種としての適者生存
2019.01.25 12:02
【こんな話】
「yahoo知恵袋」にあまりにもナイーブというかしょうもない質問が寄せられていた。
「自然界は弱肉強食なのに、人が弱者を税金で生かしているのはどうしてなのか?今の人間社会は理にかなっていないのではないか?」
それに諭すように諄々と答えていた人がいた。只の市井の人ではない。この分野を知悉し精通している人である。末尾の二行にも心が震える。是非ともお読みいただきたい。↓
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1463546664
これがネットの恐怖だ。
ときおり強烈な教養とか洞察とかアカデミックスが首をもたげてきて、震撼させる。
それに怯まず、蛇足を加えてみる。『進化論』のチャールス・ダーウイン曰くとされている「強い者が生き残ったわけではない。賢い者が生き残ったわけでもない。変化に対応した者が生き残ったのだ」は後世の人間が誤って作ったものだ。つまり、ダーウインは「生き残った者は、強い者でもなく賢い者でもなく、さらに変化に対応した者でもない」と言っている。要するに、たくさんの子孫を作った<種>が生き残った。つまりは〝繁殖成功〟と身も蓋もないことだ。
虎は疑いもなく兎よりも強いが、「虎という種」は絶滅の危機に瀕しており、「兎という種」は世界中で繁栄している。他の動物から食べられても、食べられても、数で勝負だ。
この事例が示すように、「自然淘汰」を「弱肉強食」と安易に捉えてしまうことは『種の起源』から最も遠い理解になる。