国馬という、日本の在来馬がいる。

よく見かけるスラッとした馬とは違い、

がっしりと小柄なその体(体高約110~120cm)。


夏には海でいっしょに遊べたり、

放牧されてて、公道にいたりする。

話しを聞いた時から、

いつか会いに行ってみたいと思っていた。


馬や象は、

繊細さと賢さが同居していて、

なんだか気になる存在。

近くでゆっくり観察してみたかった。


それが実現したとき、

馬たちにすっかり魅了されて買ったのが、

『馬語手帖』。

馬のかすかな動きや鳴き声が、

チャーミングな挿絵と共に書かれていて、

馬がなにを表現しているかがわかる本。


馬という群れの生き物が、

個体意識の強い人間とは、

まったく違った思考回路を持っていること。

自分の常識を覆される、その発想と行動が、

とても新鮮に輝いて見えた。

わたしはちょっと馬寄りかもしれないな、なんて、

図々しくも思ってみたり。


その続編に、偶然、

横浜の本屋さんで出会って、

びっくりし、心が躍った!

それが『はしっこに、馬といる』。


筆者と馬のカディの関係が書かれているのだけれど、

わたしが生き物に対する時の心持ちと似てて。

読みながら、

やっぱりちょっと特殊なのかも?なんて思ったり。


力でコントロールするということが、

本質的にも、能力的にも、欠けている。

それでも成り立つことがわかって、うれしい。


挿絵の馬の絵が、

動きをよく観察して描かれてて、

さらにときめく。



スタンダードにできなくても、

なんとかなるよね。

そんな気にさせてもらえる、

ありがたい本です。