女性バレリーナの時代ロマンティックバレエ
ロマンティックバレエは
「ロマン主義」がフランスに伝わって
生まれました。
期間にすると
1830年から1870年までの
40年間くらいです。
それまでのバレエの物語は
神話の神々や王
そうでなければ
農民とか中産階級を主人公にしたもの
ばかりでした。
それが
妖精と人間の恋物語
遠い異国の冒険物語
身分違いの恋愛などが
主題になり
「ラ・シルフィード」や「ジゼル」など
数々の名作が生まれました。
(ラ・シルフィードを踊るマリー・タリオーニ)
「ロマン主義」は
19世紀ヨーロッパに巻き起こった思想で、
文学、哲学、美術、音楽、演劇、舞踊など
あらゆる芸術におよびます。
それまでキリスト教の理念に従い
理性や形式を重んじ
ストイックを美とした
「古典主義」の時代に対して
「ロマン主義」は
自由でのびのびとして
自然な欲求に対して素直な
古き良きギリシャ・ローマ時代を
理想としました。
(ラ・シルフィードを踊るカルロッタ・グリジ)
ロマンティクチュチュとトゥシューズの誕生
ロマンティックバレエでは
妖精のはかなげな様子や浮遊感を
表現するために
トゥシューズと
ロマンティック・チュチュが生まれました。
今では「バレエといえばこれ!」と
誰もが考えるイメージの完成です。
女性バレリーナが人気の時代で
たくさんのスターバレリーナが誕生します。
1832年「ラ・シルフィード」で
トゥシューズで初めて踊った
マリー・タリオーニについてはこちらの
記事をご覧ください>>>
この時代のバレエ教師と振付家は
つま先で立って踊る技術を競って
研究します。
シューズの改良もくり返されました。
さらには、ダンサーを空中に釣り上げて
フワフワと飛ぶようすや
床の中へ消えていくようすを再現する
舞台トリックは欠かせないものでした。
今ではそうしたトリックを使って上演している
バレエ団は少ないのですが、
パリオペラ座バレエ団のラ・シルフィードで
観ることができます。
パリ・オペラ座バレエ団「ラ・シルフィード」
参考文献:
バレエの魅力 マーゴ・フォンテーン著
ダンスハンドブック ダンスマガジン編
バレエ・ヒストリー 芳賀直子著